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jinson さん設計 TDA1541エピローグの製作

 jinsonさんの最新作であるTDA1541エピローグが入手できました。
例によって製作記です。

 フィリップス系の石をいじり始めてまもなく、究極はTDA1541Aを使ったDACだろうなと思い、すこしづつ準備を進めていました。 石だけで無冠同一ロットが4個、シングルクラウンの中古が2個、ダブルクラウンという触込みのが2個集まっています。 当初は手配線で自作するつもりで、実験基板を組み、このDAC製作の重要ポイントであるデカップリングコンデンサも20種類くらい候補を集めたりしていました。 そこへ、jinsonさんの1541エピの基板を分けて頂けることになり、計画を変更して、この基板に物量を投下することにしました。

生基板   配布された基板などセット一式

 今回は黒い基板。 大振りではありますが、載っている内容を考えたらかなりコンパクトです。 DACまでの動作原理は4ぱらえぴと同じで、DACチップが1543から1541Aに変わったことと、DACの出力をオペアンプ受けし、ここにLPFを持ってくることでLCフィルタではなくなっていること、それに電源を全てLED電源としている点が違います。
 DAIはCS8414とし、ループフィルターには0.068uFの1813を使ってみました。 OSコン指定のパスコンはあえて47uFのセラミックコンデンサを使用。 デジタル用電源の出口ならびに1541用の3つの電源の出口は4パラエピと同じく0.033uFのコンデンサと2Ωの抵抗によるフィルターとしました。 あとで、ミニフラットアンプを載せるときの都合も考えて、1541の周りのフィルターは裏側に配線してあります。 平滑コンデンサには虎の子の壁を投入。 ただし、耐圧35Vのケミコンのところは無理をしたくないのでMUSEのKZ1000uFに10uFのセラミックコンデンサを抱かせました。 電源回路用のトランジスタはjinsonさん推奨のものです。  Lucyさんお勧めの「神の石」も2SC3245が2SC3581になっちゃったものの、なんとか手に入れたのですが、とりあえずオリジナルを試してから変更しようと思います。 デカップリングコンデンサは実験の結果、マルコンの音響用ローノイズセラミックコンデンサの1uFのものを制振材で挟んだものを使ってみることにしました。 で、とりあえず組みあがったのがこれ・・・

表   取りあえず組み上げた状態

裏   同 裏面

 なんか、ネット上で拝見する皆さんの作例に比べると貧相・・・?

 LPFのコンデンサにはEROの1813、終端抵抗はKEYの白タイトとしましたが、I/V抵抗をどうするか決めかねて御覧のようにミノムシクリップになってしまいました。 そこで、I/V抵抗の実験から開始です。
 ところが、これは不調で、いろいろいじって何とか音出しに漕ぎ着けたのがこれ。 まったく、あせるとろくなことがありません。

成功   音出し成功の段階

 問題は面実装部品のハンダ付け不良とデジタルテスターの電池切れでした。

 さて、I/V変換用の抵抗ですが4種類用意してみました。

I/V抵抗   用意したI/V抵抗の候補

 上から、WEのハーメチックシールの金皮、MEPCOのハーメチックシールの金皮、Daleの巻き線RS2B、そして、OHMITEの巻き線5W。 いずれも1KΩのものとしました。

 まずは、RS2Bを繋いで聞いてみます。 オペアンプはBBのOPA627BP。 まあ、とりあえずはこれで比較試聴です。 ワルツ・フォー・デイビーの頭の所を聞いてみます。 悪くはないけど、まあ、こんなもんかという感じ。 まあ、ミニフラットアンプにもしてないし、OSCの電源も分けてないし。
 次に、MEPCOの白いやつに交換。 一気に解像度が上がり音場が広がります。 やっぱり、これははっきり差が出ますね。 この音好きです。
 さて、ここからが今回のお楽しみ。 まず、WEのハーメチックシールのやつ。 球やトランスはとても手が出ませんが、抵抗くらいならというのと、4パラエピでもWEのスケルトンが良かったので、まあ2匹目のドジョウです。 で、音ですが、MEPCOを更に徹底した感じ。 更に細かい描写力が上がって細部が良く聞こえるようになります。 これは、投資に見合う感じだなー。
 そして、4番目がOHMITEというメーカーの巻き線抵抗です。 これは、わたしが秋葉の店先でたまたま見つけ、単に何の根拠もなくいい音がしそうな予感がしたという理由だけで購入したもの。 一応、現在も細々と生産されているものらしいです。 5Wですが細身で、おそらく無誘導巻きではないと思います。 で、音を聞いて驚きました。 すごいです。 解像度が半端じゃありません。 音の傾向としてはDaleで持っていた巻き線のイメージとは違い、むしろ質の良い金皮に似ています。  WEが高解像度といってもどこか音楽を生かすための手加減をしているとすれば、OHMITEは情け容赦なく情報を暴きだすという感じ、ただ、嫌な付帯音はないように思います。 どっちを取るかは、これはもう好みの問題。 私はどっちも好き。 で、1号機は、人があまり使わない部品を使いたい気がしているので、OHMITEを使ってみることにします。

 さて、注文しておいたDaleの1Wの巻き線抵抗が届いたので、これでもうひと組ミニアンプを組み上げました。

RS1Aミニアンプ   Dale:RS-1A使用のミニアンプ基板

 やはり、トランジスタとダイオードの所はソケット式にして、2SC97A三本差し同士で比較してみました。 その結果、Daleの方がより癖が少なく情報量が多いように思いましたので、トランジスタの比較にはこのDaleのRS1A使用の方を使うことにします。
 まずは、出力段のトランジスタを取り替えて比較試聴してみます。 第1弾として用意したのがこちら。

トランジスタ   試聴したトランジスタ、その1

 上段左から2SC273、2SC1331、下段左から、2SD654、2SC1054、2SC1044、2SC97Aです。 2SC97Aと比較する形で、出力段のみ取り替え、定電流回路の石は2SC97Aのままとします。 試聴には、ワルツ・フォー・デイビー、コントラバスマリンバ、それにムソルグスキーの歌曲集を使います。
 まずは、2SC273、これはNECの石で黒光りするメタルカンに金色足と、なんか高級そうで良いかなと購入。 C97Aと比較すると、だいぶ情報量が減る感じ。 嫌な音はしませんが、C97Aになれると物足りない。
 で、次にC1054を試したのですが、これは石が死んでたのかノイズが聞こえるばかりで使えませんでした。
 次に三菱の石だし安いしという理由で、2SDだけど買ってみたD654。 これは、さっきのC273よりずっと情報量が多く、及第点かなと思いますが、C97Aとはまだ差があり、取って代われるレベルではありません。
 その次に、NECのC1331。 これは、fT750MHzという高周波用の石らしいですが、ジャンク屋さんで1個30円で購入。 ところが、これが当たりでした。 C97Aに比べてもワイドレンジで余韻などの描出力がすばらしいです。 それに解像力が上がっているのに低音が痩せません。 ただ、VCBOが20Vと低いのが欠点。
 それではとばかり、似たようなNECの石を買ってきました。 C1044です。 これは、お値段は10倍以上ですが、VCBOが45Vあるし、fTはなんと1000MHzもあります。 で、聞いてみた印象ですが、C1331と非常に良く似ています。 ブラインドテストされたら私には区別がつけられそうもありません。
 とりあえず、今日はここまで。 でも、宝物を1つ発掘した気分で大満足です。

 前回に続き、出力段のトランジスタを取り替えて比較試聴してみます。 第2弾として用意したのがこちら。

トランジスタ   試聴したトランジスタ、その2

 上段左から2SC1478、2SC1707、2N2219A、下段左から、2SC943、2SC984です。 今回も、定電流回路の石は2SC97Aで、試聴には、ワルツ・フォー・デイビー、コントラバスマリンバ、それにムソルグスキーの歌曲集を使います。
 まず、C97Aに似ていると噂の2N2291A。 一応、今の所生産されている品目らしく入手性は良いようです。 確かにC97Aと同傾向の音のように思いますが、少しおとなしいような気もします。 及第点ではありますが、今ひとつ強烈なアピールポイントがない。
 続いてC1478。 一部で定電流回路用として評価されたりしている石ですね。 音は、わりと2N2219Aに似ていますが、もう少し情報量が多いかな。 予想したほどキャラの濃い音ではありませんでした。
 次に、日立のC1707。 これは、ジャンク屋で1個40円と安かったからという理由だけで購入したもの。 どうも、ぱっとしません。 音の伸びが悪いし、情報量も減るように思います。
 気を取り直してNECのC943。 これは、定電流回路用として評判の石ですが、どうしてどうして、出力用としても優秀です。 情報量が頭抜けてるし、音の佇まいも良い。 この音好きです。
 最後に、C984。 ごく古いタイプのカンですが、K式の石とされているし、168アンプ用としても評価の高い石のようです。 ワルツ・フォー・デイビーを聞く分には、そんなに凄いと感じず、明らかにC943の方が良いと思いました。 ところが、ムソルグスキー聴き始めてぶっとびました。 ヴォーカルの生々しさが半端じゃないです。 この石でヴォーカル専用のアンプ作っても良いなと思っちゃいました。

 さて、私が取り敢えず集めたメタキャンの石はこんなものですが、 このあとあえてメタキャン以外の石も聴いてみようと思います。 

 
 出力段のトランジスタの比較試聴第3弾として用意したのがこちら。

トランジスタ   試聴したトランジスタ、その3

 今回は全部モールド型で左から2SC3382、2SC1399、2SC2910、2SC3581です。 今回も、定電流回路の石は2SC97Aで、試聴に使ったCDも同じ。
 2SC3382はあまり名前を目にすることのない石ですが、私がジャンク屋で見かけてC1845の代わりに時々使っているローノイズトランジスタです。 C1399は有名なC1400の弟分で、ローノイズタイプじゃないのが違いだそうです。 C2910とC3581はLED電源用に入手したもの。 これを、今までと同じ要領で聴き比べしました。 その結果、C3382とC1399は悪くはないけれども、メタキャンの良い石に比べるとだいぶ情報量が減る感じ。 C2910だとだいぶましになるものの、まだ差を感じる。 C3581を聴いて初めて、メタキャンと勝負になると思いました。 ただ、入手性を考えたら、この石は要所の電源用かなと思います。

 さて、いよいよ定電流回路の石を決めにかかろうと思います。

 と、思ったのですが、出力用の石を固定して定電流用の石を取り替える実験を始めてみたところ、出力段以上に差が判りにくい感じがします。 そこで、ベースラインの質を更に上げておくことが必要と感じました。 具体的には電源回路全体をいじるのが究極ですが、その前にOSCを専用電源を持つ別モジュールとして基板の外に出すことにします。 それまで、しばしお待ちを。

 で、OSC用のモジュールを作ってみました。

OSC モジュール   OSC モジュール基板

 電源として、トランスからAC9Vを給電し基板上のSBDブリッジで整流後、壁2000uFほどで平滑し、青木さん考案のシャントレギュレーター電源を採用しています。 三田電波製のTCXOで80MHzのものは供給電流30mAとあるので、定電流回路として、2SK170BLを4本並列とし、38mAを確保、5.17Vを供給しています。

OSC モジュールとepi   全体像

 で、音ですが、ぐんと解像度が上がり、音のたたずまいが良くなります。 しばらく聞き惚れてしまいました。 MAKKAをいじったときも、4パラエピのときも感じたのですが、リクロックを行っている場合、OSCの電源を他と分けるのはものすごく重要なことだと思います。 はやくやればよかった。 でも、だいぶ音が変わってしまったので、再度出力段のトランジスタを聴いてみなければならなくなってしまいました。

 で、もう一度、いくつか石を聞き直しているのですが、ちょっと思いついたことがあって、やってみました。

c1013使用ミニアンプ   「神の石」C1013を出力段に

 神罰が下る? でもやってみたらなかなか良い音なんです。 定電流用の石はC97Aなんですが、出力もC97Aとした場合に比べてやや大人しめの音になるような気がするものの、けしてなまった感じではないです。 むしろ人間の声はこっちの方が魅力的。 シャレのつもりだったのですが、困りました。 でも、このタイプの石は幾つか有望な物が埋もれていそうです。 きりがないのでいい加減にしとこうとは思いますが。

 電源を本腰を入れていじるべきかずっと迷っていたのですが、Lucyさんとprostさんのサイトで抵抗をいじる件が公開されたので、思い切ってやっちゃうことにしました。   まず、電源回路の抵抗をソリストに入れ替え。 抵抗値はお二人のサイトに公開されたものです。 ただ、Lucyさんのサイトのと何か様子が違う。 実は私は勘違いしてW数の1ランク大きいのを買っちゃいました。 でも、サイズ的には何とかなったので使用。 それから、デジタル回路の出力をC1826から、「神の石」C1013に変更。 さらに、他のトランジスタの所は全てソケットにしてしまいました。 とりあえず、A1285AとC3581を差してみます。
 また、前から気になっていたのですが、終端抵抗をもう少し小さい値にしてみようと思い3通りほど試してみて、Ohmiteの15KΩに代えました。
 で、ミニアンプにC97A3本差しにして試聴・・・・

 いい音ですねえ。 今まで何となく気になっていたモヤみたいなものがとれた感じ。 見晴らしの良い音です。 さて、これをベースとして、再度石の吟味に入ろうと思っていたのですが、  jinson さんから追加のミニアンプ基板が届き、つい電源の件を後回しにして、追加でいろいろ作ってしまいました。

ミニアンプ群   ミニアンプ群

 上段左から、TAF(金皮)、ソリスト(金皮)、タイヨーム(ローノイズカーボン)。
 中段左から、スケルトン(金皮、1.5KだけDale) 、Dale1/2W(金皮)、Dale RS-2B(巻線)
 下段左から、Ohmite 3W(巻線)、Ohmite 5W(巻線、10KだけDale RS-2B)、Dale RS-1A(巻線) です。
 取り敢えず、すべて2SC97Aの3本差しで抵抗の聞き比べをやってみようと思います。

 まずは、Ohmite 2種、スケルトン、Dale RS-1Aを聞き比べてみました。 一応、RS-1Aを基準として比較する感じです。
 そもそも、RS-1Aがとても良いです。 解像度高く、それでいて低音もちゃんと出ている。 で、まずこれとOhmiteの5Wのやつを比べてみました。 この抵抗、最近の私のお気に入りなんですが、いやー、良いですね。  解像度はRS-1Aと双璧だと思うのですが、音場の透明度はOhmiteの方が上のような気がします。 そして、これに比べると、RS-1Aの音はクールな感じ。 どっちが上というより、好みの問題ですが、組み合わせるトランジスタとの相性も絡みそうです。 さて、Digi-Keyで取り寄せるとき、実装のしやすさを考えて、Ohmiteの3Wのも取り寄せてみました。 これ、5Wのと同系統の音がしますが、何か膜が1枚被ってる感じがする。 予想はされたことですが、5Wの方が良いし、作ってみたら実装の難易度は同等でした。 本日の最後は、スケルトン。 全部、スケルトンにしたかったのですが、1.6K前後のが入手できず、そこだけDaleの1Wの金皮です。 これ、DaleやOhmiteの巻線に割と近い音です。 人声を聴いたとき、何ともいい音がします。 解像度も巻線に負けないハイレベル。 この抵抗、よく使うのですが、大抵何かの代打だったりして今まで真剣に聴いてみたことなかったのですが、これも捨てがたいいい音だと思います。 以下次号ということで・・・

 さて、次は、RS-2B、ソリスト、Dale 金皮1/2W、タイヨームをRS-1Aと聞き比べてみます。
 まず、RS-2B。 要するにW数がでかくなってサイズも倍くらいになってる訳ですが、RS-1Aとほとんど同じ音がします。 強いて言えば、W数がでかい方が幾分低音の伸びがいい感じなのと、ノイズが少ないような気がします。 この差は気にしないならそれで済むレベルかなと。 実装のしやすさから考えたらRS-1Aを使うのが正解かなと思います。 次にソリストの1/2Wのやつ。 結構健闘します。 金皮の特徴か幾分低音が抑え気味で、ややうるさい感じがしますが情報量は多い。 CPは高いです。 続いてDaleの金皮。 ソリストより低音が出ます。 情報量は多くスケルトンに近い音です。 わりと安く手に入れているので、これもCPは高いです。 本日の最後はタイヨーム。 これ、カーボン代表のつもりです。 カーボンならリケンのRMGか、ABだろと言われそうですが、まえから1度使ってみたかったという理由でタイヨーム、安いし。 で、これはだいぶ傾向の違う音がします。 情報量はこれも多いのですが、高音よりで、少し音に艶が乗る感じがします。 これが、好きか嫌いかの分かれ目なのでしょうが、私は以前RMGでこの艶を拒否した方なので、やっぱりカーボンは違うのでしょう。
 次回は残りのTAFととっておきのを1種聴いてみます。

 最後は、最初に作ったTAFのをまず聴いてみます。 なかなか良いように思います。 情報量は多いし、音場が広く見晴らしのいい音です。 ただ、カーボンほどではないけれども、少し色がついてるような気がする。 嫌な色ではないですけど。
 さて、トリにこんなのを作ってみたので聴いてみました。

ミニアンプWE   WEタンタル抵抗ヴァージョン

 某所で中古ですがWE製のタンタル抵抗をかなり安く売っているのを見つけ、ミニアンプに使えないかと物色し、若干抵抗値が違うのに目をつぶって組み上げてみました。
 ワルツ・フォー・デイビーを聴いた時には、他のとあまり大きな差を感じず、正直ややがっかりしたのですが、コントラバスマリンバのアルバムを聴いて驚きました。 楽器の音が瑞々しく響きの余韻がすばらしい。 打楽器が衝撃波を出す道具ではなく楽器として聞こえます。 空間分解能も極めて優秀で、今回比べた10種中トップです。 そのあとヴォーカルを聴いてみたのですが、いいなあ。 どうやらこれは宝物になりそうです。

 ミニアンプの抵抗は、幾つか候補が決まったので、あとはトランジスタを選び直して組み合わせを決め、何通りかのものを差し替えて楽しもうと思いますが、その前についでにもう一つ実験してみようと思います。 168アンプは電源以外に一カ所だけ270pFのコンデンサが使われており、これはK式アンプのお約束でSEコンが指定されているのですが、これが、バカ高い。 それで、ミニアンプではみなさん代替品としていろいろなコンデンサをお使いのようですが、ここのコンデンサを吟味してみたい。 で、6種類ほど集めて聴き比べしてみました。

270pFs   実験用に用意したコンデンサ

 上段左から、ディップトマイカ(jinsonさん、matukataさんはこれをお使いのようです)、Panasonic のポリプロピレンフィルムコンデンサ、音響用銅箔スチコン
 下段左から、EROのKP1838(Lucyさんとくましろさんはこれらしい)、ERO1830(prostさんはこれかな)、SEコン
 EROの2つ以外は270pF、ERO1838は300pF、ERO1830は330pFです。
 ディップトマイカを私もずっと使っていたので、これを基準とし、抵抗としてRS-1Aを使ったヴァージョンでトランジスタはC97Aを3本差しとして比較してみました。 そもそもここのコンデンサでそんなに音が変わるものなのかという興味もあります。
 で、結果ですが、嬉しいような悲しいような。 まず、銅箔スチコンと1830ですが、ディップトマイカとほぼ同等の音がします。 少なくともディップトマイカが品切れになったとき代わりに使って不満は出ないように思います。 次にEROのKP1838、これ箔巻きのポリプロピレンフィルムなんでしょうか、ディップトマイカよりも音場の広がりが良くすっきりした音になります。 私好み。 そして、Panasonicのポリプロピレンフィルムですが、あきらかにディップトマイカより良い! 解像度が高くすっきりと抜けるいい音です。 4パラエピのフィルターコンデンサで対決させた時のことを思い出しました。 松下のポリプロはやはりあなどれません。 嬉しいことにこれ、とても安い。
 そして最後に、真打ちというか、SEコンを聴きました。 アカン、格が違うわ。 勝負になりません。 困りました。 これ聴いちゃうと使いたくなるけれど高いから。 これ1個でpanasonicなら2ダース買えちゃう。 とても、手持ちのミニアンプ全部には積めません。 でも、お気に入りのやつには使いたいなぁ。

 さて、トランジスタの再試聴に入る前にもう一つやっておこうと思ったことがあります。 定電流回路の定電圧源にLEDやZDでなくトランジスタのVBEを利用したらどうだろうかという実験です。 現在愛用中のペルケ式FET差動ラインアンプの発展形としてペルケさんが発表されたヘッドホンアンプで定電流回路の定電圧源としてトランジスタのVBEがほぼ0.6Vと一定であることを利用したものが使われています。 これを、ミニアンプに乗っけてみようと言う訳です。 私のミニアンプは、定電流回路用のトランジスタとZDのところがソケット式になっています。 これを利用して、ミニアンプ基板そのものには手を加えず、VBE利用の定電流回路を実現するためのアダプターを作りました。

VBE回路アダプタ   VBE利用の定電流回路アダプタ

 このアダプタでVBE源用のトランジスタとして、ローノイズトランジスタの2SC1345を使い、実測で出力2.43mAを得ました。 元々の定電流回路で6.8VのZDを使って2.48mA、LED3つで6.3Vとしたものを使って2.21mAでしたから、まあまあだと思います。  ミニアンプとしてRS-1Aヴァージョンのものを使い、出力トランジスタとして2SC97A、帰還回路のコンデンサとしてSEコンを搭載、定電流回路にも2SC97Aを使い、LEDとVBEアダプタとを比較試聴してみました。

VBEアダプタ and LED   VBEアダプタ搭載状態とLED搭載状態

 結果ですが、差は大きなものではなく、プラセボ効果もなしと断じきれないものの、VBEアダプタの方が暗騒音のようなものが取れ、いっそう音場が澄み渡ったような気がします。 そのかわり、LEDの方がよりマッシブな音が出てくるようで、どちらを取るかは全体のバランスと好みで決まるのだろうと思います。 現在のバランスではVBEアダプタを使ったものの方が私好みの音になるので、これを使ってトランジスタの吟味に入ろうと思います。



VBE回路アダプタ2   VBEアダプタ Ver2

 その後、VBEアダプタをヴァージョンアップしました。 と言っても、抵抗をRS-2Bにしたのと、定電流用トランジスタとしてカンタイプが差しやすいように足の配置を変えたこと、それにサイズをより小さくしたことが変更点で、あまり大きな差はないかもしれませんが。 で、定電流石の吟味に入る前に、VBE用の石を幾つか聞き比べてみました。 ローノイズタイプの中から、2SC1845、2SC1345、2SC2240、2SC3382。それに、比較用に2SC1815。 それから、カンタイプのローノイズ代表として2SC1478を起用。 これを、SEコン搭載RS-1AヴァージョンのミニアンプVBEアダプタを使用、定電流石を含めて2SC97Aの3本差しに差し替えて試聴してみました。 ほとんど差が出ないことを期待していたのですが、それなりに差が出てしまいました。 低音の出方や細部の明瞭度に石による違いが出るようです。 VBEの差による出力電流の違いのせいかと思ったのですが、出力電流を実測してみると、そうとばかりも言えないようです。 抵抗値との兼ね合いで順位は変化するのかもしれませんが、今の所、C3382>C1845>C1815>C1345>C2240の順。 C1478は試聴が終わった後で逆差ししていたことが判り、後日やり直すことにしました。 でも、結構良い音してたのが怖い。 で、最後にもう一つ試しました。

4本差し   C97A 4本差し

 なんか、すごいものものしくなっちゃってますが、モールドの石を凌いでるような気がします。 困った。 C1478のやり直しがこの上を行ってくれることに期待。

 昨日に続いて、VBE源用の石の吟味。 C97Aを基準にC1478、C1054、C1010の3つを比べてみます。 C97A以外は全てローノイズタイプのメタキャンです。 まずはC97Aの4本差し、いいです。 で、これとC1478をまずは比較してみます。 C1478の方が、より雑味が取れて、低音が明瞭になるように思います。 これでいっても全然後悔ないレベルなのですが、念のためにあと2つ試してみました。 いやあ、参りました。 両方ともさらに良いです。 C1054の方が押し出しが強い感じがしますが、よりリアルで質感のいいのはC1010の方です。 この音、惚れ込んじゃったので、VBE源用の石はC1010にします。

C1010   ローノイズ・メタキャン 2SC1010

これで、ようやく定電流用の石の吟味に入れます。

で、VBE用の石を2SC1010に固定した形でアダプターを作り直しました。

VBE回路アダプタ3   VBEアダプタ Ver3

さて、いよいよミニアンプ用の石探しですが、出力用と定電流用をそれぞれ30個ずつとしても、900通り聞き比べとなると現実的ではありません。そこで、C97Aをベースにした絞り込みをすることにします。 まず、出力用の石はC97Aに固定して、色々な石を定電流回路に使って良いものをピックアップする。 次に、定電流回路をC97Aに固定して出力用の石をいろいろ試し、良いものをピックアップ。 そして、上位少数同士を組み合わせてみる。 まあ、トーナメントみたいなものですね。
 で、取り敢えず、定電流回路用の石の聞き比べを始めます。 RS-1AにSEコン使用、出力トランジスタはC97Aとして、定電流用の石だけ差し替えて、C97Aを定電流用とした場合と比較して行きます。 聞いた順にだらだら書いて行くことにします。

  石      評価  コメント
 2SC273    ○  C97Aに近いです。 出力用のときより善戦してます。
 2SC1054   ×  発振したようです。 使えません。
 2SC1010   ◎  C97Aより余韻の部分の響きが良いのと、うるささが少ないように思います。 好き!


 今日は4つ聞きました。

  石      評価  コメント
 2SC1326   ○  わずかにC97Aより響きがいいような気もしますが、ほぼ互角です。
 2N2219A   △  響きは豊かだが、制動が悪い感じがする。曲によっては独特の魅力となるが。
 2SC317    △  解像度はC97Aには劣るし響きがいいとも思わないが、なんかバランスが良くて不思議に魅力的。
 2SC1044   ◎  情報量が多く、響きもきれい。 やっぱ、これは名石だと思います。


 今回は3つ追加です。

  石      評価  コメント
 2SC1331    ◎  C97Aより解像度が高く、響きもすっきりしている。 クリアな好みの音。
 2SC512    ◎  正直なところ、あまり期待してなかったのですが、東芝の石を馬鹿にしすぎてました。 剛胆かつ繊細と言いますか、独特の魅力があります。
 2SC943    ◎  これは、やはり名石ですね。 情報量が多く、響きもきれい。 清々しいけれど、低音もしっかり出てます。


 今回は6つ追加です。

  石      評価  コメント
 2SC1478    ◎  C97Aより解像度は高く、情報量が多い感じ。 ちょっと癖がある感じはあるが。
 2SC917     △  解像度はそれなりに高い感じなのですが、なぜか音場が狭くなる、不思議な石です。
 2SC928    ×  発振したようです。 使えません。 このタイプのカンはだめなのかな。
 2SC282    ◎  解像度大。 音場広く、うるささもない。 低音もしっかり出ます。 ノーマークの大物。
 2SC984    ○  不思議な石です。 C97Aよりそれほど解像度で勝る訳ではありませんが、ともかく響きがいい。 方向は全く違いますが魅力は、ほぼ互角です。
 2SC2550    ◎  これも解像度が高く、情報量の多い石です。 特にヴォーカルの息づかいが良く伝わり魅力的。


 あと1つ追加です。

  石      評価  コメント
 2SC1006   ◎  C1010と同等に良いです。 響きが良く、解像度も高くて魅力的。


 と、このあとモールドタイプを5つくらい試そうかと思っていたのですが、メタキャンに勝てそうな気がしないので割愛しちゃいます。

 さて、以上のなかから、○と ◎の評価のものを定電流石として、もう一度出力段の石の聞き比べをしようと思いますが、かなりこのページがでかくなってしまったので、ページを変えようと思います。


 その2につづく・・・




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