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Jinsonさん作TDA1543 LR分離DAC for Raspberry piの改造 J-FET IV編

 Greece7さんの所でTrIVのPNPヴァージョンとJ-FET IVが発表されていて、特にFETIVの方は絶賛されています。 で、回路図を見ていたら、JinsonさんのラズパイDACに載せるのは簡単にできそうと思い、準備を始めたら、Jinsonさんご自身が私が考えていたのとほぼ同じことを一足先に実験されて絶賛されています。 で、追試みたいな形になりましたが、私もやってみましたのでご報告します。
 実はTrIVのPNPヴァージョンの方も作ってみたのですが、そちらの方はいずれ稿を改めて報告することにして。まずはFET IVです。
いろいろ実験しようと思って入手してあった4枚目の基板を使って初めからFET IV DACに仕上げることにします。 Jinsonさんもおっしゃっているようにパターンカットなしでこの改造は実現できます。 具体的には抵抗とコンデンサーをこの図のように配置します。(他にVREF用の1.5KΩを裏面に配置します)

変更図 TDA1543 LR分離DAC for Raspberry piの変更点
      (原図はJinsonさん発表のものを許可をいただいて引用)

 実際に作るにあたって、電源石は定電流回路2SA235・出力石2SC2634と、今のところ私の試した範囲ではLED電源最強の組み合わせ。フィルムコンデンサは面実装用のPPS 0.22uFに足を付けて使用。 大容量のケミコンの所はOSコンの470uF16Vのやつ。抵抗類は利久の金皮1/4W。 ダイオードは手持ちの1NS1588互換のやつ。 LEDはいろんなのが混ざってて最終的に電圧を使用時8.05Vに追い込みました。 FETの部分はソケットにして、色々試せるようになっています。

実基板   実際に作った基板(表)
実基板   実際に作った基板(裏)

実際にラズパイに実装するとこんな感じ。

実基板   実装 !

 まずは、Greece7さんが採用された2SJ498を4本使って音出し。 真ん中の足がGateなので、これをシルク印刷のBにあわせ、残り二本をC とEに差し込みます。J-FETの特徴で、SとDは逆にしても大丈夫です。 で、試聴・・・

 いやあ、これは・・・ すごいです。

 皆さん絶賛なので、想定してはいましたが、この段階で、オリジナルNPNヴァージョンのTR IVでトップのものを凌駕しています。 確かに、空気感が素晴らしい。 空間の広がりが良いとか、見晴らしがいいとか、音場がリアルだとか、その手の表現が当てはまる。 解像度が違います。


で、いつものごとく石の聞き比べをしようと思います。 と言っても、PチャンネルのJ-FETと言うのはもともと種類が少ない上に早い時期からディスコンが多く入手性が悪い。 とりあえず、手持ちがあったのが、金田式168風ディスクリートOPEアンプで使った2SJ103とLM3886使用のアンプの入力バッファで2SK170とコンプリで使うため集めた2SJ74の国産品2種。 あと、J103の代替品候補として入手してあった2N5460。 アキバに買いに走って捕獲したのが2SJ498とフェアチャイルドのJ174、J175、J176、J177の全部で5種類。 計8種類を比較します。
J-FETs  比較したJ−FET

 真ん中の2つはダミーなので2SJ498に固定して両端の2つを2SJ498をリファレンスとして比較します。 比較する音源としては、いつものワルツフォーデイビーからの2曲、ムソルグスキーの「死の歌と踊り」からの子守唄、カンターテドミノからのソプラノソロ、オルガン版「告別」、コントラバスマリンバ。 さらに、今回新たに、ヴァント・ベルリンPOのブルックナー4番冒頭、コパチンスカヤの弾くチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲冒頭、そしてホルスト作「リグ・ヴェーダからの讃歌」を加えました。 ところが、困ったことに、リグ・ヴェーダからの讃歌を聞き始めたら聞き惚れてしまい、結局通しで1回聞いてしまいました。 このアルバム、お気に入りCDで揚げてあるやつですが、さんざん聴いたものにもかかわらず、今回久しぶりに聞いたら、今まで聞いたことのない細部の音が聞こえてきて・・・ いやあ、やっぱこれはすごいわ。
 で、まあともかく比較を・・・まず2SJ103。 それなりの数は持ってますが、私が持っていたのはBLランクなので、結構Idssは大きいやつです。 おなじみの音源で聴いて感じたのは、そんなに大きな差はないということ、ややこっちの方が低音がかぶり気味になることがあるかなと。 しかし、まあ差はわずかです。 で、今回追加したオーケストラ系と合唱系の音源を聞いてみると、幾分ですが2SJ103の方が楽器の音がよりリアルかなと思うくらい。 思うに、2SJ103の方がノイズ成分が少し少ない分高域が静かなのだと思います。これは、差がわからないという人も多いでしょうし、差は感じてもどっちがいいかは好みの問題かなあ。
 次に、2SJ74は何か期待してしまうので後回しにしてフェアチャイルド製の4つを聞いてみます。これは、アキバ某所で4個100円のパッケージ売りされてたやつ。フェアチャイルドのJ-FETは気をつけないと、NチャンネルのFETもJ- という型番が付いてます。
1つめはJ174、電流は2SJ498と同程度流れるようです。全体に、上2つに比べて低音はより出ているように思います。ソロの女声は、なかなか艶かしい。 CP高い石です。
2つめはJ175、これが今回試した石の中で一番電流が流れるようです。いつもの音源を聴き始めた段階で感じたのは、これは情報量が多い感じがする。 低音の出方も今までの中で一番余裕があるように思います。 そしてブルックナーの冒頭を聞いた時、「えっ」という感じ。ワクワクしました。 音楽の訴求力が良いといいますか、これは良いです。
3つめはJ176、上記のJ175に次いで電流が多く流れたのがこの石。 音の傾向も上記に非常によく似ています。 あえて違いを探せば、こっちの方が幾分低音が正確だけどおとなしいかなと思います。
4つめはJ177、これは2SJ498などと同等の電流。 しかし、高域の情報量はかなり多い感じ。 音楽の訴求力は負けません。上2つと比べると低音の量感は一歩下がりますが、聞き惚れる音です。
その次に、2N5460を聴きました。 これも2SJ498と同じくらいの電流は流れたのですが、なぜか極端に音量が少ない。 アンプをフルボリュームまであげても、他ので12時の位置での音量にはるかに及びません。音質の評価はできませんし、実用的にも使いにくいので、これはボツ。
 さて、真打の2J74といきましょう。これもBLランクなのでIdssはそこそこ大きい方です。 聞き始め、あれっ? という感じ。 フェアチャイルドの石と比べると地味です。情報量がやや少ない感じがする。 低音の量感も控えめ。 ところが、ブルックナー冒頭の弦のキザミは秀逸。 ホルンも良い音です。 どうも、ツボにはまったときはすごいけど、それ以外は地味? 捨てがたい魅力はあるんですが・・・
全景 

 総括すると試した8種類のうち2N5460はボツとして、それ以外の7つはどれを使ってもトランジスタIVの水準は超えてると思います。私の好みはフェアチャイルドのJ175、J176、J177ですが、現在の入手性の良さを考えたらJ498もなかなかです。2SJ74は捨てがたい魅力はあり、持ってれば使ってみる価値はありますが、1本500円以上かけて買わなくてもというところ。 しかし、1本25〜38円のFETが1本3000円を超える石に勝ってしまったので、複雑です。

いや〜、またやっちまいました。 くましろさんからご指摘いただき気づいたのですが、2N5460だけ足の並びが違ってるじゃありませんか!よくあれで曲がりなりにも音が出たなあ。慌てて足を正しく挿し直して聞いてみました。 素晴らしいです! フェアチャイルドの石を凌ぐ解像度とワイドレンジ。 音がときに艶めかしくさえある。 いつまでも聴いていたくなります。 この石を拾い損ねるなんて危ないところでした。 くましろさんに感謝です。

Digi-Keyに頼んでおいたJFETが届きました。 2N5116という型番で、メタキャンのp-チャンネルJFETです。

J-FETs  2N5116

早速試聴・・・悪くはないです。 でもなんかイマイチ曇った感じ。 また足を刺し間違えてないか確認しましたが、ふと思いついて、ソースとドレインを入れ替えてみました。原理的にちゃんと動作するはずですが、音が同じとは限りません。 で、試したらかなり音が変わります。 変更後はかなりクリアになりました。 ただ、メタキャンなのに、ややうるさい。 発振しかかっているのかもしれません。 いずれにせよ、単体で聴く分にはそれなりですが、2N5460と比較しちゃうと、あえてこれ買わなくてもと・・・・ 

もうしばらく、つづく?


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