あれこれ・まあ・のんとろっぽ

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マーラーのCD評・交響曲第7番

 

この曲について

マーラーの交響曲の中では、どうも一番人気が無い曲らしく、巨大だと言う理由で演奏機会の少ない8番を除くと、一番演奏されない曲らしいです。 不人気の理由は晦渋で理解しがたいということのようですが、私には、最もマーラーらしい曲に思えます。 実のところ、私が初めて購入し全曲通しで聴いたのは7番でした。 そこで、マーラーという作曲家にはまっていなければ、現在のようなことになってはいないわけで、私にとっては最も重要な曲でもあります。
一般に、夜の歌と言われており、不人気の理由として、第5楽章のどんちゃん騒ぎについてゆけぬと言う人が多いようですが、ここに大きな誤解があるような気がします。 第2、第4楽章にナハト・ムジークと書き込まれているところから、全体が夜をテーマとし、第1楽章を宵闇、第3楽章を深夜ととらえ、第5楽章を夜明けととらえて、各楽章が時間軸に沿って並んでいると考える向きがあるようです。 実際に多くの演奏で、第5楽章を聴くとき、夜明けを意識している感じがします。 すると、第4楽章までと別種の音楽が、そこに唐突に展開されている感じになって、違和感を感じてしまう方が多いのではないでしょうか。 しかし、私には、それはとんでもない間違いを犯しているように思えるのです。 注意深く聴けば、各楽章が時間軸に沿って並んでいるわけではないことは明らかです。 第4楽章はセレナーデであり、明らかに宵の口の音楽であって、深夜のワルツと考えられる第3楽章よりも時間的には前だと思います。 そう考えると、問題の第5楽章のとらえ方が変わってきます。 時間軸に沿って並んでいるのではないのに、何故、夜明けの音楽を最後に持ってくる必要があるのか? そもそも夜明け〜昼の音楽にしては、あまりにもすがすがしくないのではないか? そうです、私は最終楽章も夜の音楽だと思うのです。 これは、祭(カーニバル)の夜の音楽のように思えるのです。 それにより、この楽章に漂う奇怪な妖気のようなものが読み解けるように思います。 残念ながら、そういう観点に立った聴き方を許容するような演奏(つまり、必ずしも終楽章で夜が明けない演奏)は多くありません。 ですから、夜の明けない終楽章を具現している少数の演奏は、私にとっては宝物です。

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アバドの演奏

レーベル:  Don Industriale: DI-05015A CD-R
演奏家:   Claudio Abbado / Lucerne Festival O
日時・場所: August 18, 2005,Lucerne
演奏時間:  total 71:11 ( 19:34 / 14:56 / 08:27 / 11:31 / 16:43 )
録音評:

 現代の基準からすれば、それほど良い録音とも言えないが、ノイズらしきものはないし、解像度もそこそこ、残響も適度である。 ただ、何か1枚紗がかかっている感じがする。

演奏評:

 DVDと同じ演奏会のライヴ。 DVDが2日間の良い方のセレクトなのに対し、こっちは2日目の通しである。 21世紀に入ってからの一連の演奏の延長上と言えるが、それにしても異様に速い。 それがおおむねプラスに働いている部分が多いにせよ、かなり極端で個性的な演奏である。 速いながらもテンポを縦横に動かし、ちょうどクレンペラーの対極にある演奏と言える。 しかし・・・である。 ベルリンに比べるとオケの技術水準が数段劣るのが明らかであり、それなのに速いものだから、それなりにミスが目立つ。 比較した場合、やはり2002年のベルリンフィルとのものがずっと水準が高いと思う。 熱演ではあるが、これも星2つ止まりとせざるを得ない。

総合評価:  ★★
レーベル:  KARNA MUSIK: KA-138M CD-R
       Belsona Classics: BECL0088 CD-R
演奏家:   Claudio Abbado / Berlin PO
日時・場所: May 13, 2002,Musikverein, Berlin
演奏時間:  total 76:18 ( 21:12 / 16:16 / 08:43 / 11:47 / 18:20 )
録音評:

 KARNA MUSIK: 最初から最後まで、ジーないしビーというノイズが持続的に入っており、気にし始めるとかなり気になる。 また、最終楽章でサチる事を恐れてか、それまでより録音感度を下げている。 このため、最終楽章冒頭フォルテシモで始まるところが、そのまま聴くとフォルテないしメゾフォルテくらいに聞こえてしまう。 解像度、音質などは良いのだが。
Belsona Classics:  上記と同一演奏ながら予想に反して明らかに別音源。 ノイズはなく、クリアで解像度十分。 これはCD−Rとしては、まずまずの水準にあり、録音のマイナスポイントはない。

演奏評:

 もしかして、アバド最高の7番かもしれないと思った。 速めの演奏なのにとにかく密度が濃く鮮烈な演奏である。 特に、第1,3,4楽章の出来は白眉。 他の名演、好演の類とは格が違うとさえ感じる瞬間がある。 第4楽章など、最速の類の速度なのに情緒を揺さぶる仕上がりとなっていて、ここを聴いている最中、本気で星3つにしようかと考えた。 しかし、残念ながら最終楽章が淡泊すぎる。 速すぎるのもさることながら、音響的に薄いのである。 この点と、録音の悪さから、ここは冷静に星2つ。

追記:
Belsona Classicsの良い録音の方を聞いたら評価を変えざるを得ない。 最終楽章も、当初の印象ほど悪くない。星2つ半に格上げする。

総合評価:  ★★☆
レーベル:  DGG: 471623-2
演奏家:   Claudio Abbado / Berlin PO
日時・場所: May 2001,Philharmonie, Berlin
演奏時間:  total 77:05 ( 21:35 / 15:54 / 08:53 / 12:58 / 17:45 )
録音評:

 クリア、透明感、静謐という感じの録音。 細部が浮き出てくるという感じではないが、自然なライブの音がする。

演奏評:

 時期的に上記の丁度1年前。 オケは同じであり、当然のことながら曲の解釈は極めて似ている。 しかし、聴いた時の印象がだいぶ違うのである。 上記に比べると、こちらの方が、よりアルカイックというか、原型という感じで、こまかな揺さぶりが少なく大人しい。 決して悪い演奏ではない。 むしろ、名演の部類に入るのだが、上記を聴いてしまったあとでは、何だか物足りない感じがつきまとってしまう。 聴く順番を間違えたかなあと思った。 こっちを単独で聴いていたら、もしかして★2つ半としたかもしれないが、上記を聴いてしまった以上、それ以上の★を与える気にどうしてもならなかった。

総合評価:  ★★
レーベル:  DGG: 413773-2
演奏家:   Claudio Abbado / Chicago SO
日時・場所: 30th January & 1st February 1984
演奏時間:  total 78:33 ( 21:24 / 16:36 / 8:52 / 14:00 / 17:41 )
録音評:

 クリアでノイズは少なく、残響も適度だと思うが、当時のDGGの録音の特徴で、低域が薄く、中高音域がきつい傾向がある。

演奏評:

 私をマーラーにハマらせる元凶となったアルバムである。 アバドの7番としては最初期のもの。 割と普通のようで、実は細部で標準的な演奏では見られないような個性がある。 第1楽章こそ割と普通のテンポだが、第2楽章冒頭のホルンは思いっきり遅いし、第3楽章はすでに標準より速めの演奏となっている。 第4楽章はまだそんなに速くはないが、最終楽章などは珍しいくらいの荒々しさがある。 結構魅力的な演奏だが、個々の楽器の音に今ひとつ華がないというか、しかし、これは録音のせいかもしれない。 ★は少し厳しく2つとする。

総合評価:  ★★

アブラヴァネルの演奏

レーベル:  VANGUARD CLASSICS: 08 6158 71
演奏家:   Maurice Abravanel / Utah SO
日時・場所: December 1964
演奏時間:  total 78:33 ( 21:24 / 16:36 / 8:52 / 14:00 / 17:41 )
録音評:

 9番と同じく風呂場で聴くような残響過多の録音。 ノイズこそ目立たないが、もやもやして細部が聞き取りにくい。

演奏評:

 この時期に7番を含む全集を録音したということは買えるが、それ以上の取り柄がないというか、平凡な演奏。 しかし、よく考えてみると、私が7番に関して平凡と切り捨てることは非常に珍しく、その意味では非凡なのかもしれない。 録音の悪さを差し引いても、星1つ半というほど悪くはない。

総合評価:  ★★

朝比奈隆の演奏

レーベル:  大阪フィル: GDOP-2006-7
演奏家:   Takashi Asahina / Osaka PO
日時・場所: July 28,1981
演奏時間:  tota 92:08 ( 25:38 / 18:50 / 9:45 / 16:43 / 21:12 )
録音評:

 放送用テープから起こしたもので、ライブ感は良く出ているが、たまにノイズが入る。 テープヒス等は目立たず、まあ、聞きやすい方と言える。

演奏評:

 クレンペラーというとんでもない演奏があるからトップには立てなかったものの、他を圧し、群を抜いて遅い演奏である。 おそらく、クレンペラーの録音を聞いて影響を受けたのではないかと思うが、遅さに一貫したポリシーを感じ、共感できる。 第1楽章冒頭は、弦が刻むタイプの演奏で、普通の遅めくらいの感じだが、後ろになるほどテンポが遅くなっている。 最後の方はクレンペラーに迫る。 第2楽章は初手から遅く、ほとんどテンポを動かさない。 唯一第3楽章だけは、通常の演奏時間を逸脱していないが、そのためこの楽章は、やや平凡な感じを受ける。 第4楽章も異様に遅い。 ただ惜しむらくは、ソリストの技量が足りないために、牧歌的というより田舎臭く聞こえてしまう部分がある。 そして、最終楽章はやはり極端に遅いテンポを押し通すことによって荘厳な夜の音楽を展開することに成功していると思う。 全体を通して言えることは、弦と木管は合格点はやれるがブラスセクションの実力が不足していることで、スローテンポであるが故にソリストが馬脚を現してしまう場面が多い。 とくにホルンは音色が悪い。 曲の解釈としては、余裕で星2つ半のレベルにあるが、演奏の技術水準の問題が無視できないので星2つとする。

総合評価:  ★★

アシュケナージの演奏

レーベル:  Exton: OVCL-00039
演奏家:   Vladimir Ashkenazy / Czech PO
日時・場所: April 27 and 28, 2000, Rudolfinum Dvorakova sin, Prague
演奏時間:  total 74:36 ( 21:13 / 14:34 / 9:40 / 12:30 / 16:39 )
録音評:

 音場が非常に広いと感じたが、残響が長めで解像度はそこそこに留まる。 ノイズはない。 全体に中高音域よりの帯域バランスで、低音がやや弱い。 このため、フォルテッシモでややキンつく。

演奏評:

 全体に速めの演奏。 特に、第4楽章と最終楽章は速い。 速いなりに悪くはないのだが、せっかくのチェコフィルの音色を楽しむ余裕に乏しい。 個々のソロ楽器は巧いが、ホルンの音色がちょっと違うなーという感じがする。 今イチである。

総合評価:  ★★
レーベル:  sydneysymphony live: SS0201104
演奏家:   Vladimir Ashkenazy / Sydney SO
日時・場所: March 9-12, 2011, Sydney Opera House Concert Hall
演奏時間:  total 76:25 ( 21:27 / 15:24 / 10:10 / 12:07 / 17:17 )
録音評:

 残響はやや少なめだが、音に潤いはある。 ノイズはない。 好録音である。

演奏評:

 第1楽章冒頭のテナーチューバからうまいなと思わせる。 この楽章はテンポを柔軟に動かし、メリハリがあってきびきび系の名演である。 ここだけなら★3つを伺う出来。 続く3つの楽章がどうも淡々としていて面白みがない。 最終楽章もすっ飛ばして終わるのかなと思っていたら、終盤に突然減速して聴かせにかかる。 しかしどうも食い足りない。

総合評価:  ★★

バルビローリの演奏

レーベル:  BBC LEGENDS: BBCL4034-2
演奏家:   John Barbirolli / Halle O
日時・場所: October 20,1960, Free Trade Hall, Manchester
演奏時間:  total 84:18 ( 22:42 / 16:36 / 9:46 / 16:16 / 18:58 )
録音評:

 録音はかなり悪い。 モノラルにしても、シャーシャーとノイズが多く、周波数レンジも狭い。 鑑賞にギリギリ堪えるレベル。

演奏評:

 1960年という段階で、マンチェスターなんぞというイギリスの地方都市で、マーラーの7番なんかやって、客が入ったのだろうかと思ったのだが、演奏終了直後に滝のような盛大な拍手が入っている。 それなりに粘りも見栄もある巨匠タイプの演奏かなと思うが、ハレ管の技術的限界が見え隠れしている。 その中では、最終楽章の出来はなかなか良いと思う。 ただし、この楽章の途中から音質は許容限界を超えるくらい悪化する。

総合評価:  ★★

バレンボイムの演奏

レーベル:  Warner Classics: 2564 62963-2
演奏家:   Daniel Barenboim / Berlin State Opera O
日時・場所: February 26 & 27,2005,Philmarmonie, Berlin
演奏時間:  total 74:37 ( 21:15 / 16:08 / 8:20 / 11:25 / 17:29 )
録音評:

 すばらしい録音である。 ノイズはなく、非常に響きがいい。 音が実に瑞々しいのである。 私にとってマーラーの交響曲はこういう音で録ってほしいというお手本みたいな出来映え。

演奏評:

 録音の良さにかなり恩恵を蒙っているとは思うが、実に魅力的な音色が随所で聞こえている演奏である。 個々の楽器の音が非常に魅力的である。 このオケはかなりうまいのだろう。 第1楽章は標準的な速さだが、冒頭刻むように弦が動くタイプの演奏の中でもかなりこれが目立つタイプ。 これ、わりと私の好みである。 第2楽章も標準的なテンポだが、この楽章は特に各楽器の音色が良い。 第3楽章はかなり速い演奏だが、つぼを抑えてあり、中間部でちゃんとワルツしていてうれしい。 第4楽章が極めて速いのだが、あまり不満な感じがしないのが見事。 まあ、ここまで速くなくても良いと思うが。 問題の第5楽章であるが、それまでの4つの楽章に比べると手堅いというか、大人しい。 もっと、ぶっ飛んでくれても良いかなとは思う。 しかし、この曲の演奏としてはかなりな名演。 星2つ半差し上げる。

総合評価:  ★★☆

ベイヌムの演奏

レーベル:  Gustav Mahler Stichting Nederland: GSMN-001
演奏家:   Eduard van Beinum / Concertgebouw O
日時・場所: June 4, 1958, Concertgebouw,Amsterdam
演奏時間:  total 72:47 ( 20:14 / 14:41 / 9:15 / 10:40 / 17:59 )
録音評:

  モノラルとしてもひどい方。 とにかくティンパニが音を出すと必ずサチってしまうので始末に負えない。 おまけに、低音の正体不明のノイズがずっと続いている。 第1楽章以外は全滅。

演奏評:

 おそらく、速めの秀演である。 第1楽章は録音の状態が良いのもあって、なかなか聞かせる。 結構テンポも揺さぶっており、ユニークなところも多い。 それ以後の楽章が、ティンパニーでサチるせいで、ほとんどツボのところが聞き取れない。 しかし、2〜4楽章はそこそこ程度のように聞こえる。 最終楽章はいろいろユニークなところはありそうだが、ティンパニーが致命的である。 第1楽章だけなら、星2つ半出せる内容だが、全体としてみたら星1つ半。

総合評価:  ★☆

ビエロフラーベクの演奏

レーベル:  URC: URC 0266 CD-R
演奏家:   Jiri Belohlavek / BBC SO
日時・場所: May 9, 2012, Barbican Centre, London
演奏時間:  total 76:40 ( 21:46 / 15:06 / 9:41 / 12:41 / 17:26 )
録音評:

クリアで残響はまずまず。 キュルキュルいうノイズが結構目立つ楽章もある。 放送用録音を意識しているのか、音量的なダイナミックレンジが妙に狭い。 録音機器のどこかでリミッターをかけているのか、それとも演奏側で自重しているのかは不明だが、どうも録音機器の側で人工的にダイナミックレンジを圧縮しているような気がする

演奏評:

第1楽章の冒頭から音色は正しく陰鬱である。 この点は買える。 テンポが神経質なくらい頻繁に動くが幅は小さい。指揮者の気まぐれで動かしている感じではなく、緻密な計算があるようだが、リハーサル不足か、時々オケが追随しきれていないところがある。 それと、いざというところでの粘りが不足する感じでアゴギーグに不徹底さを感じる。 あと一歩なのである。 これは、結局全楽章を通じて同じ傾向と言える。 また、音量的ダイナミックレンジがやけに狭い。やたらダイナミックレンジに物を言わせるようなものよりは聴きやすいが、ここまで狭いとフラストレーションを感じる。第1楽章終了直後に拍手がパラパラと入る。イギリスのライブで時々ある光景だが、ロンドンでは珍しい? 第2楽章も第1楽章と同じく、細かい気遣いはあるのに大枠で冒険がない。第3楽章はそれなりに闇が深くていい感じだが、第4楽章はなんとなくもたついていてセレナードにはなっていない。最終楽章も細かくテンポは動くものの幅が小さくて苦労している割りに効果が上がらない感じ。フォルテ・ピアノの幅が狭いのが大きな災いになっている。 ただ、最終楽章など聞いていると、音楽が盛り上がっている割りに音量変化が不自然に小さい。 実演を聴いた人は違った印象を持ったかもしれない。 ともあれ、出来上がったCDとしては星2つがせいぜい。

総合評価:  ★★

バーンスタインの演奏

レーベル:  CBS: M3K42200
演奏家:   Leonard Bernstein / New York PO
日時・場所: 14th & 15th December 1965
演奏時間:  total 79:18 ( 20:48 / 16:38 / 9:32 / 14:35 / 17:45 )
録音評:

 録音はアナログLP用にダイナミックレンジを制限してある感じだし、周波数レンジもやや狭い。 ノイズは目立たないが、なんとなく抜けが悪い。 鑑賞には十分耐えるレベル。

演奏評:

 バーンスタイン最初期の7番であり、まだ凄みはない。 しかし、後の個性的な演奏の片鱗は見えている。 たとえば第1楽章中間部に入るところ、多くの指揮者がテンポをぐっと落として粘るところでテンポは落とさず、しかし独特のうねりをみせるところや、第3楽章中間部のかなり特殊なリズム処理、最終楽章フィナーレの最後の1音の独特の引っ張り方など。 だが、総じてまだ不徹底な、どこか突き抜けていない遠慮がちなところがあり煮え切らない感じである。 悪い演奏ではないが、バーンスタインを聴くならこれじゃないでしょうという感じ。 星は2つ。

総合評価:  ★★
レーベル:  DGG: UCBG-1051 DVD
演奏家:   Leonard Bernstein / Vienna PO
日時・場所: October 1974, Musikverein, Vienna
演奏時間:  tota 82:36 ( 22:02 / 16:38 / 10:02 / 14:45 / 19:09 )
録音評:

 DVDなので録音に関しては評価対象外としたいが、それほど優秀なものではないと思う。映像のバーンスタインがまだまだ若々しいのがご愛嬌。

演奏評:

 上記についで古い時期のものだが、解釈上は80年代のものにだいぶ近づいている。 しかし、マエストロがだいぶウィーンフィルに気をつかってか、まだ過激に走るのを一歩踏みとどまっている感じである。 また、ウィーンフィルのほうも何かのりが悪いというか、演奏するだけで精一杯で余裕が足りない。 映像で見ると個々の奏者の表情にそれがはっきりと表れている。 それでも弦は流石に良い音を出しているが、ブラスセクション、とりわけトランペットはいっぱい一杯で一部破綻している。 また、ホルンもミスこそないが、音色的に魅力のある音が出せていないし、まだこの曲を自分のものに出来ていないようである。 各楽章のバーンスタイン的特長もいずれも上記の演奏より薄口となっている。 バーンスタインはきわめて表情豊かに指揮しているのだが、何か空回りしていて、楽員の仏頂面と対照的。 「おまえら、そんなにこの曲が嫌いか?」と言いたくなる。 評価はおまけして星2つ。

総合評価:  ★★
レーベル:  VIBRATO: VLL7 CD-R
演奏家:   Leonard Bernstein / Paris O
日時・場所: May 22,1981, Paris
演奏時間:  tota 83:15 ( 22:03 / 17:34 / 9:50 / 15:19 / 18:29 )
録音評:

 録音は良いとは言えない。 大きなノイズはないが、全体にややひずみっぽくクリアさには欠ける。 鑑賞に耐える範囲内ではあるが。

演奏評:

 これは、演奏的にはかなり良いと思う。 全体に陰影が濃く、魔物の跳梁している数が大目なのが、そもそもこの曲の本質を突いている。 第1楽章は冒頭から遅めで始まったあと、割と変幻自在にテンポを変えていて魅力的、しかし、そのためか中間部のつなぎはバーンスタインにしてはゆったりしていて普通。 第2楽章は冒頭から通して遅めゆったりめだが、割と熱い演奏になっている。 第3楽章もバーンスタイン流だが中間部のリズム処理は過激でなくおとなしめ。 弦のうねりが特徴的。 第4楽章は遅めで特に後半引っ張って熱い音楽になっているが、ためにセレナーデではなくなっている。 最終楽章冒頭からやや遅めではじまり、中間部で更に遅くなる。 フィナーレに向かってはテンポを揺さぶり、ラストの1音の引っ張り方は正しくバーンスタイン流。 録音の悪いのと第4楽章の違和感は気にするべきかとは思うが、少々甘めに星2つ半。

総合評価:  ★★☆
レーベル:  RARE MOTH: RM466/7
演奏家:   Leonard Bernstein / New York PO
日時・場所: 1985
演奏時間:  total 82:56 ( 21:49 / 17:12 / 10:33 / 14:48 / 18:34 )
録音評:

 録音はこれも良くない。 大きなノイズこそないが、全体に音がこもりがちでクリアさに欠ける。

演奏評:

 バーンスタインの7番の演奏中でこれが一番の出来ではないかと思う。 オケも指揮者もこの曲を完全に自分のものにして、演奏の細部にわたり余裕が感じられる。 各楽器の音もすばらしく、人馬一体というか、指揮者の意図が隅々まで行き届いている感じ。 全体を通じて光と影の対比が見事であり、テンポの細かな変更が絶妙。 とりわけ、両端の楽章のテンポの振り方は見事である。 また、間の3つの楽章はエレガントかつチャーミング。 録音が良かったら、文句なしに星3つだが、やはり、このハンデは無視できない。厳しいが、星2つ半。

総合評価:  ★★☆
レーベル:  DGG: 419211-2
演奏家:   Leonard Bernstein / New York PO
日時・場所: November & December 1985, Avery Fisher Hall, New York
演奏時間:  tota 82:07 ( 21:40 / 17:02 / 10:22 / 14:42 / 18:21 )
録音評:

 やや残響が強めだが、解像度は十分でクリアかつノイズなし。 DGGのこのころの録音としては優秀。

演奏評:

 上記と同時期の演奏と思われる。 解釈上は同じ。 幾分こちらの方が温度が低い感じもするが、大きな問題とはならない。 録音が良いのでこちらは文句なく星3つ。 バーンスタインの7番ならこれだろう。

総合評価:  ★★★
レーベル:  Disco Archiva: 565 CD-R
演奏家:   Leonard Bernstein / New York PO
日時・場所: 1986,
演奏時間:  tota 85:48 ( 21:58 / 16:43 / 10:42 / 14:44 / 21:41 )
録音評:

 このレーベルの録音としてはかなり良い方だが、まあそこそこクリアと言う程度。 残響は割と少なめでデッドである。 テープヒスははっきり聞こえるが不快な程ではない。

演奏評:

 個人所蔵の超レア音源ばかり扱っているレーベルでこの録音はラジオ放送用のマスターテープのコピーらしい。 番組の初めと終わりのナレーションも入っているので実質の演奏時間は3分ちょっと短い。 ということは85年の録音とほとんど同じである。 実際に同時期の同じ演奏家のものなので解釈上の変化はなく、演奏の出来映えも上記2つと同程度。 録音がやや劣る分を減点して星2つ半。

総合評価:  ★★☆
レーベル:  World Music Express: WME-S-CDR-1238/9 CD−R
演奏家:   Leonard Bernstein / New York PO
日時・場所: March, 1986, Avery Fischer Hall, New York
演奏時間:  total 80:06 ( 21:06 / 16:36 / 10:08 / 14:18 / 17:58 )
録音評:

 残響は程々で比較的クリアだが、フォルテでやや歪みっぽくなることがあるのとテープヒスが割と大きい。

演奏評:

 これも、上記とほぼ同様の解釈であり、演奏上の傷も少なく名演。 最終楽章はこの演奏が一番熱い。 しかし、録音の分を減点して星2つ半。

総合評価:  ★★☆

ベルティーニの演奏

レーベル:  fontec: FOCD9195
演奏家:   Gary Bertini / Tokyo Metropolitan SO
日時・場所: 29th June 2003, Minato Mirai Hall, Yokohama
演奏時間:  total 74:58 ( 20:56 / 15:29 / 9:03 / 12:27 / 17:03 )
録音評:

 すっきりと、非常に高解像度で残響も適度。 好録音である。

演奏評:

 ベルティーニの7番は後の年になるほど淡白になって行くような感じがする。 これもなかなか名演だとは思うが、他の2つに比べると温度が低く渋い感じ。 これはこれで良いのだが、ときどきマエストロのうめきだかため息だか分からない声が入っている。 ちょっと疲れてるのかなーという感じ。 都響はこのCDでは大健闘している。 ちょっと弦が薄めなのが残念だが・・・

総合評価:  ★★☆
レーベル:  EMI: TOCE 6767-68
演奏家:   Gary Bertini / Koeln RSO
日時・場所: Feburuary 1990, Philharmonie, Koeln
演奏時間:  total 78:48 ( 21:33 / 15:55 / 9:46 / 13:32 / 18.02 )
録音評:

 ノイズはなく、残響もほどほど、分解能もまあまあなのだが、何か紗が1枚かかっている感じがある。 悪くはないのだが。

演奏評:

 テンポ設定はオーソドックスであり流れに逆らわない自然体、その割に結構熱い感じがする。 クーベリック/ニューヨークフィルに近い感じ。 しかし、そこまでは到達しきれない。 何が違うのか考えてみたら、個々の楽器の名人芸的な音色の差だと思う。 但し、最終楽章の後半の粘り方はこっちの方が上か。 評価はちょっと悩むが、星2つ半としておく。

総合評価:  ★★☆
レーベル:  Lucky Ball: LB0012 CD−R
演奏家:   Gary Bertini / Berlin PO
日時・場所: 28th March 1981
演奏時間:  total 81:47 ( 24:30 / 17:27 / 9:21 / 13:19 / 17:10 )
録音評:

 録音は芳しくない。 テープヒスは仕方ないにしても、残響が何だか変である。 何らかの電気信号処理をしているのではないかと思う。 また、ベルリンフィルの厚い低弦を拾いきれていない。 鑑賞に堪えるレベルではあるが・・

演奏評:

 入手できたベルティーニの7番中最も古く、しかもこれだけが客演、かつバーンスタインショック後マーラーを振り出したカラヤンの君臨していたベルリンフィルが相手というのに、これが演奏としては一番凄い! 特に第1、第2楽章に関しては4つ星にしようかと思った程である。 しかし、あとの3楽章がいけない。 第3、第4楽章に関しては、後の演奏の方が良い。 最終楽章は、ある意味吹っ切れた潔さはあるが、カラッと晴れた青空みたいな演奏で、何か違うと思う。

総合評価:  ★★☆

ブロックの演奏

レーベル:  ALPHA_CLASSICS: ALPHA 592
演奏家:   Alexandre Bloch / Lille National O
日時・場所: 2019, Auditorium du Noveau Siecle, Lille
演奏時間:  total 74:16 ( 21:01 / 14:58 / 9:47 / 11:36 / 16:50 )
録音評:

 極めてクリアであり、ノイズなし。 残響は程々だが、低音部はややかぶり気味。 優秀な録音である。

演奏評:

 第1楽章冒頭から、早めでキビキビした感じの演奏だなーと思っていると、途中から独特のためやひっぱりが混じり始め結構テンポを揺さぶる。 打楽器群の低音部がかなり強いのが音響的特徴。 第1楽章の出来はなかなか良い。 第2楽章冒頭の第1ホルンがやや硬質な音色だが、第2ホルンとの対比を明確にするため、あえてそうしている感じである。 この楽章はそれほどテンポは揺さぶらないが、出来はいいと思う。 そして、第3楽章! 思いっきりテンポを揺さぶり、アゴギーグたっぷり。 極めて魅力的である。 しかし、第4楽章は、冒頭のソロこそ独特のひっぱり方で面白いが、その後は凡庸。 この楽章はちょっとがっかりである。 最終楽章冒頭のファンファーレはじっくり高らかにやっているが、そのあとは結構テンポを揺さぶっている。 かなり遅めの部分と、史上最速かと思うくらい駆け足の部分が目まぐるしく交代する。 このテンポの振り回し方には賛否が出るところだろう。 私は嫌いではない。 総じて、マエストロが結構やらかす無茶にオケが完璧についていってる感じ。 機能的には素晴らしいオケだと思う。 ただ、音色の魅力としては、あと一歩。 評価は少し甘めかとも思うが星2つ半。

総合評価:  ★★☆

ブーレーズの演奏

レーベル:  DGG: 447756-2
演奏家:   Pierre Boulez / Cleveland O
日時・場所: November 1994, Cleveland
演奏時間:  total 74:53 ( 23:25 / 13:56 / 9:14 / 10:38 / 17:00 )
録音評:

 やや残響が多め。 見晴らしが悪いという感じではないが、微かに紗がかかったような感じである。 これは、この演奏には合っていると思う。 優秀録音だとは思う。

演奏評:

 第1楽章冒頭から、独特の沈み込んだ感じが、ああ7番だなーと感じて良い。 テナーテューバの音も素晴らしい。 遅めのテンポで、音響的には厚めでありながら弱音細部まで細かく描出されており、個々の楽器の音色も申し分ない。 第1楽章としてはトップクラスの演奏である。 第2楽章冒頭、たっぷりホルンが引っ張った後は、やや速めのテンポで進みカウベルの登場のあたりからテンポを落とす。 この楽章でも各楽器の音色の良さが魅力的である。 ところが第3楽章では、この傾向が裏目に出て、不気味さや不吉さがなく淡白な感じがする、ビオラソロや低弦が頑張っている部分もあるのだが、なんかずれている。 そして、第4楽章が異様に速く、音色を楽しめない。 最終楽章は、VPOのものと同じく軽い感じなのだが、不徹底というか中途半端で、魅力を生じるに至っていない。 最初の2つの楽章だけなら星3つを伺う出来なのだが残念である。

総合評価:  ★★
レーベル:  GNP: GNP29/30 CD−R
演奏家:   Pierre Boulez / Vienna PO
日時・場所: August 15, 1996
演奏時間:  total 76:29 ( 22:52 / 14:23 / 9:58 / 11:19 / 17:57 )
録音評:

 CD−Rとしては、まあまあ。 残響も程々で音質はクリア。 ノイズもほとんどない。

演奏評:

 全体に響きがきれいで、特に弦の音色が良いのはさすが天下のVPOである。 第1楽章冒頭からやや遅めで引っぱり加減だが、速度的メリハリはあり、割と熱い。 この楽章の終わり頃でホルンが速いパッセージを吹き損なってめろめろとなり、その直後に引きずられたのか、トランペットが吹き間違えるところがある。 全体の水準が非常に高い演奏だけに惜しい。 第2楽章は、冒頭こそゆったり聴かせるが、その後は速め。 第3楽章は、あまり特殊なところはなく、むしろ平凡。 第4楽章は、やはり非常に速い。 最終楽章は、テンポもそれなりに揺さぶり、引っ張るところは引っ張るが、基本的に軽やかで清々しく、それがある意味魅力でもあるが、7番としては違うのではないかと思う。 こういう演奏もあっていいとは思うし、聞き所もいっぱいあって、2つ半でも良いところなのだが、第1楽章終盤の傷を考え★2つ止まりとしておく。

総合評価:  ★★
レーベル:  KARNA MUSIK LIVE: KA-255M
演奏家:   Pierre Boulez / London SO
日時・場所: Ocober 13, 2004
演奏時間:  total 78:29 ( 22:48 / 15:31 / 9:46 / 11:48 / 18:36 )
録音評:

 録音はかなり悪い。 最初から最後までビーとかジーとかいう類いの電子ノイズが聞こえており、かなり気になる。 全体に音量が大きめである。 ということはフォルテッシモでサチる。 残響はほどほど。

演奏評:

 演奏はまあまあ良い。 DGGあたりと較べると、ライブのせいもあるのか、こちらの方がずっと熱っぽくノリが良い。 しかし、ライブならではの傷も幾つかある。 同じブーレーズの7番でありながらDGGのものとかなり違う。 第4楽章が異様に速いのは他の演奏とも共通したブーレーズの演奏の特徴。 最終楽章は長さの割に淡白。 録音にかなり難があるので★1つ半。

総合評価:  ★☆
レーベル:  DIRIGENT:DiR-0468 CD-R
演奏家:   Pierre Boulez /Chicago SO
日時・場所: November 2006, Chicago
演奏時間:  total 76:03 ( 22:35 / 14:53 / 9:36 / 11:06 / 17:53 )
録音評:

 最近の録音の割にはクリアさが今ひとつ。 残響はそれほど多くはない。 鑑賞には大きな問題はないレベル。

演奏評:

 上記より更にあとの演奏だが、何だか全体に淡白である。 第1〜第3楽章を通じて速度的メリハリが従来より弱く、ブーレーズの魅力が出ていない。 第4楽章はやはり速い。 最終楽章が最も出来が良く、ブーレーズにしては重い演奏でメリハリもある。 しかし、全体を通して聴くと、「老いたか」と感じてしまう。 ★は2つ。

総合評価:  ★★
レーベル:  DIRIGENT: DIR-0752 CD-R
演奏家:   Pierre Boulez /Royal Concertgebouw O
日時・場所: January 21, 2011, Amsterdam
演奏時間:  total 78:30 ( 23:54 / 15:35 / 9:17 / 11:01 / 18:43 )
録音評:

 最近の録音の割にはクリアさが今ひとつ。 残響はほどほど。 鑑賞が辛くなるほど悪くはないレベル。

演奏評:

 全体に速度的メリハリは弱い。しかし、上記よりは第1、第2楽章の出来は良い。 第3、第4楽章が速いのも他の演奏と共通。 最終楽章が幾分遅めでやや弛緩した感じの部分があるのが残念。 ★は2つ。

総合評価:  ★★
レーベル:  DIRIGENT: DIR-0919 CD-R
演奏家:   Pierre Boulez /Royal Concertgebouw O
日時・場所: January 22, 2011, Koeln
演奏時間:  total 75:34 ( 22:38 / 14:52 / 8:58 / 10:35/ 18:31 )
録音評:

ノイズなくクリア。 残響も適度であり好録音。

演奏評:

上記の翌日、同じメンバーだが国外公演。 同じ解釈のはずが、演奏時間を見ても分かる通り、だいぶ速くなっている。 全体にしまってきびきびしており、非常にノリが良い。 これはブーレーズの7番中の最右翼かと思う。 ★2つ半差し上げる。

総合評価:  ★★☆

シャイーの演奏

レーベル:  DECCA: 444446-2
演奏家:   Riccardo Chailly / Royal Concertgebouw O
日時・場所: April 1994, Concertgebouw, Amsterdam
演奏時間:  total 83:54 ( 24:51 / 16:12 / 10:23 / 13:28 / 19:00 )
録音評:

 クリアで解像度良く、ノイズもない。 残響も適度であり好録音と言える。

演奏評:

 遅めの演奏ではある。 が、遅めの中でもかなりユニークである。 最初、ぼんやり聞いた時には×かと思ったが、今じっくり聞いてみると、悪くはない。 まず、弦を抑えめでひたすらきれいな音色で聞かせたり、随所に独特の響きがある。 引っ張ったり、ためたり、止まったりとテンポの表情もかなり独特である。 全楽章にわたってこうだが、特に第1、第2楽章が魅力的。 コンセルトヘボウ管の美音を巧く引き出している。 ただ、最終楽章で、遅いが故にやや弛緩しすぎる部分があるのが惜しい。

総合評価:  ★★

ダウスゴーの演奏

レーベル:  DIRIGENT: DIR-2064 CD-R
演奏家:   Thomas Dausgaard / BBC Scottish SO
日時・場所: May 18, 2017, Glasgow
演奏時間:  total 77:37 ( 21:25 / 15:52 / 10:14 / 12:38 / 17:28 )
録音評:

 デジタル録音となっているが、終始ホワイトノイズが入っており、アナログっぽい。 解像度はそれ程高くないが、いい音で録れてはいる。鑑賞にはなんら問題ない。

演奏評:

 この指揮者もこの録音で初めて聴いたが、タダモノではなさそうである。 結構ユニークなところがある演奏で全体としては標準ないし、やや速めのテンポながら、結構テンポを動かし、そのやり方が面白い。 7番の演奏としては割と熱く、時に叙情的であり、異端の演奏と言えるが独特の魅力がある。BBCスコットランド響からこれだけ良い音を引き出しているのはなかなかだと思う。 特に第1楽章と第4楽章は星3つもの。 ただ、最終楽章が、前半やや急ぎ過ぎて荒いのが残念。 しかしこの指揮者は将来さらにすごい演奏をしそうな気がする。 星2つ半の評価としておく。 

総合評価:  ★★☆

ディクソンの演奏

レーベル:  Lanta Fe Music: LF-434 CD-R
演奏家:   Dean Dixon / Frankfurt RSO
日時・場所: September 22, 1972, Hessen
演奏時間:  total 79:52 ( 22:00 / 15:40 / 10:31 / 13:21 / 18:20 )
録音評:

全体にヒスノイズが目立ち、解像度は悪い。 残響が強すぎないのが救い。 何とか鑑賞に耐えるレベルではある。

演奏評:

 この指揮者はこのCDで初めて知ったが、インバルより以前にフランクフルト放送響の常任だったことのある人らしい。 中堅どころで、あまり目立った活躍のなかった人のようだが、この時代にライブで7番やってる心意気は買える。 ただ、このころのフランクフルト放送響は後のインバル時代に比べると、だいぶ技術的には落ちるようである。 ライブだからといえばそれまでだが、事故の目立つ部分がある。 第1楽章冒頭のテナーチューバだが、正しくユーフォニウムの音がしている。 そのため、やや違和感がある。 テンポは標準的なところから始まるが、その後は遅めで引張り気味になり、荘厳な感じが出てなかなか良い。後半の方で少々やりすぎて一瞬アンサンブルが乱れるのは残念だが、まあ許せる範囲。 続く第2楽章がいただけない。 冒頭、標準的なテンポで始めて、途中でぐっとテンポを落とすという面白い試みをしているのだが、残念ながらオケがタイミングをつかみきれずアンサンブルが乱れてしまう。 その後、この楽章を通じてホルンがヘロヘロでミスがやたら目立つ。 どうしちゃったんだろうという感じ。 第3楽章は冒頭から遅めのテンポで押し通しているが、あまり成功しているとは言い難く、何か緊迫感がそがれるだけに終わっている。 終わり近くで弦がやる下降音階のグリッサンドがここまで遅いのは他であまり聞いたことがない。 第4楽章は冒頭から、ゆっくりゆったりタイプの演奏で、美しいのだがあまりセレナーデになっていない。 この楽章のホルンはきれいで合格点。 終始テンポを変えず、後半のアッチェルランドも軽くやり過ごしている。 間延びするギリギリのところで寸止めになってる感じ。 終楽章は冒頭のティンパニー連打は普通だが、次のファンファーレでブラスセクションが危なっかしく、だめかなと思ったがすぐに持ち直し、この後終始荘厳な雰囲気を保つ。 おおむね標準的なテンポながら、ポイントになるところではテンポを落とし、下品さが出るのを拒否している。 これはこれでなかなか説得力があるやり方だと思う。 通しで聴いてみて、両端の楽章だけなら星2つ半あげられるが、第2、第3楽章にかなり問題があるし、録音も良くないので星2つにとどめておく。

総合評価:  ★★

デュダメルの演奏

レーベル:  DGG: 479 1700
演奏家:   Gustavo Dudamel / Simon Bolivar SO
日時・場所: March,2012, Centro de Accion Social por la Musica, Sala Simon Bolivar, Caracas
演奏時間:  total 78:51 ( 22:12 / 16:14 / 9:30 / 13:00 / 17:55 )
録音評:

残響適度。 解像度良く、澄んだ非常に良い音で、ノイズもない。

演奏評:

 第1楽章冒頭からテンポを適度に揺らしながら進む、引っ張るところは結構引っ張るが、強引な感じはなく自然である。このあたりが、この指揮者の非凡なところだろう。 オケの音色は極上とは言えないが、一流の水準にはある。 第2楽章冒頭のホルンの掛け合いの部分は、いかにも音が硬い。 もっと牧歌的な響きが欲しいところである。 テンポはやや遅めであまり動かさず、ちょっと単調に傾く。 第3楽章は弦の刻み方が独特できれい。 もう少し毒が欲しい感じではあるが、ワルツとしては重い。 中間部のリズム処理も普通。 第4楽章冒頭の引っぱりはそこそこ。 冒頭からホルンの音が何とものどかである。 こんな柔らかい音出せるんなら何で第2楽章がああなんだよと言いたくなる。 で、この楽章は結構あちこちでテンポを揺さぶっている。 セレナーデではなくなっているが何だかほんわかと暖かくて珍しい演奏である。 最終楽章冒頭は速めで、そのまま突っ走る感じだが、じりじりと速度が落ち、その後は結構テンポが動く。 これが中々良い感じ。 全体に清々しくて、良い意味で若い演奏だが、中間の楽章ではもう少し毒が欲しい。 星は2つ。

総合評価:  ★★
レーベル:  DIRIGENT: DIR-1309 CD-R
演奏家:   Gustavo Dudamel / Philharmonia O
日時・場所: November 14, 2013, London
演奏時間:  total 78:51 ( 22:35 / 15:57 / 9:37 / 12:23 / 17:25 )
録音評:

解像度、残響はまあまあだがホワイトノイズがかなり多く、音量の小さいところではかなり目立つ。中高域にやや寄っていて低域は弱め。

演奏評:

 第1楽章冒頭かなり速いが、その直後急に遅くなり、以後かなりテンポが動く、フレージングなど個性的な部分が多い。第2楽章冒頭のホルンの音色は普通程度だが、その後随所で良い音を出している。この楽章でもテンポは自在に動く。第3楽章は当初おとなしめだが、後半揺さぶる。かなりユニークだが悪鬼跳梁という感じではない。第4楽章は冒頭こそさらっと流すが、セレナーデよりは濃い口。かろやかさが今ひとつでむしろ熱情的。 好みは分かれるだろう。 最終楽章冒頭は普通に速めでお祭り騒ぎに突入するが、しばらく快速運転を続けた後急激にテンポを落として完全停止したかと思うと急発進したり、テンポの動かし方が過激。この楽章も個性的である。 全体にユニークでありながらそれなりに説得性のある演奏だが、ノイズがかなり気になる。★半分減点しての★2つ。

総合評価:  ★★

エッシェンバッハの演奏

レーベル:  DIRIGENT: DIR-2005 CD-R
演奏家:   Christoph Eschenbach / Paris O
日時・場所: October, 2009, Paris
演奏時間:  total 87:54 ( 23:53 / 18:09 / 11:06 / 16:11 / 18:35 )
録音評:

 残響はまずまずで解像度も高い。 まあまあのレベルである。

演奏評:

 曲間の音がかなり長く入っているので、実際の演奏時間はこれより短いとはいえ、遅い演奏である。しかし、クレンペラーの様に終始おそいのではなく、かなりテンポは揺さぶる方であり、音響的にもほうっと思わせるようなユニークなところが多々ある。第1楽章と第4楽章はかなり独特で出来がいい。しかし終楽章があと一歩の感じでもの足りない。星はそれでも2つ半は出せるできだと思う。 

総合評価:  ★★☆

フェルツの演奏

レーベル:  DREYER・GAIDO: CD21041
演奏家:   Gabriel Feltz / Stuttgart PO
日時・場所: April 23 and 24, 2007, Liederhalle Beethovensaal, Stuttgart
演奏時間:  total 79:27 ( 21:47 / 15:06 / 11:09 / 13:47 / 17:38 )
録音評:

 残響も程よくクリア。 ノイズもなく良好な録音である。

演奏評:

 かなり個性的な演奏である。 全体にテンポの動かし方が極端であり、遅いところはかなり遅いが唐突に速くなり、また遅くなるというのが目立つ。 ライブゆえの傷はあるもののオケはかなり健闘しているのではあるまいか。 特に凄みを感じるのは第3楽章で、中間部のテンポの落とし方はルイジのものに匹敵するが、はるかにグロテスクである。 最終楽章のテンポのメリハリの付け方が極端であり、速い部分は弦の限界の速さに到達している。 ここでアンサンブルが崩れなかっただけでもたいしたものだと思う。 面白いとは思うが魅力的という程までこなれていない感じがする。 

総合評価:  ★★

フィッシャーの演奏

レーベル:Avi-music: LC15080
演奏家:   Adam Fischer / Dusseldorf SO
日時・場所: November 19 to 23, 2015, Tonhalle Dusseldorf
演奏時間:  total 76:52 ( 20:20 / 15:41 / 10:06 / 12:35 / 17:45 )
録音評:

 ノイズはなく、まずまずクリア。 残響もほどほど。

演奏評:

 第1楽章冒頭から、わりと標準的な演奏が始まる。 テンポを動かさないわけではないが、それほど速度変化は目立たない。最初の2楽章は悪い出来ではないが、あまり個性はない。しかし、第3楽章はかなりユニーク。ここまで弦がネチョネチョとポルタメントをかけてくる演奏は今まで聞いたことがない。 面白いが、キモいのギリギリである。第4楽章はやや速めだが、あまり軽快とは言いかねる。 最終楽章はそれなりにテンポを動かすが、ややあざとい感じがする。それと、この楽章でも弦楽器が異様にポルタメントをかける傾向にある。あまり良い趣味ではないと思う。 まあ、星は2つがせいぜい。 

総合評価:  ★★

ガッティの演奏

レーベル:URC: RC0294/5150
演奏家:   Daniele Gatti / French National O
日時・場所: March 31, 2011, Theatre du Chatelet, Paris
演奏時間:  total 89:06 ( 26:11 / 18:27 / 9:23 / 14:15/ 20:50 )
録音評:

 全体にホワイトノイズが入っているが鑑賞の邪魔にはならないレベル。それ以外のノイズはない。音の鮮度はまずまずで残響は適度。

演奏評:

 第3楽章を除き、どの楽章も遅い。 しかし、トータルでかろうじて90分を切っているところがミソである。 第3楽章はわりと平凡だが、それ以外の楽章は遅さが説得力をもっており、しかも遅すぎて苛立つギリギリのところで寸止めされている。とりわけ、両端の楽章の出来が良い。最終楽章をここまで遅くして成功しているのは見事だと思う。フランス国立管からこういう陰鬱な音を引き出すのもすごい実力だと思う。ただ、あと一息揺さぶりを掛けてもいいかなと思わないでも無い。さらに上の演奏が出てくることを期待して、星は2つ半としておく。

総合評価:  ★★☆

ゲルギエフの演奏

レーベル:  Harvest Classics: HC06103 CD-R
演奏家:   Valery Gergiev / Rotterdam PO
日時・場所: September 14, 2007,De Doelen, Rotterdam
演奏時間:  total 76:26 ( 21:01 / 15:06 / 8:28 / 13:31 / 16:32 )
録音評:

 そこそこクリアで残響もほどほど。

演奏評:

 ゲルギエフは爆裂系というイメージが先行しているように思うが、少なくともこの演奏に関する限り薄口醤油味である。 全体に速いと感じるところが多く、あっさりとしている。 時にためは作るものの、悪辣な部分はない。 あまり特徴のない演奏だが、唯一第3楽章が非常に速く、しかも説得力がある。 後半の2楽章はややオケが乱れ気味。 まあ、星は2つくらい。

総合評価:  ★★
レーベル:  LSO Live: LSO0665 SACD hybrid
演奏家:   Valery Gergiev / London SO
日時・場所: March, 2008,Barbican,London
演奏時間:  total 72:00 ( 20:47 / 13:43 / 9:07 / 11:45 / 16:13 )
録音評:

 残響適度でクリア。 ノイズもなく優秀録音といえる。

演奏評:

 上記の約半年後だから指揮者の解釈の基本が大きく変わることはないはずだが、だいぶ印象が違う。 演奏時間を見ると第2楽章が短くなり、第3楽章が長くなってはいるが、大きく変わってはいない。 しかし、オケが格上なせいなのか、細部にわたって印象が変わっている。 第1楽章は比較的標準的なテンポの中の速めの方だが、細かなテンポのメリハリはあり、聞かせどころでは適度に引っ張っていて、おっ、良いじゃんという感じ。 アゴギーグは強すぎず、それでいて適度に悪魔的である。 第2楽章冒頭のホルンの掛け合いはなかなかうまい。速めのテンポ設定が成功しており、各楽器の音色も魅力的。 第3楽章は速めながら中間部で独特の引っ張り方をしていてなかなか良い。 第4楽章も速めのものの中ではかなり高水準にあり、こういうのもいいなあと思う。 最終楽章は冒頭から飛ばしており、快速演奏の類いだが、終盤速度を落とし、これがはまっていて、この奇怪な楽章の解釈に新しいタイプの解答を与えていると思う。 いささか甘いかとも思うが星2つ半差し上げる。

総合評価:  ★★☆
レーベル:  SUNJAY CLASSICS: SUCD-85-K CD-R
演奏家:   Valery Gergiev / London SO
日時・場所: September 3, 2008,Salle Pleyel, Paris
演奏時間:  total 71:59 ( 21:15 / 13:41 / 9:06 / 11:40 / 16:17 )
録音評:

 残響は適度。 ライブらしい会場騒音は拾われているが、これはプラス方向のノイズ。

演奏評:

 上記より更に6ヶ月あと、同じ演奏者によるパリ公演のライブである。 解釈は同じなのだが、ノリが違う。 オケもより慣れて来た感じでソリストたちがノビノビやってるのが伝わってくる。第1、第4、第5楽章は明らかにこっちの方が上。 しかし、第2、第3楽章に関しては、上記の演奏の方が妖気が強くて上のように思う。 特に第3楽章の中間部は普通のやり方になっていて残念である。 第4楽章は、反対にトップクラスの出来映えで実にチャーミング。 最終楽章は、これも白眉と言え、速めの演奏の中では私の一押しにしても良いと思う。 第2、第3の出来があと一息なので星3つとするのは自重するが・・・

総合評価:  ★★☆
レーベル:  DIRIGENT: DIR-0809 CD-R
演奏家:   Valery Gergiev / London SO
日時・場所: March 26, 2011,Paris
演奏時間:  total 72:25 ( 21:39 / 14:10 / 9:22 / 12:57 / 16:17 )
録音評:

 残響適度でクリア。 ノイズもなく優秀録音である。

演奏評:

 上記の2年半後の演奏。 解釈の基本は変わらず、より完成度があがっている。 演奏時間を見ると、驚くほど変化が少ないが、この演奏の特徴は熱いこと。 悪魔的でありながら、熱情的である。 そして速い。 駆け足というよりも、全力疾走、あるいは疾風怒濤の演奏である。 とりわけ、最終楽章が凄い。 甘いという批判は覚悟の上で、この演奏には星3つ差し上げたい。

総合評価:  ★★★

ギーレンの演奏

レーベル:  haenssler CLASSIC: CD93.030
haenssler CLASSIC: CD93.130
Intercord: 7243 5 44064 2 3
演奏家:   Michael Gielen / SWR SO
日時・場所: April 19-23, 1993, Hans-Rosbaud Studio, Baden-Baden
演奏時間:  total 79:25 ( 21:53 / 16:42 / 9:41 / 12:55 / 18:14 )
録音評:

 Intercordのものよりhaensslerのものの方が音量設定が大きくなっているが、本質的な差はほとんどない。ただ、幾分Intercordの方が低音部が厚めだが、その分歪みっぽいか。いずれもテープヒス少々以外には目立ったノイズなく、そこそこ聴ける音質。 解像度が非常に高い類いの録音ではない。

演奏評:

 オーストリア放送響との演奏より10年あまりあとのものだが、解釈の基本線は同じ。 しかし、細部では変化があり、演奏時間も4分程延びている。 スタジオ録音ということもあり、ミスはないが、何となく今一歩踏み込みが弱く遠慮気味な感じがする。 第2楽章はやや間延びした感じ。 後半の3楽章はなかなかな出来だが、ちょっと大人しい気がする。

総合評価:  ★★
レーベル:  Rucky Ball: LB0026 CD-R
演奏家:   Michael Gielen / Austrian Radio SO
日時・場所: March 7, 1980
演奏時間:  total 75:47 ( 20:59 / 15:20 / 9:36 / 12:49 / 17:03 )
録音評:

 かなり盛大にテープヒスが聞こえる。 残響はまあまあだが、あまり解像度は良いとは言えない。 鑑賞には耐えるレベル。

演奏評:

 全体に速めの中で、時々たっぷり引っ張る。 また、弦の刻み方が独特のエネルギッシュなもの。 全体に、エネルギー感があり、第1楽章などロマンチックですらある。 第3楽章もちょっと独特で面白い。 縦横にテンポを揺するし、弦を暴れさせるし、かなり良いのだが、時にやりすぎてアンサンブルが乱れる。 最終楽章は、えらく開放的で、すがすがしい午前中の音楽になってしまっているが、まあ許すという感じ。 プラスマイナス打ち消し合って星2つ。

総合評価:  ★★
レーベル:  ILIVE SUPREME: LSU1041-2 CD-R
演奏家:   Michael Gielen / SWR SO
日時・場所: 2002, Baden-Baden
演奏時間:  total 79:55 ( 22:03 / 16:45 / 9:47 / 13:02 / 18:18 )
録音評:

 ここまで3つの中では最もクリアで良い録音と言える。 ただ、最終楽章の最後の方でややサチる。 惜しい。

演奏評:

 おおむね1993年のスタジオ録音と同解釈であり、ライブである点と録音が良い点から、手に入るならこっちがベター。 第2楽章が少々モターっとした感じなのも同じ。 悪くはないのだが、★は2つ止まり。

総合評価:  ★★
レーベル:  SUNJAY CLASSICS: SUCD-87-K CD-R
演奏家:   Michael Gielen / NDR SO
日時・場所: May 5, 2008, Humburg
演奏時間:  total 96:14 ( 26:56 / 19:44 / 11:42 / 16:05 / 21:47 )
録音評:

 残響は程々で分解能もまずまずだが、終始かすかにブーッというノイズが入っている。

演奏評:

 2002年のライブと演奏時間を比較して頂きたい。 異常に遅くなっているのがお分かりと思う。 第1楽章、第4楽章ならびに最終楽章に関しては、この遅いテンポも何とか仇とはならずにすんでいるが、第2楽章は明らかに間延びして弛緩しきってしまっているし、第3楽章は重い。 ワルツというより蛮族の踊りという感じ。 キラリと光る部分もあるのだが、総合で良い評価にはならない。

総合評価:  ★★
レーベル:  SUNJAY CLASSICS: SUCD-201-K CD-R
演奏家:   Michael Gielen / Berlin PO
日時・場所: September 21, 1994, Philharmonie, Berlin
演奏時間:  total 82:16 ( 22:52 / 17:05 / 10:28 / 13:41 / 18:10 )
録音評:

 クリアで分解能が良い。 残響は気持ち多めだが、聴き辛いレベルにはなく、むしろ音色が良く魅力的である。

演奏評:

 これが、ギーレンの7番としてはベストかもしれない。 演奏時間もまともだし、テンポの変更が自在で音楽のノリも良い。 一部にライブ故の傷はあるものの、致命的なミスはなく、ベルリンフィルによる7番としても最良のものではあるまいか。 これには星2つ半差し上げる。

総合評価:  ★★☆
レーベル:  URC: URC0306/8 CD-R
演奏家:   Michael Gielen / NHK SO
日時・場所: April 8, 1977, NHK Hall, Tokyo
演奏時間:  total 73:24 ( 20:49 / 14:33 / 9:07 / 12:32 / 16:23 )
録音評:

 ノイズは目立たないが、解像度はトップクラスとは言えない。 残響は適度。 フォルテシモでややサチる感じ。周波数レンジもやや狭い印象。

演奏評:

 ギーレンの7番で一番古い録音かと思う。オケがどこだかわからんと表記されている。割と熱い演奏である。ギーレンは若い頃は特にスタジオ録音だと冷徹というイメージがあるが、概してライブだと熱いように思う。第1楽章は冒頭から速めのテンポで進むが後半から一転して異様に遅いテンポを採用し独特の味を出している。非常にユニークで面白い。 第2楽章もテンポの揺さぶり方が独特。第3楽章がある意味一番平凡だが、闇は感じられる。 第4楽章はえらく攻撃的で、これも珍しい。最終楽章冒頭は典型的な速めの演奏で、このまま突き進むのかと思ったが終盤になり思いっきりテンポを振り回すようになり、例の重爆撃機の飛行のところは適度な遅さでたっぷり聴かせる。 そしてコーダは高速で駆け抜ける。 直後に割れんばかりの拍手。後の演奏とは違い7番としては高速演奏といえる。総括すると、闇は深いが、何故か明るく元気な演奏。 王道ではなく異端の演奏だが、悪くないと思う。 星は2つ半。

PS: その後、みーちゃさんという方から、この演奏に関する情報を頂戴しました。なんとオケはN響で、定期公演つまりNHKホールでの演奏とのことです。やっぱりN響もバカにできません。情報をどうもありがとうございました。

総合評価:  ★★☆

ギルバートの演奏

レーベル:  DIRIGENT: DIR-1244
演奏家:   Alan Gilbert / Cleveland O
日時・場所: Marcch 21,2013, Cleveland
演奏時間:  total 78:54 ( 22:20 / 15:28 / 10:26 / 12:08 / 18:32 )
録音評:

 ノイズはなく残響ほどほど。解像度は今一歩だが鑑賞には問題なし。

演奏評:

 第1楽章冒頭から速度的なメリハリのつけ方がうまく、魅力的。これだけテンポを揺らしながら自然で嫌らしくならないのはすばらしい。第2楽章もテンポの揺らし方が絶妙であり、ここまではノリも良い演奏である。 ところが第3楽章が凡庸である。何か闇が薄いというか、魔的なもの、グロテスクなものが足りない。毒がなさすぎる。逆に第4楽章では明るさが足りない。ギターやマンドリンの音がやけに枯れていて全体に透明感がない。遅めのテンポがあだになっている感じがする。最終楽章冒頭のティンバニーはゆっくり叩くがその後はテンポをマメに動かし、引っ張るところは引っ張ってそこそこ良い演奏。全体を通してみると、テンポを細かく揺さぶるのが特徴で、はまると凄いのだが、時々オケがついていくのがやっとになってノリが悪くなる。第1、第2楽章あたりを聴いているときには★3つも考えたが、第3、第4楽章は2つどまりの内容。最終楽章で持ち直してはいるので★2つ半。

総合評価:  ★★☆

ヘンシェンの演奏

レーベル:  LASERLIGHT: 14141
演奏家:   Hartmut Haenchen / Netherlands PO
日時・場所: September 18th & 22nd ,1992, Concertgebouw, Amsterdam
演奏時間:  total 80:40 ( 23:45 / 14:52 / 11:03 / 12:53 / 18:07 )
録音評:

 ノイズはなく残響もほどほど、帯域バランスも悪くはないが、なんだかあまり見晴らしは良くない。

演奏評:

 個性的な部分は多々あるのだが、それが強い魅力とはならず、ふーんという感じで終わってしまう。 個性的なのに説得力をあまり伴っていないのである。 第3楽章など、その典型的な例で、かなり遅い演奏なのだが、それでどうしたのという感じになってしまう。 悪い演奏とは思わないが、敢えてこれを押すという魅力はない。

総合評価:  ★★

ハイティンクの演奏

レーベル:  PHILIPS: 434997-2
演奏家:   Bernard Haitink / Berlin PO
日時・場所: June 1992, Philharmonie, Berlin
演奏時間:  total 80:04 ( 22:11 / 14:54 / 10:43 / 13:05 / 19:11 )
録音評:

 充分なレベルの優秀録音。 残響も適度でノイズもない。

演奏評:

 ほとんど下記のDVDのものと同じ内容の音楽が流れている感じがする。 幾分こっちの方が、オケに余裕がある感じはあるが、やはり熱い7番である。 DVDを2つ半にしちまった以上、これも2つ半。 ちょっと甘いが・・・

総合評価:  ★★☆
レーベル:  PHILIPS: UCBP-9015 DVD
演奏家:   Bernard Haitink / Berlin PO
日時・場所: May 29-30, 1992, Philharmonie, Berlin
演奏時間:  total 80:49 ( 22:53 / 14:49 / 10:26 / 12:55 / 19:46 )
録音評:

これはDVDだから、私はたいした再生系を持ってないので、確信を持った話は出来ないが、DVDとしては、かなり良い音なのではないかと思う。 ノイズも気になることはない。

演奏評:

上記のCDとほぼ同時期だが1ヶ月前。 当然解釈の基本は同じはずだが、微妙に演奏時間のバランスが違っている。 こっちを先に聴いているので近日中に比較しようと思う。 第1楽章がやや遅め、第2、第4楽章がやや速めの演奏で、一聴して、熱い! ベルリンの低弦の厚みが遺憾なく発揮されている。 ホルンがうまいものの、音色的にあと一歩なのが惜しい。 しかし、総じて出来は良いと思う。 DVDだとどうも甘いと言われそうだが、★二つ半。

総合評価:  ★★☆
レーベル:  KARNA MUSIK: KA-287M CD-R
演奏家:   Bernard Haitink / European Union Youth O
日時・場所: August 18,1999
演奏時間:  total 72:05 ( 20:08 / 13:51 / 9:43 / 11:34 / 16:49 )
録音評:

 解像度、残響、音質などは申し分ないが、かすかに「キュルキュル、シュルシュル」というようなノイズが聞こえる。 どういう原因のものかは不明だが、気にしなければ何とかなるレベル

演奏評:

 第1楽章の出来は極めて良い。 テナーチューバの音は今まで聞いた中で1番の出来で、独特の陰影を持ち、吹奏楽的な明るさを殺して見事に夜の音楽を具現している。 また、各楽器の出来も良い。 ユースとは言え、毎度ながらこのオケのレベルの高さには驚いてしまう。 ホルンも上々だし、弦もきれいである。 演奏内容は、通常のハイティンクのものとかなり違っている。 第1楽章は非常に繊細で弱音の中でのダイナミックレンジの使い方が白眉と言える。 この楽章だけなら星3つに匹敵する。 しかし、第2楽章以後、異様に速い。 音色は良いのだからもう少しゆっくりしたらと思うのだが、第4楽章など最速の部類である。 この不満が結構あるので、全体としてみた場合、星2つ。 ものすごく惜しい。

総合評価:  ★★
レーベル:  Radio Netherlands Music: Royal Concertgebouw OrchestraCD13
演奏家:   Bernard Haitink / Concertgebouw O
日時・場所: November 16, 1969, Concertgebouw, Amsterdam
演奏時間:  total 78:39 ( 22:26 / 15:04 / 10:03 / 12:56 / 18:06 )
録音評:

時代を考えれば、まずまずと言えるが、テープヒスは聞こえるし、少々高音がきついため、フォルテで辛くなるところがある。 しかし、鑑賞に支障はないレベル。

演奏評:

 ハイティンクの7番としては、最初期のものだし、当時、7番は世界的にもあまり録音がなかった時代だと思う。 歴史的意味合いはあるだろうが・・・くらいの気持ちで手に入れたのだが、聴いてみてぶっ飛んだ。 この頃、既にハイティンクの7番の基本線は出来上がっていた・・・どころか、もしかするとこれがベストかもと思わせる。 この頃のコンセルトヘボウ管が凄かったのだろう。 音響の厚みではベルリンに負けるが、個々のソリストの技量はこっちの方が上ではないかと思う。 特に木管楽器群の細かい節回しが素晴らしい。 こういうレベルのものはあまり聴いたことがない。 ハイティンクの解釈の基本線はベルリンとのものと同一路線だが、より熱く、直球のスピードが速いというか、音楽が瑞々しいのである。 これは、余裕で★2つ半。

総合評価:  ★★☆
レーベル:  DECCA: 442050-2
演奏家:   Bernard Haitink / Concertgebouw O
日時・場所: December, 1969, Concertgebouw, Amsterdam
演奏時間:  total 78:39 ( 20:46 / 14:36 / 9:45 / 12:45 / 17:51 )
録音評:

アナログ時代らしい録音でダイナミックレンジはないし、高域の透明感も今ひとつだが、ノイズなく残響も適度で聴きやすい。

演奏評:

 かつてフィリップスから出ていた全集のうちの演奏だが、現在は発売元がDECCAに移ったらしい。 上記のものの1ヶ月後の録音だが、演奏時間が少しずつ短い。 基本解釈は同じだが、ためや引っぱりがおとなしくなっている。 十分に名演と言えるレベルにはあるが、やや温度が低い感じ。 これは、レコード用の録音とライブの差だろう。 悪くはないのだが、上記と差をつけたいので★2つとしておく。

総合評価:  ★★
レーベル:  PHILIPS: 410398-2
演奏家:   Bernard Haitink / Concertbebauw O
日時・場所: December,1982
演奏時間:  total 80:49 ( 22:47 / 15:31 / 10:58 / 12:51 / 18:42 )
録音評:

 解像度良く、残響も適度。 音質上、変な癖もなく、ノイズもほとんどない。 優秀録音。

演奏評:

 ハイティンクのものとしては、最も遅い演奏。 第1楽章〜第4楽章は、速度的には極端なことをせず、流れにそった変化に徹する形だが、独特の陰影に富んだ音色であり、これぞ夜の音楽である。 このため第3楽章までは素晴らしい出来でありトップクラスと言えるが、第4楽章ではこれが裏目に出て色彩感のないくすんだ感じとなってしまっている。 惜しい。 最終楽章では一転して、速度変化を大胆に付け、リタルダンドの末の何分の1秒間かの静止なんていうのを多用していたりする。 なかなかユニークだが聴かせる。 第4楽章さえ何とかなってれば星3つでもいいかなと思ったのだが・・・

総合評価:  ★★☆
レーベル:  PHILIPS: 464321-2
演奏家:   Bernard Haitink / Concertbebauw O
日時・場所: December 25,1985, Concertgebauw, Amsterdam
演奏時間:  total 76:52 ( 22:02 / 14:24 / 10:20 / 11:55 / 18:11 )
録音評:

 ライブゆえの会場騒音はあるが、それ以外にノイズはなく、残響もほどほど、解像度はトップクラスとは言えないが、十分なレベルにはある。

演奏評:

 クリスマスコンサートボックスの中の一つ。 1982年の演奏に匹敵するが、違いも多々ある。 こちらの方がより大づかみではあるが熱い演奏となっている。 どちらも夜の音楽ではあるが、1982年の演奏の方が闇は深い。 最終楽章はハイティンクの演奏中で一番熱い感じ、聴衆の拍手も凄い。 しかし、ちょっと荒い感じがするところもある。 悪くはないのだが、一押しとは言えず、星2つとしておく。

総合評価:  ★★
レーベル:  World Music Express: WME-S-CDR1236/7 CD-R
演奏家:   Bernard Haitink / Concertbebauw O
日時・場所: 1980
演奏時間:  total 77:32 ( 22:14 / 14:53 / 9:55 / 12:54 / 17:36 )
録音評:

 当時のものとしても良いものとは言えないし、録音テープの痛みによる音の途切れが第4楽章のところで目立つ。 残響はほどほどだが、何かざらつく感じの音である。

演奏評:

 コンセルトヘボウのものとしては、古い方に属する。 時期的には82年のものが近いのだが、むしろ曲の解釈等は69年や87年のものに近い感じで、わりとオーソドックスである。 ただ、演奏の出来が悪い。 全曲を通してホルンの出来が悪く、このために真ん中の3つの楽章に不満が残る。 コレクターズアイテム以上のものではなく、ハイティンクなら他のものをお勧めする。

総合評価:  ★★
レーベル:  URC: URC0150/1 CD-R
演奏家:   Bernard Haitink / Boston SO
日時・場所: April 14, 1986, Boston
演奏時間:  total 81:40 ( 22:55 / 15:21 / 11:29 / 12:29 / 19:26 )
録音評:

 ホワイトノイズ系のノイズが多いが鑑賞には堪えるレベル。 残響は適度である。 音質は良くない。

演奏評:

 全体として遅めで82年のものに近い。 第1楽章は遅めでテンポを自在に揺さぶりライブ故の傷はあるが良い演奏。 テナーチューバの音が良い。 第2楽章は標準よりやや速めで小気味良いテンポ。 第三楽章も正しく不気味。 第4楽章はオケの名人芸が生きてチャーミングである。 最終楽章も自在にテンポを動かしながら随所に聴かせどころを作り名演。ハイティンクとボストンとの相性は非常に良いようである。 これで、録音が優秀だったら★3つなのだが。

総合評価:  ★★☆
レーベル:  DIRIGENT: DIR-1343 CD-R
演奏家:   Bernard Haitink / Bavarian Radio SO
日時・場所: February 18, 2011, Munchen
演奏時間:  total 85:51 ( 23:56 / 16:18 / 11:45 / 13:17 / 20:35 )
録音評:

 ホワイトノイズ系のノイズが多いが鑑賞には堪えるレベル。 残響は適度である。 音質はそこそこ。

演奏評:

 上述の20世紀の演奏に比べて、全体に更に遅くなっている。 しかし、その分更に悪魔的になっているかというと、そうでもない。 何だか全体に緊張感がなく、ぬるいのである。 遅い分、弛緩している感じがする。 ハイティンクを聴くなら、これではないだろう。

総合評価:  ★★

ハラスの演奏

レーベル:  NAXOS: 8.550531
演奏家:   Michael Halasz / Polish National RSO
日時・場所: November 28 & December 2, 1994,
Concert Hall of the Polish National Radio, Katowice
演奏時間:  total 78:52 ( 20:52 / 16:54 / 9:42 / 14:00 / 17:24 )
録音評:

 やや残響が強めかなとも思うが、まずまずであり、おおむね良好。 録音上の事故はなく優秀な方だろう。

演奏評:

 廉価盤のシリーズと侮れない怪演である。 全体を通してかなり自在にテンポを揺さぶっており、おまけに音響バランスが通常と違うところが多々あって、「へえー、ここでこの楽器はこんなフレーズやってたの」という部分がたくさんあり、非常に面白い。 第1楽章冒頭の弦の刻み方からして独特だし、中間部でめいっぱい粘ってみたり、弦がまるでスタッカートのように跳ね回ってみせたり、やりたい放題と言った感がある。 特に第3楽章の中間部のリズム処理は、ルイジのものに次ぐと思う。 総合的に見てもかなり得点が高いのだが、残念ながらオケのミスが目立つ。 音色は良いのだが、弦が細かいミスを何カ所かしているし、トランペットが第1楽章で1カ所出そびれている。 このミスの多さで相殺されて★2つ。 でも、2つ半は本当はあげたい演奏である。

総合評価:  ★★

ハーディンクの演奏

レーベル:  Harvest Classics: HC06169 CD-R
演奏家:   Daniel Harding / Swedish RSO
日時・場所: March 30, 2007, Berwaldhallen, Stockholm
演奏時間:  total 78:23 ( 22:32 / 16:41 / 9:01 / 12:49 / 17:20 )
録音評:

 非常にクリアで残響も程よく、音響バランスもよい。 ノイズもなく、CD-R盤としてはトップクラスの好録音。

演奏評:

 冒頭から随所にユニークな解釈があり、説得力もあってワクワクする。 スウェーデン放送響も非常に出来が良く、スウェトラーノフの時以上に良く統制されているし、個々の楽器の音色も良い。 また、弦の粘り方が独特で面白い。 ハーディンクは天性のマーラー指揮者なのではと思わせる。 これは、天才の仕事だと思う。 ただし、まだネタおろしの段階であり、まだまだ良くなる余地もあろう。 あえて星半分だけ延びしろを残すことにする。 しかし、名演である。

総合評価:  ★★☆
レーベル:  DIRIGENT: DIR-1327 CD-R
演奏家:   Daniel Harding / Swedish RSO
日時・場所: January 24, 2014, Stockholm
演奏時間:  total 78:02 ( 22:16 / 16:00 / 9:17 / 13:06 / 17:23 )
録音評:

 ノイズはなく音質もまずまず。 残響は気持ち強め解像度もまずまず。

演奏評:

 上記の7年後の演奏で同じオケだが後退している。第1楽章はそこそこの出来だが、テンポを動かさず、この傾向は第3楽章まで続く。 第2楽章冒頭のホルンの音色が硬く、牧歌的にならない。 途中で明らかに吹き損なう事故もあり、この楽章の最後の所でクラリネットが妙な音を出したりと事故も多い。第3楽章ではドラムが金属的な妙に甲高い音を出している。 異常だが悪魔的にはならない。 第4楽章に至って急にテンポを振り回し始めるが、あまり説得力がない。 ここでのホルンは非常に良い音を出しており、なんでこれが第2楽章で出来ないんだと思う。 最終楽章は普通にお祭り騒ぎをやっている。 全体に、変な演奏であってユニークというレベルではない。 今まで聴いたハーディンクのマーラーの中では最低。

総合評価:  ★★

広上淳一の演奏

レーベル:  世田谷交響楽団: CD-R
演奏家:   Jun-ichi Hirogami / Setagaya SO
日時・場所: July 25, 1999, Showa Women's University Hitomi Memorial Hall, Tokyo
演奏時間:  total 72:52 ( 22:31 / 13:09 / 10:01 / 10:01 / 17:10 )
録音評:

 金田式ワンポイントDCマイクによるデジタル録音とのこと。 非常に解像度が高く、場内の空気感が伝わってくる。 ただ、ホールのせいなのか、極めてデッドで残響が少ない。 また、低音部が薄いが、これは演奏のせいなのか、録音のせいなのか良くわからない。

演奏評:

 かつて、コバケンが関わったりした有名アマチュアオケのライブ。 現在、このオケは消滅しているらしい。 この演奏を聴く限り、巧いオケとは言えない。 ブラスセクションが至る所でミスを犯しており、弦楽が非常に弱い。 しかし、極めてユニークな7番である。 第1楽章からしてぎょっとすることが多々あるが、何と言ってもホルンがここまで前に出てくる演奏は他には無いだろう。 ほとんどフォルテで吹きまくっている感じ。 音色も威圧的であり、猟奇的ですらある。 対照的にテナーチューバの音はずいぶんモヤっている。 また、打楽器群が妙に鮮明である。 タンバリンなんぞは、叩き方の違いで鈴の震え方が違うのがはっきり区別できる。 テンポ設定等、指揮者の解釈になる部分は標準的。 第2楽章、第4楽章は異様に速い。 そのわりに、第3楽章は平凡。 最終楽章は、第1楽章の再現とばかりホルン隊が大暴れしているが、この楽章は違和感は少ない。 全体に、ブラスが暴れ、弦はさめている。 実に奇妙な音響バランスである。 指揮者は振ってて、頭くらくらしてたんじゃないだろうか。 ともあれ、みんな一所懸命だったんだろうなあとは思う。 武士の情けで星2つ。

総合評価:  ★★

ホーレンシュタインの演奏

レーベル:  BBC LEGENDS: BBCL4051-2
Music & Arts: CD727
演奏家:   Jascha Horenstein / New Philharmonia O
日時・場所: August 29,1969, Royal Albert Hall, London
演奏時間:  total 74:22 ( 20:50 / 14:41 / 9:53 / 11:28 / 17:30 )
録音評:

 ちょっと時代を感じさせるところもあるものの、まあまあか。 ノイズはあまり目立たず、残響はほどほど。 ただし、各楽章の冒頭が直前でテープを継いだようで、出だしの第1音の頭が何ミリ秒か飛んでいる感じがするのが残念。

演奏評:

 全体に速めの演奏と言えるが、なかでテンポは結構思いっきり動かしており、聴かせるところは聴かせる。 録音のせいもあるのだろうが、ホルンの音がいまいちである。 第2楽章の掛け合いなど、何か違うなあという感じ。 しかし、結構個性的な演奏と言える。 中でも第4楽章が異様に速く、これがなかなか良い。 最終楽章もだれずになかなか宜しい。 これを反映してか、演奏終了直後の聴衆の熱狂ぶりは、この曲のCD中トップではなかろうか。 ホルンの件があるので評価は少々厳しく★2つ。

総合評価:  ★★

インバルの演奏

レーベル:  DENON:60CO-1553/4
演奏家:   Eliahu Inbal / Frankfurt Radio SO
日時・場所: May 14-17, 1986, Alte Oper, Frankfurt
演奏時間:  total 79:29 ( 24:36 / 14:38 / 10:15 / 13:13 / 16:47 )
録音評:

 クリアで残響も程よく周波数バランスも良い。 ノイズも無し。 理想的な録音の一つ。

演奏評:

 第1楽章冒頭の弦の刻み方からして独特である。 インバルのマーラーの中では最上のものではないかと思う。 通常の彼のイメージとは違い、意外な程テンポを動かして、情緒的で、悪魔的で、まさに夜の歌。 第1楽章は白眉、第3楽章も独特だが素敵!  

総合評価:  ★★★
レーベル:  Harvest Classics: HC06162 CD-R
演奏家:   Eliahu Inbal / SWR RSO
日時・場所: November 16, 2007, Liederhalle Beethovensaal, Stuttgart
演奏時間:  total 79:22 ( 23:19 / 14:38 / 11:18 / 13:14 / 16:53 )
録音評:

 録音はややデッドだがまずまず。 このくらいデッドな方が細部はむしろ聞き取りやすい。

演奏評:

 フランクフルト放送響との演奏に解釈は近く演奏時間はほとんど同じ。 ところが中身は、より極端になり、いささかくどい。 テンポを頻繁に揺さぶりアゴギーグが強い。 後半の3つの楽章の出来が良いが、ライブゆえの傷がある。 よりごつごつして不気味かつ悪魔的だが、指揮者の要求がかなり極端なため、一部オーケストラが付いて行ききれなくなっている感じのところがある。 少々厳しいとは思うが、敢えて星2つとする。

総合評価:  ★★
レーベル:  Classical & R: RR-1063 CD-R
演奏家:   Eliahu Inbal / Vienna RSO
日時・場所: June 3, 1987, Vienna
演奏時間:  total 79:49 ( 22:50 / 14:12 / 10:50 / 13:14 / 17:04 )
録音評:

 かすかにホワイトノイズはあるが、気にならないレベル。 残響は少なめ。 まあまあというところか。

演奏評:

 フランクフルト放送響の翌年の演奏だが、むしろずっとあとのSWRとの演奏に近い。 やはりテンポは揺さぶるがくどくはない。 第3楽章の揺さぶりはかなり凄くてユニーク。 ここだけなら星3つ級。 終楽章は速めの秀演。 ちょっと甘めだが、星2つ半とする。

総合評価:  ★★☆
レーベル:  EXTON: EXCL-00077 hybrid
演奏家:   Eliahu Inbal / Czech PO
日時・場所: February 25-25, 2011, Rudolfinum Dvorakova sin, Plague
演奏時間:  total 80:40 ( 22:43 / 15:24 / 11:19 / 14:00 / 17:15 )
録音評:

 やや残響は強めだが解像度は保たれており、まずまずと言える。 ただ、マエストロのハミングをかなりはっきり拾っており、うるさい。

演奏評:

 上記SWRとの演奏を更に深化させた感じ。 各楽章ともテンポを独特のタメや引っぱりで動かしており、チェコフィルが見事にそれに追随していてしなやかである。 特に第3、第4楽章がユニークな怪演。 まだ、完成形ではないような気もするが、完成するまでマエストロは生きていないかもしれない。 ちょっと甘いが、これには★3つ差し上げる。

総合評価:  ★★★

ヤンソンスの演奏

レーベル:  KARNA MUSIK: KA-405M CD−R
BR KLASSIK: 403571900101 DSD Hybrid
演奏家:   Maris Jansons / Bavarian Radio SO
日時・場所: March 9, 2007, Herkulessaal, Munchen
演奏時間:  total 78:13 ( 22:04 / 15:27 / 10:04 / 13:23 / 17:15 )
録音評:

 KARNA MUSIK:ノイズなく、残響適度、解像度も上々である。CD−Rとしては最上級の録音。
BR KLASSIK: これは、同じシリーズの8日と9日のライブを編集したものだが、ほぼ同様のものなので、まとめて扱う。 録音は非常に優秀。

演奏評:

 非常に速度的なメリハリの利いた、きびきびした演奏である。 それでいて、第4楽章などは叙情性たっぷりだし、各楽章ともホルンの音色は実に良い。 第4楽章までは、星3つか2つ半かと迷っていた。 ところが、最終楽章が慌ただしい。 速度的なメリハリはあるが、全体に速く、とくに集結部はさっさと駆け抜けてしまう感じで終わり、聴衆もあっけにとられる感じで、拍手が始まるのが遅れてしまう程である。 全体的には非常に個性的かつ魅力的な演奏だが、最終楽章は違うだろという感じ。

追記: バイエルン放送からの自主制作盤を聞いてみたが、印象は同じ。 従って評価は変わらない。 最終楽章も水準には達しているのだが、それまでの4楽章に比べるとなァとなってしまう。

総合評価:  ★★☆
レーベル:  SIMAX: PSC1271
演奏家:   Maris Jansons / Oslo PO
日時・場所: March 23 and 24, 2000, Oslo Konserthus
演奏時間:  total 81:40 ( 23:04 / 16:24 / 10:47 / 14:11 / 17:14 )
録音評:

 録音は悪くはない。 残響程々でクリアであり、ノイズも気にならない。 しかし、上記よりは劣る。

演奏評:

 上記の7年前の演奏。 基本的な解釈は類似しているが、こっちの方がメリハリは小さく、より普通の演奏。 第4楽章までは明らかに上記の方が上。 最終楽章だけは、こっちの方が腰が据わっており、落ち着きが良い分上か。 しかし、どちらかと言われれば上記の方を勧める。

総合評価:  ★★

N.ヤルヴィの演奏

レーベル:  CHANDOS: CHSA 5079 hybrid
演奏家:   Neeme Jarvi / Hague Residentie O
日時・場所: June 5 and 6, 2009, Dr Anton Philipszaal, Hague
演奏時間:  total 70:10 ( 20:40/12:53 / 9:10 / 9:54 / 17:09 )
録音評:

 どうも、ハイブリッド盤の特徴なのかもしれないが、CDとしての最高音質には達していない。 解像度が今時の録音としてはそれほどではないのである。 悪い音ではないのだが。

演奏評:

 極めて速い演奏である。 特に、第4楽章は異様とさえ言える。 しかし、ただ速いだけではなく、速度的メリハリはあって個性的。 パパ・ヤルヴィも頑張っている。 ただ、好き嫌いの問題で言えば、それほど魅力的とも言えないので、評価はこのくらい。

総合評価:  ★★

ユーロフスキーの演奏

レーベル:  DIRIGENT: DIR-2044 CD-R
演奏家:   Jurowski / Russia state academic SO
日時・場所: June 15, 2017,Moscow
演奏時間:  total 84:19 ( 22:25/15:45 / 11:45 / 15:12 / 19:12 )
録音評:

 解像度はそれなりに高い。ノイズも目立つ程ではないが、高域のホワイトノイズとハムらしきものがかすかに聞こえる。残響が少なくかなりデッドな録音だが、風呂場のような残響が付いているよりはよっぽど良い。まあ、及第点以上ではあり、聴いていて不満はない。

演奏評:

 各楽章の演奏終了後に、チューニングしているところが入っていたりして、10秒〜30秒くらい実質的に演奏は短い。それにしても80分は越える遅めの演奏には入ると思う。 ただ、速度的なアゴギーグはかなり強い演奏で、速いところは、`かなり速い。曲の解釈もかなりユニークな方で、えーっと思うようなところでテンポを変えたり、通常とは逆方向にテンポが動いたりする。それが、バッチリ決まれば名演なのだが、どうも空振りになりがちで、魅力にはなっていない。各楽器のソロに目立つミスは無いが、音色に難があり、特にブラスは問題である。ホルンの音色がどうも吹奏楽っぽいし、トランペットはしばしばけたたまし過ぎる。部分的にはとても魅力的な所もあるが、この演奏をというほどのものではなく、星は2つくらい。

総合評価:  ★★

ケーゲルの演奏

レーベル:  TOBU RECORDINGS: TBRCD0003-2
演奏家:   Herbert Kegel / Tokyo Metropolitan SO
日時・場所: June 26, 1985, Tokyo Bunka Kaikan, Tokyo
演奏時間:  total 77:03 ( 22:34/15:04 / 9:04 / 14:07 / 16:14 )
録音評:

 文化会館の録音としては上出来の部類。 やや低域の解像度は悪いが、気になるほどではないし、このホールのややデッドな音響がマーラーを聴くには好都合。 ノイズも問題ない。

演奏評:

 ケーゲルの面目躍如たるユニークな演奏。 第1楽章冒頭の弦の刻み方からして独特だし、テンポの揺さぶり方が凄い。 これは、最終楽章でもそうだが、変幻自在というより強引に大きい幅で揺さぶる感じで、他であまり聴いたことがないやり方である。 第2、第3楽章は手堅いが、結構独特のテンポ設定もあり面白い。 そして、第4楽章が凄い、冒頭のヴァイオリンソロをここまで臭くやらせるのは希有である。 その後も、遅めのテンポの中で引っ張りまくり、極めてユニークだが魅力的。 そして、最終楽章だが、ここのテンポの揺さぶり方も半端じゃない。 こういうやり方もあるなあと、感心する。 都響は目一杯頑張ってる感じだが、さすがに最終楽章に至って着いていききれず、アンサンブルの乱れが見られている。 本当なら減点すべきだが、甘いと言われようが、凡百の演奏とは差をつけて評価したい。

総合評価:  ★★☆

クレンペラーの演奏

レーベル:  EMI: CMS7641472
演奏家:   Otto Klemperer / New Philharmonia O
日時・場所: September 1969, Kingsway Hall, London
演奏時間:  total 100:20 ( 27:47/ 22:08 / 10:28 / 15:42 / 24:15 )
録音評:

 当時のEMI録音としてはあまり良い方ではないか。 あるいはマスタリングのせいかもしれないが音が硬い。 解像度も今一つ。

演奏評:

 現在まで録音されたマーラーの交響曲演奏の中で、最高かつ最低のものではあるまいか。 演奏時間を見れば一目瞭然で、ここまで作曲者の指定を違えているのは、シェルヘンの大幅なカットを加えた5番くらいか。 とにかく、遅いままテンポを変えないのが特徴。 徹底している分だけ、説得力があり、これをこの曲のベスト演奏にあげる人も多い。 最終楽章がそれまでの4楽章と違和感なく繋がるのは、この異常に遅いテンポ設定によるところが大きく、この演奏の最大の魅力がここにある。 この第5楽章は夜が明けていないと思う次第である。 クレンペラーが、5番も6番も嫌っているのに7番だけ、あえて演奏し、こんな奇怪な演奏を残したのは、シェルヘンの5番のカットと並んで非常に面白いと思う。 大好きな演奏だが、これを越える演奏が出てくることも期待している。

総合評価:  ★★★

クレツキの演奏

レーベル:  "O""O""O"Classics: THO96 CD−R
演奏家:   Paul Kletzki / Danish RSO
日時・場所: December 11,1969, Live
演奏時間:  total 78:45 ( 21:27/ 16:49 / 10:25 / 13:11 / 16:53 )
録音評:

 これは変な録音である。 全編にわたって、音が一瞬飛ぶところが頻発している。 思うに、もともとの音源が状態の悪いアナログディスクで、頻回に針飛びを起こしているのではあるまいか。 それを巧妙なフィルターにより、スクラッチノイズも含めて目立たなくしているものと思われる。 だとすると、この音の鮮度は素晴らしいと言わざるを得ない。

演奏評:

 全体にみなぎるエネルギー感が良い。 細部にわたってきめ細かくこだわった音楽が作られており、なかなかな好演だと思う。 録音のハンデがあるが星2つはあげられる。

総合評価:  ★★

小林研一郎の演奏

レーベル:  CANYON: PCCL-00491
演奏家:   Ken-ichiro Kobayashi / Czech PO
日時・場所: September 19 & 21, 1998,
Rundolfinum Dvorakova sin, Prague
演奏時間:  total 87:08 ( 23:47 / 17:35 / 11:15 / 15:54 / 18:37 )
録音評:

 解像度良く、ノイズとしては、マエストロのうなり声くらいのもの。 帯域バランスも良い。 但し、残響が長め。 これは、ドヴォルザーク何たらというホールの特性で止むをえないところか。

演奏評:

 小林研一郎という人に関しては、猿だとか、いろいろ芳しくない人物評を耳にするのだが、ことマーラーの演奏に関しては天才を感じさせる瞬間にたびたび遭遇する。 この演奏を聴いていてもしみじみそう思うのである。 遅い演奏である。 第3、第4楽章なんぞ、クレンペラーよりも遅いくらいだ。 しかし、実に自然にしなやかにテンポ変更を行い、遅さに説得力がある。 なおかつ適度に熱い演奏である。 最終楽章も適度に遅いテンポ設定が成功している。 チェコフィルの音の良さを実に巧く引き出している。 これは、星3つ。

総合評価:  ★★★
レーベル:  EXTON: OVCL-00285
演奏家:   Ken-ichiro Kobayashi / Japan PO
日時・場所: January 21 & 22, 1999, Suntory Hall, Tokyo
演奏時間:  total 78:55 ( 21:51 / 16:29 / 10:30 / 14:39 / 15:26 )
録音評:

 残響は適度で音場も広くクリア、但し終始マエストロのうなり声をリアルに拾い続けており、これが結構うるさい。 こういうのも録音の傷だと思う。

演奏評:

 上記のわずか4ヶ月後の演奏だというのに驚く程違っている。 演奏時間で8分、つまり一割も短くなってしまっている。 これは、指揮者の解釈が変わったのではなく、オーケストラの実力に併せて、無理にスローテンポにするのを避け、ぼろが出ないよう工夫したものだと思う。 しかし、これはこれでなかなかの演奏であり、日フィルとしては大健闘である。 ただ、個々の楽器の音色はチェコフィルとは比べるべくもない。 あと、問題なのは、最終楽章の終わり頃でカットされている小節がある点で、不自然な感じはないものの、カットした意図が今ひとつはっきりしない。 該当する部分は、私が密かに「重爆撃機の飛行」と呼んでいるところで、お気に入りの箇所だけに切られたのは残念である。 本来なら星2つ半あげても良いところだが、カットがあるのと、マエストロのうなり声がうるさすぎるので、★半分減点する。

総合評価:  ★★

コンドラシンの演奏

レーベル:  TAHRA: TAH451
演奏家:   Kiril Kondrashin / Concertgebouw O
日時・場所: November 29,1979, Concertgebouw, Amsterdam
演奏時間:  total 72:23 ( 21:34 / 14:06 / 9:46 / 10:48 / 16:09 )
録音評:

 テープヒスはあるが残響はほどほどでクリア。 奥行き感もまずまず。 コンセルトヘボウでの録音の割に中低音が薄め。

演奏評:

 第1楽章冒頭から標準的なテンポであまり、揺さぶらない。 中間部で少しゆったりしたところはあるが、アッチェルランドやリタルダンドがほとんどない。 テナーチューバはうまい。 弦も割ときれい。 第2楽章冒頭のホルンはやや危なっかしい。 全体にやや速め。 第3楽章も標準的なテンポだが、後半少しテンポを遅くして揺さぶる。 第4楽章は速め。 ホルンが1カ所乱れる。 終わり近くで突然速く荒々しくなるがすぐ元に戻って終わる。 最終楽章はかなり速い。 速めで終始する中で時々ブルックナーストップのようなためを伴う静止が数回ある。 速めのテンポは成功していると思う。 全体に速めのきりっとした演奏であり、悪くはないが、やや地味と言わざるを得ない。

総合評価:  ★★
レーベル:  VEHENIYA: CDVE04253
演奏家:   Kiril Kondrashin / Leningrad PO
日時・場所: March 3, 1975, Leningrad
演奏時間:  total 72:17 ( 21:40 / 14:08 / 9:45 / 10:49 / 15:55 )
録音評:

 昔のソビエト録音で高音部がきつく全体に解像度は悪い。 残響もやや強いが風呂場録音にはなっていない。

演奏評:

 上記のものに4年少し先立つ演奏。 オケも違うが、解釈はほとんど同じ。 しかし、オケの実力差は感じる。とくに個々の楽器の音色に差はある。 手に入れやすいのはこっちと思うが、強いてコンドラシンの7番を聴くというなら上記をお薦めする。

総合評価:  ★★

クーベリックの演奏

レーベル:  audite: audite 95.476
演奏家:   Rafael Kubelik / Bavarian Radio SO
日時・場所: February 5,1976, Herkulessaal, Munchen
演奏時間:  total 72:58 ( 19:48 / 15:27 / 9:23 / 11:53 / 16:27 )
録音評:

 ノイズは少なく、ほどほどの解像度。 やや残響が多めだが許容範囲。

演奏評:

 解釈はDGGのスタジオ録音に近いが、ライブである分、もっと自在にテンポを揺さぶっている、というか揺れている。 ために、たまにアンサンブルが揺らぐ。 非常に叙情的な演奏と言えるだろう。 DGG録音にはないライブの臨場感はあるが、やや荒い面も目立つ。 一長一短である。

総合評価:  ★★
レーベル:  DGG: 463746-2
演奏家:   Rafael Kubelik / Bavarian Radio SO
日時・場所: November, 1970, Herkulessaal, Munchen
演奏時間:  total 72:45 ( 19:40 / 14:46 / 9:23 / 11:58 / 16:42 )
録音評:

アナログにしてはテープヒスは少なめ。 マスタリングの段階の問題なのかもしれないが、やや中高音に寄っている感じで、低音が薄い。

演奏評:

 全体に速めの演奏である。 しかし、素っ気ない演奏では全くなく、むしろ熱い演奏である。 7番の演奏として、こういう感情移入の強いものは異質かとは思うが、これはこれで面白い。 不気味さ、グロテスクさを求める人には不向きと言えるが、中途半端でないのが良い。 第4楽章のホルンがほれぼれするような音を出している。

総合評価:  ★★
レーベル:  The Philharmonic-Symphony Society of New York: NYP9807/8
演奏家:   Rafael Kubelik / New York PO
日時・場所: February 28,1981, Avery Fisher Hall, New York
演奏時間:  total 87:54 ( 24:27 / 18:40 / 10:50 / 14:42 / 18:28 )
録音評:

 放送用音源のCD化であり、大手レーベルにありがちなマルチマイクのトラックダウンものとは違うポイント録音の良さが出ている。 ダイナミックレンジはそれほど大きくないが、クリアで空間分解能に優れ、ライヴの雰囲気が良く録れている。 好録音である。

演奏評:

 上記2つの録音の間、約5年の間にほとんど演奏時間に差がなく解釈一定かと思いきや、その5年後のこの録音で演奏時間が一気に15分も延びている。 これは尋常ではない変化幅であり、いったい何があったんだろうと思ってしまう。 ニューヨークフィルの自主制作盤のマーラー全集の1枚で、9番のバルビローリがたいしたことなかったので、ほとんど期待してなかったのだが、聴いてみてぶっとんだ。 オケが違うせいなのか、クーベリックが大きく変わったのか、とにかく凄い! クレンペラーという化け物を除けば、遅めの演奏の最右翼と言えるのではあるまいか。 遅いと言っても、クレンペラーのようにかたくなに遅いテンポを守るのではなく、かなり変幻自在にテンポを揺すっている。 そして、遅めの演奏なのに熱い! 熱いのにちゃんと悪魔的である。 また、ソロもうまい。 ニューヨークフィルってこんなに巧かったっけと言う感じ。 特に第2楽章のホルンは絶品である。 唯一残念なのが、最終楽章が相対的にやや急ぎ足の感じになってしまった点。 しかし、やや甘いかもしれないが、これには星3つ差し上げる。

総合評価:  ★★★

リーパーの演奏

レーベル:  ARTE NOVA: BVCC-6094
演奏家:   Adrian Leaper / Gran Canaria PO
日時・場所: June 21,26-30,1995,"La Nave" El Cebadal,Las Palmas de Gran Canaria
演奏時間:  total 79:03 ( 21:35 / 16:17 / 10:08 / 13:45 / 17:18 )
録音評:

 クリアで残響も程よく、ノイズもない。 良好な録音と言える。

演奏評:

 廉価盤ではあるが、かなりユニークな演奏である。 第1楽章冒頭は、史上最速かというくらい速い弦の刻みで始まるが、すぐに通常の速め位のテンポとなり、中間部で思いっきり遅くしたかと思うとまた快速テンポに戻る。 という風に、全楽章にわたってかなり大胆にテンポを揺さぶる。 これが、なかなか面白い。 しかも、マデルナほど強引でなくそれなりの説得力はある。 最終楽章の冒頭を思いっきり速くするという面白い手法を使っている。 また、グラン・カナリア・フィルというのは結構巧いオケなのか、技術的に不足を感じる部分がなく見事。 特に、木管群の音色が素晴らしい。 評価をどうするかさんざん迷った末に、大甘だが、★2つ半。

総合評価:  ★★☆

レヴィの演奏

レーベル:  TELARC: 2CD-80514
演奏家:   Yoel Levi / Atlanta SO
日時・場所: November 22 & 23, 1998, Woodruff Arts Center, Atlanta
演奏時間:  total 81:10 ( 23:39 / 15:44 / 9:59 / 12:32 / 19:16 )
録音評:

 ノイズはなく、残響も適度。 各楽器の解像度も良く、割と優秀な録音。

演奏評:

 比較的遅めの演奏である。 特に第1楽章は聴いていてかなり遅く感じる。 冒頭の寂寞とした感じはあまり類を見ない。 その後、クレンペラーなみにかたくなにテンポを変えない。 しかし、クレンペラーほど徹底した感じがなく、ただ速度的メリハリがないのっぺりした印象である。 音響的には終止厚めであるが、これももう少しメリハリが欲しい。 その後の各楽章でもこの傾向は同じ。 もっと躍動感を感じさせる部分が欲しいのだが、それがなく重い。 部分的に、弦の内声部とかオーボエの音色などに魅力的な部分もあるのだが、全体としてみるとなんとなく「鈍痛」を伴っている感じである。 でも、嫌いという程悪くもないので★2つとしておく。

総合評価:  ★★

レヴァインの演奏

レーベル:  RCA: 74321-83907-2
演奏家:   James Levine / Chicago SO
日時・場所: July 14 & 15, 1980, Medinah Temple, Chicago
演奏時間:  tota 80:09 ( 21:35 / 15:51 / 10:15 / 14:42 / 17:46 )
録音評:

 ノイズはあまりなく、残響もほどほどだが、低音楽器群が強調されているのではないかと思う。

演奏評:

 曲の解釈はそれほど特殊でもない、むしろ平凡とさえ言えるくらいだが、音響構造が極めて特殊である。 コントラバスが終止ゴリゴリ、ブンブン鳴っていて分厚い。 ベルリンフィルなんか目じゃないという感じである。 録音で恣意的に強調してるんじゃないかと思うが、胸焼けしそうなくらい厚い低弦である。 また、楽曲を通して、ティンパニとバスドラムがでかい音を出している。 第1楽章なんか、砲声轟く戦火の巷といった風情である。 好みとは言えないがユニークではある。 まあ、星2つは差し上げておく。

総合評価:  ★★
レーベル:  Valkyrie Disc: VD1055(2) CR-R
URC: URC 0208/11 CD-R
演奏家:   James Levine / Vienna PO
日時・場所: August 28, 1983, Salzburg
演奏時間:  tota 84:36 ( 22:15 / 16:00 / 11:04 / 15:36 / 19:41)
録音評:

ノイズは目立たず、残響は少なめのデッドな録音。マーラーにはこのくらいがちょうど良いのだが、音場の透明感は今ひとつ。音にみずみずしさがない。

演奏評:

第1楽章はかなりいい。 やや遅めの演奏だが、独特のテンポ設定で、通常アッチェルランドかけるところが遅くなったりして、それが、それもありかなと思わせる。この楽章だけなら星3つもうかがえる。 しかし、そのあとがいけない。 第2楽章はまあ平凡。ホルンが妙に硬い音でウィーンフィルっぽくない。 第3、第4楽章は遅いテンポが仇になって、ぬるい。最終楽章もかなり遅いが、もっとテンポを揺するなりなんなりして欲しい。 第2楽章以後は遅いテンポを楽員が淡々とこなしている感じで、なんかノリが悪いのである。全楽章通しで評価すると、星2つしかあげられない。

総合評価:  ★★

ルイジの演奏

レーベル:  Sounds Supreme: 2S-137 CD−R
演奏家:   Fabio Luisi / MDR SO
日時・場所: May 14, 2002
演奏時間:  tota 79:54 ( 22:10 / 15:54 / 11:53 / 12:49 / 17:08 )
録音評:

 CD−R盤としてはかなり良い方。

演奏評:

 非常に魅力的な演奏である。 第1楽章冒頭のテナーチューバからして危なっかしく、今ひとつブラスセクションの調子が上がらないため、はらはらさせられるが程なく波に乗った感じで、その後は大きな傷はない。 特に第2、第3、第4楽章の出来がすばらしく、この部分だけみれば、この演奏がベストといっても良い。 中でも第3楽章は、この曲が史上最も優美かつ不気味なワルツであることを教えてくれる。 残念ながら第5楽章が冷めている。 初めて聴いたときには本当にがっかりした。 後に聴き直してみたら、これはこれで、そこそこの水準にある演奏なのだがそれまでの4楽章が良すぎるために非常に惜しまれる。 再録音に期待したい。

総合評価:  ★★☆

マゼールの演奏

レーベル:  Pandora's Box: PBCD224/6 CD−R
演奏家:   Lorin Maazel / Vienna PO
日時・場所: September 30,1984
演奏時間:  total 84:13 ( 23:53 / 15:20 / 10:10 / 15:10 / 19:40 )
録音評:

 この時代の録音としては、悪い。 テープヒスは目立つし、全体に何だか歪みっぽくてクリアさに欠ける。 残響の程度は普通。

演奏評:

 遅めの演奏の中でもかなりユニークな方だと思う。 ウィーンフィルの音の良さは随所で活かされており、音色的な魅力は大きい。 解釈も第3楽章以後かなり独特で面白く、最終楽章も遅めのテンポが成功している。 演奏だけなら、★2つ半。 本来、録音の悪さ分を差し引くべきなのだが、これは好みの演奏の部類なので、あえてこのまま。

総合評価:  ★★☆
レーベル:  CBS-SONY: 54DC675-6
演奏家:   Lorin Maazel / Vienna PO
日時・場所: October 1-4,1984, Musikverein, Vienna
演奏時間:  total 86:11 ( 24:23 / 15:38 / 10:18 / 15:47 / 20:05 )
録音評:

 クリアで残響もほどほど。 ノイズもないが、やや低域が薄いか。

演奏評:

 上記とほぼ同時期の録音だが、ライブとの差を感じる。 演奏時間はこっちの方が長く、あっちこっち引っ張ってはいるのだが、メリハリは上記に比べて弱い。 個々の楽器の音はきれいだし、悪くはないが、今ひとつ物足りなさを感じる。

総合評価:  ★★
レーベル:  VIBRATO: VLL25 CD−R
演奏家:   Lorin Maazel / French National O
日時・場所: February 22,1983, Paris
演奏時間:  total 80:49 ( 23:17 / 16:16 / 9:10 / 13:50 / 18:16 )
録音評:

 全体にテープヒスは多いし、マスターテープの管理状態が悪かったためと思われる傷が何カ所かある。 まず、第1楽章冒頭でピッチがかなり揺れる。 いわゆるワウというやつだが、マスターテープの頭の部分がワカメになりかかっていたものとおもわれる。 さらにこの部分や他にも数カ所、マスターテープの転写のせいと思われるゴーストのような音が聞こえる。 中間の3つの楽章はまあましだが、それでも第3楽章の冒頭10秒間、右チャンネルの音がかけている。 問題は最終楽章で、冒頭から約11分間にわたってプチプチ・チリチリ系のノイズに悩ませられる。 ノイズの問題を除けば、ホールトーンたっぷりの録音であり、やや低音部がもやっているのが難だが、聞けないと言うほどではない。

演奏評:

 マゼールの7番としては、入手した範囲内で最も古いものだが、演奏時間を御覧いただければ判るとおり、後の演奏よりだいぶ速い。 マゼールの解釈の変化というよりもオーケストラの個性の差のような気がする。 音はラテン系だなあと思う部分が随所にあるが、ヴィーンやバイエルンとの演奏に比べて、アゴギーグも少なくさっぱりしたものである。 マゼールにしてはあくどさがないぶん聞きやすいという人もあるだろうが、もう少し不気味さが欲しいと思う。 悪魔的な感じが薄い。 打楽器群が聞き慣れたドイツ系のオーケストラと違った音色なのがおもしろい。 例えば、カウベルなどまるでガムラン音楽の打楽器を聞いているようだ。 全体を通して一番良いのは第4楽章で、ここはのびのびやっている感じ。 また、第3楽章はこのオーケストラの性質から一番遠いと思うが、見事にワルツしているのは立派。 面白いには違いないので星2つ位はやれるところだが、録音の傷が大きすぎるので星半分減点。

総合評価:  ★☆
レーベル:  VIBRATO: VLL364 CD−R
演奏家:   Lorin Maazel / French National O
日時・場所: March 22,1983, Paris
演奏時間:  total 84:24 ( 23:45 / 17:06 / 9:39 / 14:44 / 19:10 )
録音評:

 録音は悲惨とかひどいとは言わないが悪い。 上記よりはましだが、ノイズも多い。 やや風呂場録音だし、もとに何か録音されていたテープに重ね撮りしたせいか、それとも転写によるものかは不明だが、録音全体を通してかすかにゴーストのような音が入っている。残響がやや強めなのはまだしも、最終楽章のフォルテシモで盛大にサチる。 また、第1楽章のはじめの方でテープの痛みによると思われるピッチの揺らぎがある。

演奏評:

 上記のわずか1ヶ月後の同じメンバーによるライブだが、演奏時間を御覧いただければ判るとおり、だいぶ遅くなっている。 ヴィーンやバイエルンとの演奏に近いがアゴギーグが目立つというのでもない。 第1楽章冒頭から遅めで不吉ささえ漂うが、途中からまっとうな感じになってしまう。 第2楽章はかなり遅いテンポを採用しているが、遅めの中でテンポを変化させ、これが成功している。 この楽章と次の楽章のティンパニの音がやたらデカい。 第3楽章も遅めのテンポ。 ブラスが結構吠えて悪魔的だし、低弦が何か物憂くていい。 ずいぶん不気味さが出るようになっている。 たいした進歩である。 第4楽章は遅めでゆったりと進めている。 牧歌的でセレナーデではなく、もっとのんびりしている。 最終楽章は冒頭やや遅めで入り、その後、遅い所と更に遅い所の間でテンポを変える。 テンションが高い状態で押し進むのではなく、弛緩した所を間に作りながら、テンションにメリハリがついているのが凄い。 特に終曲に向かっての盛り上げ方が凄く、こういうのも良いなあという感じ。「重爆撃機の飛行」の所も極めて私好みに重厚である。 但し、演奏終了直後に拍手が始まる手前でぶつっと録音が終わっており、一瞬ギョッとする。 録音が良かったら躊躇なく星2つ半だが、かなり問題はあるので躊躇して星2つ半。

総合評価:  ★★☆
レーベル:  En Larmes: ELS02-225/7 CD−R
演奏家:   Lorin Maazel / Bavarian RSO
日時・場所: June 3, 2002
演奏時間:  total 85:46 ( 24:35 / 16:07 / 10:24 / 14:00 / 20:40 )
録音評:

 ノイズなく、残響もほどほど。 周波数バランスも良く、CD−Rとしては十分なレベル。

演奏評:

 これも、遅い演奏だし、録音は上記よりいいと思うのだが、ウィーンフィルのものに較べると何か魅力が足りない。 オケが、この遅いテンポに十分慣れていない感じがして、何だかおそるおそるな感じがするのである。 特に、弦楽器に力強さが不足する感じがする。 CD−R盤に手を出す気があるなら、ウィーンフィルとの方だろう。

総合評価:  ★★
レーベル:  Ritardando: RIT 5020/1 CD−R
演奏家:   Lorin Maazel / Pittsburgh SO
日時・場所: October 15, 1989, Theatre de Champs Elysees
演奏時間:  total 81:49 ( 23:36 / 15:36 / 9:20 / 13:13 / 20:04 )
録音評:

 録音は良いとは言えない。 テープヒスははっきり聞こえるし、全体にやや歪みっぽく、フォルテシモでサチる。 やや低音がかぶる感じがするのは、ホールのためか。 しかし、それ以外のノイズは少なく、まあまあ鑑賞には耐えうるレベル。

演奏評:

 マゼールの演奏としては速い方に属する。 テンポとしては、このくらいが私の好み。 全体に骨太で、直球勝負というか、剛球勝負という感じの演奏。 ピッツバーグ響が思いのほかうまい。 特に後半の3つの楽章が魅力的であり、最終楽章は素晴らしい。 これも、本来録音の悪さを減点すべきかと思うが、好きな演奏ゆえ甘くするのをご容赦願いたい。

総合評価:  ★★☆
レーベル:  signum CLASSICS: SIGCD357
演奏家:   Lorin Maazel / Philharmonia O
日時・場所: May 26, 2011, Southbank Centre's Royal Festival Hall, London
演奏時間:  total 87:40 ( 26:22 / 16:07 / 10:39 / 14:30 / 20:02 )
録音評:

 冒頭からビーっというノイズが入る、演奏が始まると気にならなくなる。 残響は少なめで解像度もまあまあ。 録音上の不満はない。

演奏評:

 マゼールの演奏中これがおそらく最晩年のもので、一番遅い演奏だと思う。 第1楽章から異様に遅い。 クレンペラーに迫る。 そのあとの各楽章も総じて遅めである。 しかし、意外なほどアゴギーグの強さがなく、あっさりしている。 マゼールらしい悪辣さに欠けるのである。オケの技術水準は高く、ほぼマエストロの要求には答えていると思われるが、何かいまいちノリが悪い。マゼールを聞く時の怖いもの見たさのようなワクワク感がないのである。悪い演奏ではないのだが、何か物足りない。星は厳しく2つ。

総合評価:  ★★

マーツァルの演奏

レーベル:  EXTON: OVCL-00298 hybrid
演奏家:   Zdenek Macal / Czech PO
日時・場所: May 3-4, 2007, Rudolfinum Dvorakova sin, Prague
演奏時間:  total 79:22 ( 22:18 / 15:25 / 10:13 / 13:47 / 17:36 )
録音評:

 クリアで残響も程よく音響バランスも良好。 非常に良い録音である。

演奏評:

 演奏時間もほぼ標準的だし、手堅い演奏かなと思ってると、細部では独特の節回しが出ていたり、速度変更に時々独特の癖があり面白い。 チェコフィルを良く判っているというか、非常に良い音色を出している。 特にオーボエは涙うるうるものである。 特に最終楽章の出来が良く、ここだけなら星3つあげても良いが、全体としてみてこのくらい。

総合評価:  ★★☆

マデルナの演奏

レーベル:  ARKADIA: CDHP547.1
演奏家:   Bruno Maderna / Vienna SO
日時・場所: May 27, 1967, Vienna
演奏時間:  total 74:30 ( 19:01 / 15:15 / 8:26 / 14:55 / 16:53 )
録音評:

 モノラル録音で、しかも、ややこもり気味。 周波数レンジも狭い。 鑑賞に耐えるぎりぎりのレベル。

演奏評:

 下記に4年先立つ演奏だが、こっちの方がやりたい放題やってる感じ。 第1楽章こそ、通常を大きく逸脱していないが、第2、3、4楽章に関しては極めて自由にテンポを揺さぶっているというか、振り回している。 過激と言えるレベルであり、ウィーン響をもってしても付いて行ききれずにアンサンブルが崩壊しかかる箇所が何カ所もある。 下記に比べて演奏の魅力も危なさも数段上。 ただ、それを存分に味わえる録音のレベルではない。 涙をのんで★二つ。

総合評価:  ★★
レーベル:  ARKADIA: CDMAD028.4
演奏家:   Bruno Maderna /Milano RSO
日時・場所: December 24, 1971, Milano
演奏時間:  total 78:25 ( 18:50 / 16:25 / 9:01 / 15:13 / 18:56 )
録音評:

 一応ステレオだが、あまり解像度は良くなく、ややダンゴっぽい音場である。 ひどいノイズはないがテープヒスは聞こえる。 鑑賞には耐えるレベルではある。

演奏評:

 9番ほど過激ではないが、随所に独特の表現が見られる。 第1楽章からかなり自在にテンポを揺らしている。 特に2つのナハトムジークが魅力的。 最終楽章はゆっくりめのテンポで押し通す戦略に出ていてまあまあ成功している。 これで録音が優秀だったら星2つ半だが、そこまでは届かない感じ。

総合評価:  ★★

マズアの演奏

レーベル:  Deutsche SchallPlatten: TKCC-70028
演奏家:   Kurt Masur / Laipzig GeWandhaus O
日時・場所: September 1982 & March 1983, GeWandhaus, Laipzig
演奏時間:  total 73:13 ( 19:40 / 14:07 / 9:43 / 13:09 / 16:34 )
録音評:

 ノイズはないが残響が強すぎて、時に風呂場っぽくなる。 音色は良いのだが。

演奏評:

 昔、評論家の誰かがボロカスにけなしていた演奏だが、それほど悪くはない。 全体に速めだが、それなりに速度変更がありメリハリはついている。 特に第2楽章冒頭と第4楽章のホルンの音色が素晴らしい。 これで録音が良かったら、おおまけして星2つ半あげても良いくらいだが、録音的にいまいちなので。

総合評価:  ★★

メータの演奏

レーベル:  Harvest Classics: HC06099 CD-R
演奏家:   Zubin Mehta / Israel PO
日時・場所: September 16, 2007, Beethovenhalle, Bonn
演奏時間:  total 75:51 ( 21:46 / 14:07 / 9:31 / 11:57 / 18:30 )
録音評:

 気持ち残響が強めであるが、まずまずの録音。 帯域バランスは良く、ノイズもない。

演奏評:

 昔、メータは「マーラーは5番までしか判らん」と言っていたらしい。 それもあって、ほとんど期待していなかったのだが、メータに謝らなければいけないと思った。 どうしてどうして、良く分かっている。 第1楽章のおどろおどろしくも沈潜した雰囲気は独特で随所にユニークさを出しながら、間違いなく夜の歌である。 第2楽章、第3楽章も的確にテンポを変えている。 第4楽章のギターのかき鳴らし方なんかうなってしまう。 そして終楽章後半にテンポを落とした後など凄い! 最近一番の掘り出しものかと思う。 ちょっと甘いと言われそうだが、星3つ差し上げる。

総合評価:  ★★★
レーベル:  helicon classics: 02-9647
演奏家:   Zubin Mehta / Israel PO
日時・場所: February, 2007, Mann Auditorium, Tel-Aviv
演奏時間:  total 76:13 ( 22:10 / 14:25 / 9:27 / 11:59 / 18:12 )
録音評:

 ノイズ無く、残響適度。 解像度はまあまあ。

演奏評:

 上記と同じメンバーで、先立つこと約9ヶ月の演奏。 基本的には同じ解釈なのだが、細部で上記よりメリハリが弱く穏当。 これも良い演奏であり、ホルンの音の良さなどは特筆ものだが、上記を聴いてしまうと少し物足りない。 星は2つ半としておく。

総合評価:  ★★☆

マイスターの演奏

レーベル:  DIRIGENT: DIR-2014 CD-R
演奏家:   Cornelius Meister / ORF RSO
日時・場所: June 12, 2016, Vienna
演奏時間:  total 73:23 ( 20:51 / 14:26 / 8:23 / 12:19 / 17:24 )
録音評:

 全体にホワイトノイズが入る。これは慣れれば耐えられるレベルではある。 しかし、全体に薄く紗がかかったような不透明な音である。残響はほどほどで、解像度も悪くは無いが、いい録音とは言い難い。

演奏評:

 久しぶりに速めの7番の演奏を聴いた。全楽章ともに速めなのだが、ただ駈けぬけるのではなく、結構大きくテンポを揺さぶっており、なかなかユニークだが面白い。それと、全体にホルンが実に良い音色を出している。この指揮者は目下売出し中の若手らしいが良いセンスだと思う。 良い線いってるけど、録音がイマイチな分減点すると星2つかなーと思いながら聞いていたが、最終楽章が凄かった、テンポの揺さぶり幅がハンパないし、それが実にしなやかに決まる。 こんな最終楽章は初めて聴いたが、これは、この問題楽章を解決するための1つの解答だと思う。ノイズ分の原点はしないことにする。

総合評価:  ★★☆

メッツマッハーの演奏

レーベル:  DIRIGENT: DIR-0585
演奏家:   Ingo Metzmacher / Berlin German SO
日時・場所: March 12, 2010, Vienna
演奏時間:  total 80:45 ( 22:50 / 16:01 / 9:19 / 13:57 / 18:38 )
録音評:

 そこそこクリアで残響もそこそこ。 ややノイズっぽい。 ごく最近の録音なので、その割にはという感じ。

演奏評:

 この指揮者は初めて聴いた。 全曲にわたって、テンポは揺さぶる方だし、揺さぶり方が独特で、あまり聴いたことがないような場面に時々出くわす。 凄みはないが面白い演奏ではある。 個性的な演奏ではあるので、そこにハマるかどうかが評価の分かれ目。 私はハマりかかって途中で止まった感じ。

総合評価:  ★★☆

ナヌートの演奏

レーベル:  Digital Concerto: CCT743/744
演奏家:   Anton Nanut / Ljubljana RSO
日時・場所: 不明
演奏時間:  total 82:06 ( 23:06 / 16:02 / 9:48 / 14:51 / 18:19 )
録音評:

 録音はなかなか良い。 アナログ録音のようだが、クリアで音場もしっかりしている。

演奏評:

 駅売りCDになってたんじゃないかと思うが、今や稀少なものとなっている。 第1楽章はなかなか聞かせる。 緩急のメリハリも良い。 しかし、たまにアンサンブルが乱れかかる。 第2楽章もまあまあだが、ややホルンの音色が硬い。 しかし、第3楽章以後は何か凡庸で生彩を欠く。 何か吹っ切れてない感じ。 惜しいとは思う。 星は2つどまり。

総合評価:  ★★

ネルソンズの演奏

レーベル:  DIRIGENT: DIR-1926
演奏家:   Andris Nelsons / WDR SO
日時・場所: March 4, 2016, Koeln
演奏時間:  total 82:33 ( 23:17 / 16:41 / 10:00 / 14:00 / 18:35 )
録音評:

 解像度はそこそこだが、かすかなノイズが入る。 観賞には問題ないレベル。

演奏評:

 それなりに緩急のついた演奏であり、時にユニークなところもある。最初の2つの楽章はかなり良いとおもう。第3楽章も変わっているが、まあまあか。第4楽章は凡庸とは言わないが普通。 最終楽章は当初は速めだがいつの間にか遅くなり、速度変化はしなやかである。この楽章はまずまずの出来。総じてまずまずというところ。星はやや厳しくして2つ。

総合評価:  ★★

ノイマンの演奏

レーベル:  SUPRAPHON: 111978-2912
演奏家:   Vaclav Neumann / Czech PO
日時・場所: November 11,1977 & January 23,1978,
Dvorak Hall of Rudolfinum, Prague
演奏時間:  total 80:50 ( 21:31 / 14:16 / 10:09 / 16:53 / 18:01 )
録音評:

 録音年代を考えると、むしろ悪い。 下記のものの方が明らかに音質的に上である。 ノイズはあまりなく、残響もそこそこだが、どうにも音が硬くキンつく。

演奏評:

 録音のせいもあるが、音響的にあまり魅力はなく、第1〜3楽章を聴く限り、演奏も平凡で、音質が悪く金管が耳障りだし、これは灰色かなーと思っていたら、第4楽章で飛んだ。 異様に遅い。 何でここだけ急に遅くなるのか訳分からんと思ってたら、最終楽章を聴いて何となく納得。 それまで、わりとさらっとしていたのに、後ろ2楽章はこてこてである。 こういう極端な落差があるのも珍しい。 しかし、このチェコフィルはえらく水準が低いようである。 評価は星2つとしておく。

総合評価:  ★★
レーベル:  BERLIN Classics: 111978-2912
演奏家:   Vaclav Neumann / Leipzig Gewandhaus O
日時・場所: 1968, Haus Auensee, Leipzig
演奏時間:  total 76:04 ( 20:33 / 14:22 / 9:36 / 12:53 / 18:40 )
録音評:

 上記より9年前の録音だが、明らかにこちらの方が良い。 それでも、やはり最近のものに比べると解像度は一段劣る。

演奏評:

 全体に無難で手堅い。 悪くないねえ、と言いながら、でもこれと言って押すものもない感じ。 冒頭のテナーチューバが吹奏楽っぽいのはノイマンの好みかもしれない。 オケは結構巧いと思うのだが・・・

総合評価:  ★★
レーベル:  SATZ DISC: SAD66047 CD-R
演奏家:   Vaclav Neumann / Prague SO
日時・場所: June 15, 1988, Vienna
演奏時間:  total 73:40 ( 20:39 / 13:02 / 11:20 / 12:55 / 15:44 )
録音評:

 これは、上記2つより10年以上新しい録音。 明らかに解像度において上だが、キーンという様な変なノイズが続いており、聴き辛い。

演奏評:

 第1楽章冒頭から標準的なテンポで手堅い感じ。 テナーチューバはユーフォニウムっぽいが、佳演ないし秀演の類いかなと思っていたら、トランペット2本の絡みのあたりから、えっ?というくらい独特の引っぱりがありその後もテンポの揺さぶりが個性的かつ魅力的。 第二楽章は速めのテンポできびきびしていて小気味よいが、2回目のホルンの絡みで思いっきり引っ張ったりと一筋縄では行かない。 第3楽章は異例なほど遅く個性的。 第4楽章は冒頭は遅めだが、そのあと自在にテンポを揺さぶり見事である。 そして、最終楽章。 冒頭は標準的テンポのファンファーレだが、その後は緩急自在で非常に個性的かつ魅力的。 ただ、残念ながら、カットされている部分があり、例の「重爆撃機の飛行」がない。 上記2つの演奏から一皮も二皮も剥けており、本来なら星3つに迫るところだが、録音に難があるのと、終楽章のカットが問題なので★は2つとする。

総合評価:  ★★
レーベル:  ETERNITIS: ETCD-119-S CD-R
演奏家:   Vaclav Neumann / SWF SO
日時・場所: 1971, Baden-Baden
演奏時間:  total 75:37 ( 20:49 / 14:02 / 10:53 / 13:58 / 15:55 )
録音評:

 70年代の録音としてはこんなもんかなという感じ。 優秀というほどではないが、ノイズは無く、聴き辛くはない。

演奏評:

 上記のものに先立つこと17年であるのに、かなり近い演奏。 第3、第4楽章が遅いと感じさせ、端々でアゴギーグが強く、楽しめるが、最終楽章でこの演奏もカットがあり、それもかなりへたくそなつなぎ方で、それまでの名演をぶちこわしにしている。 これは、勧められない。

総合評価:  ★★

ノセダの演奏

レーベル:  DIRIGENT: DIR-1059 CD-R
演奏家:   Gianandrea Noseda / BBC PO
日時・場所: July 30, 2012, London
演奏時間:  total 75:24 ( 22:42 / 14:31 / 8:47 / 12:12 / 17:12 )
録音評:

  背景にサーッと言うノイズがかすかに聞こえるが気になるレベルではない。やや残響が強いが音の鮮度は良く好録音。

演奏評:

 第1楽章は思いっきりテンポを揺さぶる。 駆け足で進むかと思うと思いっきり引っぱり、変幻自在でこの揺さぶりが説得力を持ってぴたりと決まり心地よい。 これは凄いと期待したが、その後の3つの楽章は駆け足のまんまで淡白。 最終楽章では思い切った揺さぶりもかけるが、何かピントが外れている。 竜頭蛇尾。 第1楽章だけなら★3つだが、あとはだめ。

総合評価:  ★★

ノットの演奏

レーベル:  TUDOR: 7176 hybrid
演奏家:   Jonathan Nott / Bamberg SO
日時・場所: July 11-15, 2011,Joseph-Keilberth-Saal, Konzerthalle Bamberg
演奏時間:  total 79:50 ( 21:56 / 16:08 / 9:15 / 14:07 / 17:53 )
録音評:

  残響ほどほどでクリア。 ノイズ無くまずまず。

演奏評:

 第1楽章冒頭から標準の遅めくらいだが、その後、通常テンポアップするところで逆に遅くなる等、テンポ設定が独特で魅力的。 テナーチューバも含め、各楽器の音が非常に良い。 その後の各楽章もまずまずだが、何か第1楽章ほどのインパクトがなく、悪くはないんだけどね、という感じ。 最終楽章もキビキビ片付けて行く感じで、まあ★は2つかなあと思っていた。 ところが、コーダが近づいてきたら、急速にテンポが遅くなり、俄然おどろおどろしくなってきた。 で、最終楽章はかなり高得点となり、★は2つ半としたい。

総合評価:  ★★☆

沼尻竜典の演奏

レーベル:  EXTON: OVCL-00104
演奏家:   Ryusuke Numajiri / Tokyo PO
日時・場所: October 10, 2002, Suntory Hall, Tokyo
演奏時間:  total 79:52 ( 22:45 / 16:29 / 9:53 / 12:43 / 18:02 )
録音評:

 クリアかつ適度に残響もあり、ノイズはない。 解像度に優れた優秀録音と言える。

演奏評:

 やや遅めの部類に入る演奏だが、更に両端の楽章ではテンポ的揺さぶりが凄い。 第2楽章も冒頭のホルンの遅さが素晴らしい。 全体に、傷が少なく、東フィルとしては大健闘、敢えて言えば、第1楽章終盤でトランペットがあせって危ない状態に陥るところがあり、残念。 しかし、日本のオケによる7番としては1番かもしれない。 沼尻という指揮者は、なかなか凄腕だと思う。 ベルリンフィルくらいの水準のオケを振ってやったら、星3つに達しうる潜在能力があるのではあるまいか。

総合評価:  ★★☆

オールソンの演奏

レーベル:  MF: MF17
演奏家:   Robert Olson / Mahler Fest O
日時・場所: January 17-18, 2004,Macky Auditorium, CU, Boulder,Colorado
演奏時間:  total 84:07 ( 23:10 / 17:29 / 10:44 / 13:16 / 19:28 )
録音評:

 ノイズはないものの、妙に透明度の低い録音、昔のあまり品質の良くないアナログ録音の様な音である。 なんだか1枚紗がかかっている感じ。

演奏評:

 マーラー・フェスティバルのライブでオケは寄せ集めとなっている。 ミスはほとんどないが、音色的な魅力に乏しい。 演奏は全体にやや遅め。 特に最終楽章は遅さが成功しているとは言えるが、何かもたつく感じもある。 第3楽章も独特で面白いが、やはりもたもたする感じがのこる。 録音も宜しくないので評価は星二つ。

総合評価:  ★★

小沢征爾の演奏

レーベル:  PHILIPS: 426249-2
演奏家:   Seiji Ozawa / Boston SO
日時・場所: March 1989, Boston
演奏時間:  total 80:13 ( 21:08 / 16:43 / 10:32 / 14:01 / 17:49 )
録音評:

 解像度ほどほど、残響ほどほど。 ノイズらしいものはほとんど聞こえない。 まあまあの録音。

演奏評:

 呆れる程素直な演奏。 流れに逆らうということがなく、それなりにきれいだし、音量的メリハリもあるが、変なためや粘りがまるでない。 かなりレベルの低い演奏でももうちょっと自己主張しようとして墓穴を掘るものだが、ここまで徹底しているのは立派。 しかし、これでは★は2つ止まり。

総合評価:  ★★

K.ペトレンコの演奏

レーベル:  Digital Concerto: CCT743/744
演奏家:   Kirill Petrenko / Bayern State Orchestra
日時・場所: May 28-29, 2019, National theatre, Munch
演奏時間:  total 71:51 ( 20:47 / 14:20 / 9:22 / 11:45 / 16:18 )
録音評:

 残響がやや強め。 時に低音部がもやるレベルだが、かろうじて聞きづらくなるギリギリのところ。ノイズはない。

演奏評:

 冒頭楽章は通常のレベルだが、それ以降はかなり速めの演奏。冒頭のテナーチューバはユーフォニューム的な音だが、不思議に暗うつな響きは出ている。この楽章はやや優等生的だが、まずまずの出来。第2楽章は軽快なテンポで好きなタイプの演奏だが、弦のコンソルレーニョがあまり聞いたことのないような低い響きだし、2回ほど妙な場所で低弦がフォルテシモのピチカートを聞かせる。第3楽章は速いし、平凡だし、悪魔が全然いない。面白みが全くない。第4楽章は速いのだが、あまりそう感じさせず、そこそこいいなと感じさせる。最終楽章は、通常より速いところと通常速度のところを行ったり来たり。速いところは疾走する感じさえある。 やはり、慌ただしいと考えざるをえない。 総合としては★2つ。

総合評価:  ★★

V.ペトレンコの演奏

レーベル: DIRIGENT: DIR-1585 CD-R
演奏家:   Vasily Petrenko / French RPO
日時・場所: October 7, 2014, Paris
演奏時間:  total 83:43 ( 22:20 / 17:13 / 10:52 / 15:30 / 17:48 )
録音評:

 DDDと銘打っている割にホワイトノイズが耳につく。 また、全体を通して、「ぶ」という謎の雑音が聞こえている。 残響や解像度。音場感などは良いのだが、残念である。

演奏評:

 第1楽章冒頭から速いと思ったが、随所に独特のタメや引っ張りがあり、演奏時間としては通常ないし遅めとなっている。 この解釈は説得力があり、特に第1楽章は良い出来である。 ただし、ホルンの音色がいやに明るいので第2楽章はちょっと陰影が不足。 しかし、オーボエが泣きたくなるほど良い音を出していたりと、魅力もある。 ライブならではの傷はあるが許容内。 第3楽章は、これもありかなと思う。 かなりテンポを揺さぶる。 第4楽章はかなり遅い上にユニーク。 ホルンの明るい音色がプラスに働いている。 最終楽章が、速めの中にメリハリを付け、思いっきり引っ張るところがあって、この方向もありだなとは思うが、まだ未完成な感じ。 本来、ノイズが減点に匹敵するレベルだが、ここは少しおまけして星2つ半。

総合評価:  ★★☆

ラトルの演奏

レーベル:  EMI: CDC7543442
演奏家:   Simon Rattle / City of Birmingham SO
日時・場所: June 21 & 22, 1991, Snape Concert Hall, Snape
演奏時間:  total 77:09 ( 22.06 / 14:40 / 10:15 / 12:19 /17:49 )
録音評:

 残響も程よく、クリアでノイズもない。 当時のEMI録音としてはかなり良い方だと思う。

演奏評:

 2日間のライブを編集したものと思われる。 発売当時、批評家たちの評判は概ね良かったように記憶しているが、「この難解な曲を大変分かりやすく・・・」的な褒め方が多かった。 しかっし、この演奏はそのような優等生的なものとは言い難く、7番の演奏としてはかなり異端的な部類に入る。 演奏時間こそ標準の枠内に入るが、テンポの揺さぶりかたが独特で、非常に個性的と言える。 全体に音は美しく流れているが、時に悪魔的な汚い音もちゃんと出す。 特に第3楽章以後が出来が良い。 第3楽章のテンポやリズムの処理が独特で魅力的だし、速めの第4楽章もいいものだなと思わせる。 最終楽章のテンポ変更、ひっぱり、ためなど実に見事。 バーミンガム市響は大健闘だが最終楽章の異常に速いテンポのところで、やや息切れしてアンサンブルが乱れかかるところがあり、惜しい。 しかし、これが完全にこなせるオケは限られよう。 この曲に関しても、ぜひベルリン・フィルとの再録音を望みたい。

総合評価:  ★★☆
レーベル:  ETERNITI ES: ETCD-260-S CD-R
演奏家:   Simon Rattle / Vienna PO
日時・場所: May 11, 1995, Amsterdam
演奏時間:  total 76:50 ( 22.22 / 14:23 / 10:16 / 12:05 /17:44 )
録音評:

 残響は適度だが解像度はそこそこ。ホワイトノイズが比較的目立ち、ピアニシモだと気になる。

演奏評:

 上記の4年後だが演奏時間は驚くほどぶれない。基本的解釈は同じだと思う。 しかしオケの差の分明らかにこちらの方が上を行く。 弦も、ホルンも、木管も実に良い音である。 この演奏は第1楽章からいい出来であり、最高水準の演奏と言える。 本来ホワイトノイズが減点対象になるくらい目立つ箇所があるが、敢えて減点しない。

総合評価:  ★★★
レーベル:  Valkyrie Disc: 1036(2) CD-R
演奏家:   Simon Rattle / Vienna PO
日時・場所: December 12, 1994
演奏時間:  total 79:45 ( 22.07 / 15:14 / 11:03 / 12:54 /18:27 )
録音評:

 いかにも客席でポータブルレコーダーでとったらしく、楽章間で観客の話し声が入る。 その位置関係から、舞台が遠く個々の楽器の分離が悪い。ノイズは少ないが、時にひずみっぽくなり、サチり気味の所もありで、良い録音とは言いかねる。

演奏評:

第1楽章冒頭は標準的なテンポで始まるが、結構テンポは動き、平均的には速めの演奏である。速めが成功しており、結構熱い演奏だがうまいし適度に悪魔的。残念ながら途中1箇所デジタルノイズっぽい雑音が入る。 第2楽章冒頭のホルンの音がVPOとは思えないくらい硬質。また第2ホルンが吹き損なう。その後はしなやかな快速運転で悪くない。 第3楽章は極めてユニーク。 テンポを激しく動かし、極めてメリハリが強い。 総じて速めだが悪鬼が跳梁しまくる感じ。 第4楽章は冒頭から弦がきれい。 この楽章も、ものすごく速い。 速い中でもテンポ変更は頻回だし、引っ張るところは引っ張る。 最終楽章も冒頭から飛ばすが、テンポ的なメリハリは大きく、超高速と標準テンポの間を行き来する。 全体として、速めの演奏の中ではかなり出来がいい方なのだが、録音の音が悪いので、★は2つにしておく。

総合評価:  ★★
レーベル:  DIRIGENT: DIR-1851 CD-R
演奏家:   Simon Rattle / Berlin PO
日時・場所: August 26,2016,Berlin
演奏時間:  total 79:45 ( 22.12 / 14:54 / 10:38 / 12:15 /17:44 )
録音評:

全体を通してホワイトノイズが入っており、気にし始めると、気になるが、通常はそれほど問題にはならないレベル。 音の鮮度が良く残響も適度。

演奏評:

上記2つの流れの演奏でありながら、少し表現が穏当になっている、というか悪魔的な響きが減っている。 そうは言っても、第2〜第4楽章はさらに速くなっており、第3、第4楽章は相変わらずユニークである。 やはり速めの演奏の中では好きなタイプ。 毒が薄くなった分は差をつける。 星2つ半。

総合評価:  ★★☆

リンケヴィキウスの演奏

レーベル:  aurea:
演奏家:   Gintaras Rinkevicius / Lithuanian State SO
日時・場所: February 24, 2006, Vilnius Congress Concert Hall
演奏時間:  total 78:58 ( 21:30 / 16:22 / 10:08 / 12:46 / 18:09 )
録音評:

 ノイズはなく、まあまあな音質だが、現代の録音としてはそれほど良いとは言えない。 鑑賞には何ら支障はない。

演奏評:

 かなり個性的である、5つの楽章全てにわたって、テンポのメリハリの付け方がユーニークである。 「え、そうくるか」とか、「そういう手もあったか」という感想がわくが、なかなか面白くそれなりに説得力のある解釈である。 ただ、惜しむらくは、このユニークな解釈にオケの実力が付いて行ききれない点である。 しかし、かなり好きな演奏なのでその分は減点しないことにする。

総合評価:  ★★☆

レーグナーの演奏

レーベル:  PASSION & CONCENTRATION: PACO1022 CD−R
演奏家:   Heinz Roegner / Berlin RSO
日時・場所: Feburuary 1993
演奏時間:  total 76:45 ( 21:57 / 15:13 / 10:41 / 10:18 / 18:36 )
録音評:

 表書きにはMONOと書いてあるが、どう聞いてもステレオである。 逆のことは稀にあるが、こういうのは極めて珍しい。 テープヒスのようなノイズはあるが、それほど気にならない。 フォルテッシモでややサチる感じがするところもあるが、まあまあ合格点。

演奏評:

 これまた、結構個性的な演奏である。第1楽章のフレージングが独特だし、第3楽章が異様に遅いかと思うと、第4楽章が超特急だったり。 最終楽章は堂々たる巨匠型の演奏と言えようか。 面白いし、指揮者の解釈は時にうならせるところもある。 しかし、個々の楽器の技術水準の不足を感じさせるところが時々ある。 惜しい。

総合評価:  ★★

ロスバウトの演奏

レーベル:  VOXBOX: CDX2 5520
演奏家:   Hans Rosbaud / Berlin RSO
日時・場所: 1952
演奏時間:  total 80:09 ( 21:49 / 17:52 / 9:46 /12:18 / 19:14 )
録音評:

 モノラル時代の録音としても良い方ではない。 ノイズは多くはないが、音が歪みっぽく、ややキンつく傾向がある。

演奏評:

 曲全体を通じて速度的変化によるメリハリが極めて大きい。 それ自体はなかなか魅力的なはずなのだが、オケの技術水準により限界が見え隠れする。 また、録音のせいもあるが、個々の楽器の音が今ひとつ悪い。 この時代に7番を録音していたことは高く評価するが、コレクターでもない限り、あえてこれを手に入れなくても良いと思う。

総合評価:  ★☆
レーベル:  wergo: WER6406-2
ANDROMEDA: ANDRCD 9033
演奏家:   Hans Rosbaud / SWR SO
日時・場所: February 18-20, 1957, South-West Radio, Baden-Baden
演奏時間:  total 76:46 ( 20:16 / 16:17 / 9:51 /11:39 / 18:43 )
録音評:

モノラルの割には良い音である。 ノイズも少なめだし、聴きやすい。

演奏評:

 上記より5年後だが、明らかに録音は良いし、オーケストラの技術水準もこちらの方が上。 曲の解釈は、第1楽章は標準的な感じだが、その後はかなりユニークである。 第2楽章は冒頭駆け足演奏だなーと感じたとたん、急に遅くなり、ずーっと超遅演が続いて、終わり近くでまた駆け足に戻る。 第3楽章は、実際の演奏時間以上に遅く感じる。 第4楽章は、急いでいる感じ。 そして最終楽章は、極めて大胆に速度変更を繰り返し、そこが魅力ではある。 全体的に速度的メリハリがあって面白いし、オケもかなり頑張って付いて来ているが、録音の古さを跳ね返す程の魅力を放っている訳ではない。

総合評価:  ★★

サロネンの演奏

レーベル:  DIRIGENT: DIR-0502 CD−R
演奏家:   Esa-Pekka Salonen / Philharmonia O
日時・場所: June 11, 2009, London
演奏時間:  total 76:53 ( 22:56 / 14:20 / 9:36 / 12:01 / 18:00 )
録音評:

 最近の録音だし、CD−R盤としてはまずまずで、ノイズもない。 ただ、これはホールのせいだろうが、低音部の残響が強く、解像度が今ひとつ。

演奏評:

 9番を聴いたときにも感じたが、この指揮者はなかなかの才人だと思う。 独特の演奏が聴け、ユニークな中にも説得力があって楽しめる。 第1楽章からテンポを自在に操り、引っ張るところは思いっきり引っ張ったかと思うと、速いところは非常に小気味よく速い。 これは各楽章とも共通しており、フィルハーモニア管も良く付いていっている。 最終楽章も極端なほどテンポを揺すぶり、これが非常に魅力的となっている。 全体に熱い演奏であり、9番より完成度は高いが、唯一演奏の傷として、最終楽章の後半部でフルートが早く飛び出しすぎて混乱し、他の楽器も引きずられて数小節アンサンブルが乱れるところがある。 良い演奏だけに、非常に惜しいが、あえてこの分は減点しないことにする。 しかし、まだ星は2つ半。 いずれこの指揮者は、この曲で星3つの演奏を残すだろうと思う。

総合評価:  ★★☆

シェルヘンの演奏

レーベル:  AS disc: AS 302
演奏家:   Hermann Scherchen / Vienna SO
日時・場所: 1960
演奏時間:  total 72:20 ( 20:40 / 14:23 / 8:51 / 13:27 / 14:59 )
録音評:

 録音は、悪い。 ノイズもそれなりに多いが、音が歪みっぽくキンキンする。 モノラルの中でも悪い方。

演奏評:

 異様な演奏である。 テンポの設定が通常とだいぶ違うところがあるし、弦の細部が妙に強調されていて聞き慣れない音がする。 また、聴き慣れた音がしない。 演奏技術にも問題があり、ひき損ないの類いの音の欠落もままあるようである。 悪魔的ないし猟奇的迫力は濃い演奏ではあるが、録音の悪いのもあって聴きやすくはないし、あまりお薦めとは言い兼ねる。

総合評価:  ★☆
レーベル:  Music&Arts: CD695
演奏家:   Hermann Scherchen / Toronto SO
日時・場所: April 25,1965
演奏時間:  total 69:21 ( 18:33 / 12:53 / 8:17 / 13:00 / 16:38 )
録音評:

 ノイズも多いし歪みっぽく、モノラル録音としても、決していい録音とは言えない。 しかし、鑑賞可能なレベル。

演奏評:

 晩年、アメリカに招かれて客演旅行をした際の演奏。 このとき、シェルヘンはやりたい放題をやると決めていたらしい。 フィラデルフィア管デビューの際にはお得意のマーラーの5番でアダージェットに15分かけるというとんでもない演奏を残しているが、このトロント響との7番もかなり凄い。 まず、演奏時間を見て頂きたい。 この曲の演奏の最短記録だろうと思う。 第1楽章は冒頭こそ普通のテンポだが、その後、テンポの変化が凄まじく、速いところはオケの機能限界を超え、崩壊寸前の状態で疾走させ、かと思うと、ふっとゆったりしたロマンティシズム溢れる瞬間をかいま見せる。 これはシェルヘンにしかできない芸当ではあるまいか、クレンペラーの対極にある演奏と言える。 第2楽章は、シェルヘンの演奏の全てに共通だが冒頭のホルンの掛け合いをかなりゆっくり引っ張る。 この演奏ではこのあと快速運転で突っ走っている。 第3楽章はやや速め。 悪魔的であるがやや下品。 第4楽章も全体に速く、なかで時折ゆっくりしたところが妙に光る。 最終楽章も速度変化がめまぐるしいながら全体には速く熱い。 これは凄い演奏である。 オケも、こんな無茶な要求に何とか付いて行っているのはたいしたもの。 録音の悪さを減点したくなくなるが、あえて辛目として★半分減点はする。

総合評価:  ★★
レーベル:  PALLADIO: PD4133/34
Westminster: MVCW18021
演奏家:   Hermann Scherchen / Vienna State Opera O
日時・場所: July 1953, Mozartsaal, Vienna
演奏時間:  total 77:58 ( 20:40 / 15.:39 / 9:08 / 14:24 / 18:07 )
録音評:

 この一番古い録音が一番ましか。 しかし、ノイズはあるし、やや歪みっぽい点は残る。

演奏評:

 この演奏が一番常識的で時間も普通。 手堅いし、随所にシェルヘンっぽさもある。 この演奏に特有の引っ張り方が第1楽章に見られる。 しかし、この程度ならシェルヘンでなくともと感じてしまうし、ならば録音の悪さ分マイナスとなる。 まあ、少々甘いがこれも星2つとしておく。

総合評価:  ★★

シュワルツの演奏

レーベル:  ARTEK: AR0043-2
演奏家:   Gerard Schwarz / Royal Liverpool PO
日時・場所: November 3-5, 2005, Philharmonic Hall, Liverpool
演奏時間:  total 76:00 ( 21:58 / 15:10 / 8:36 / 12:38 / 17:19 )
録音評:

 解像度はそこそこ。 ノイズはなく、低音部がやや厚いがこれはホールの音なのだろう。

演奏評:

 速めの演奏であり、特に第3、第4楽章は速いが、テンポを独特のやり方で揺さぶりこれがなかなか決まっている。 弦が独特の粘り方を見せたり、随所にユニークな解釈が見られ、面白い。 特に第4楽章が個性的。 最終楽章の出来もまずまずと行ったところか。 やや、甘い気もするが、星2つ半あげることにする。

総合評価:  ★★☆

セーゲルシュタムの演奏

レーベル:  CHANDOS: CHAN9057-59
演奏家:   Leif Segerstam / Danish RSO
日時・場所: November 4-6, 1991,
Danish Radio Concert Hall, Copenhagen
演奏時間:  total 88:14 ( 25:03 / 17:20 / 10:58 / 15:49 / 19:04 )
録音評:

 ノイズはなく、残響もほどほど。 やや遠くから聞こえてくる感じはあるが、悪くない。

演奏評:

 遅く、しかもユニークな演奏である。 クレンペラーのようにかたくなに遅いのではなく、結構緩急のメリハリがある。 また、ひっぱったり、一瞬静止したりという手練手管も使う。 第3楽章は、今一かなと思うがそれ以外はなかなかいい出来。 特に最終楽章は素晴らしい。 この楽章だけなら星3つ上げたいくらいだが、総合では2つ半。 楽器の音色が最高水準にはない感じがするのが減点理由。

総合評価:  ★★☆

シノーポリの演奏

レーベル:  DGG: 437851-2
演奏家:   Giuseppe Sinopoli / Philharmonia O
日時・場所: May 1992
演奏時間:  total 87:26 ( 24:36 / 17:04 / 9:54 / 17:35 / 18:17 )
録音評:

 ノイズはないが、やや残響が強くもやっとする。 時に高域がきつい感じがする。 時代を考えるとそう良い録音とは言えない。

演奏評:

 これも遅めでかなりユニークな演奏である。 第1楽章冒頭は弦が刻むタイプで遅めかなと思うと、次の旋律に入るところで急に速くなり、初めの旋律に戻るところでまた遅くなり、次にまた速くなり・・・と随分めまぐるしい。 中間部のホルンが登場するあたりから、目一杯ひっぱって叙情的となり、まるでオペラの1シーンのよう。 終結部は分厚く、巨大戦艦の航行のようである。 第2楽章冒頭のホルンは引っぱり気味でなかなかよろしい。 そのあとも普通にきれいである。 第3楽章は、他の楽章に較べると相対的に速め。 ちゃんと魔物が跳梁するワルツになっている。 第4楽章は極めて遅い。 ここまで遅いのも珍しく、スローモーションのようで、セレナーデではなくなっている。 最終楽章は冒頭速いと感じるが、間もなくテンポが落ちて遅くなる。 それなりに緩急はあるが後ろに行くほど遅くなる傾向。 終盤はスローモーション的な部分さえある。 全体を通じて遅いし、妙な音の聞こえることも多く、特殊な演奏と言える。 この曲の本来持っているグロテスクさとは別のいびつさを感じてしまう。 評価は星2つ止まり。

総合評価:  ★★

ショルティの演奏

レーベル:  London: FOOL-23138
演奏家:   Georg Solti / Chicago SO
日時・場所: May 1970, Krannert Centre, Illinois
演奏時間:  total 77:32 ( 21:33 / 15:45 / 9:18 / 14:31 / 16:25 )
録音評:

 ショルティのDECCA録音のマーラーの中でもかなり良い録音になるのではあるまいか。 ノイズが少なく、音が生き生きしていて心地よい。 残響も適度でクリアな音である。 第1楽章終わり近くのフォルテでわずかにサチるのが残念。

演奏評:

 速めの演奏であるが濃厚であり、適度に悪魔的で、この曲の演奏としてはかなり高水準な部類に入る。 特に、第1楽章と最終楽章が良い。 最終楽章のテンポの自在な動かし方は見事である。 これは楽勝で星2つ半。

総合評価:  ★★☆

スターレクの演奏

レーベル:  Vysocina: UP 0112-2131
演奏家:   Jiri Starek / Czech RSO
日時・場所: September 19,2008, DKO, Jihlava
演奏時間:  total 78:58 ( 21:59 / 16:29 / 9:37 / 12:19 / 18:34 )
録音評:

 クリアで残響ほどほど。 録音時期を考えたらもっと良くてしかるべきだが、まあまあ十分良い録音といえる。

演奏評:

 これは、同曲の初演100周年の記念演奏会のライブらしいが、当初、聞いたことない指揮者だし、オケもイマイチメジャーじゃないし、ジャケットはよくわかんない民族衣装着た集団だし、おまけに演奏時間を見てもそんなに特徴ないみたいだし・・・で、あんまり期待せず、田舎オケの凡演を覚悟して聞き始めた。 しかし、冒頭からぶっ飛ぶ。 何じゃコレハ。 冒頭から叩き付けるようにリズムを刻みつつ、史上最速と思われるテンポで始まる。 こんなの聞いたことない。 と、間もなく一転して遅くなったり、目一杯、指揮者の好き放題テンポを揺さぶる。 と思うと、聞いたこともない伴奏音形が全面に出てみたり。 正直、次に何をやらかすのかとわくわくしてくる。 これは解釈ではなくて、編曲のレベル。 問題はある。 あまりにも奔放に指揮者が振る舞うためか、しばしばオケが混乱している。 吹き損ない、弾き間違いの類いがプロのオケとは信じられないくらい頻発している。 しかし、そんなことは大きな問題ではないとでもいいたくなるくらい熱っぽい演奏である。 この、これでもかというくらい通常と異なる第1楽章が終わった後、続く3つの楽章は、遥かにまともだが、相変わらずミスが多い。 ソロ楽器が出そびれることが多いようだ。 演奏当時80歳に達していたと思われる指揮者のバトンがわかりにくかったのかもしれない。 第2楽章のホルンの掛け合いは素晴らしいし、弦の音が妙に艶っぽかったりする。 第3楽章中間部の私がいつも気にしているリズム処理が1回目は通常の良くあるパターンなのに2回目に再現されるところではルイジなどのように特殊なテンポ設定になっていたりして、一筋縄でいかない。 第4楽章は速めの演奏で、セレナーデにはなっていないが魅力的。 そして、最終楽章だが冒頭から中間部までは跳ね回るような軽快な演奏。 まあ、ありがちな・・・という感じ。 ところが後半一転して、弦がギシギシ刻むような特殊な弾き方で遅いテンポを続けるようになり、どんどんおどろおどろしくなる。 更には終曲に向かうところでウルトラスーパーリタルダンドを掛け、完全に停止、なんて離れ業をやってのける。 じいさんやるねーッて感じ。 例の「重爆撃機の飛行」のシーンも十分堪能。  異形の演奏の本命がクレンペラーならこれは十分に対抗馬。 しかし、下手だ。 こんだけミスが多いと冷静に考えて、魅力的な部分がすべて帳消しにされてしまい、高いポイントはつかない。 だが、こういうのを前にしたら私は冷静でいることを放棄したいと思う。 星2つ半! 乞御容赦。

総合評価:  ★★☆

シュテンツの演奏

レーベル:  OEHMS CLASSICS: OC652 hybrid
演奏家:   Markus Stenz / Gurzenich Orchester Koeln
日時・場所: June 23-27, 2012, Philharmonie, Koeln
演奏時間:  total 73:35 ( 21:09 / 14:17 / 8:49 / 12:24 / 16:51 )
録音評:

 クリアだが残響は少ない。 しかし奥行きがなくのっぺりしている。

演奏評:

 全体にテンポは標準からやや速め。 基本的にあまり揺さぶらない、というかテンポ変更はあっても、ためや引っぱりがない。 第1楽章は平凡。 第2楽章も冒頭のホルンが妙に高圧的で牧歌的からほど遠いのをのぞけば特徴なし。 第3楽章も悪鬼が跳梁するのからはほど遠い。 第4楽章もなんか中途半端である。 少なくとも楽しくないし爽やかでもない。 最終楽章は、それまでとは違い、テンポをわりに動かしてサービスに努めてはいるのだが、はずしている。 全体に、この曲を指揮者がつかみきれていないというか、コンセプトがよくわからない演奏。 夜や闇を感じさせないが昼の明るさもないのである。 音はいいので星2つは差し上げる。

総合評価:  ★★

スタインバーグの演奏

レーベル:  Ritardando: RIT 5025 CD-R
演奏家:   William Steinberg / Boston SO
日時・場所: April 1971
演奏時間:  total 72:47 ( 19:28 / 15:47 / 10:15 / 10:09 / 17:08 )
録音評:

 ステレオではあるものの、あまりクリアではない。 残響はそこそこで、嫌なノイズもないが、何となく歪みっぽい。

演奏評:

 スタインバーグのマーラーというのは、あまり記憶にない。 演奏時間だけ見ると、快速運転の口かなと思って聴き始めたら驚いた。 冒頭、とんでもなく遅い。 クレンペラーを凌ぐ! いったいどうなるんだと思ったら、ほどなくテンポアップ。 その後、全曲にわたって自在にテンポを動かす。 これは見事である。 第4楽章なんぞ、速めの中で更にアッチェルランドをかけており、わくわくする。 最終楽章は正しくどんちゃん騒ぎだが、この演奏ではこれであっている。 全編にわたって華やかであり、夜だが闇はない。 しかし、ここまでやると、これはこれで納得。 録音が良かったら星3つでも良いのだが・・・

総合評価:  ★★☆

スヴェトラーノフの演奏

レーベル:  SAISON RUSSE: RUS288 117.18
演奏家:   Evgeny Svetlanov / The Russian State SO
日時・場所: February 1992, Large Hall of Cocervatory, Moscow
演奏時間:  total 85:03 ( 22:53 / 18:52 / 9:43 / 15:43 / 17:52 )
録音評:

 録音は下記のものよりは格段に良いが、一般にはまあまあというところ。 残響もほどほどであり、録音の傷はない。

演奏評:

 下記のものの未完成形みたいな演奏である。 第2、第4楽章の2つのナハトムジークはやはり魅力的であるが、演奏としての出来は下記に譲るところがある。 オケの実力は同等か。 ライヴではないと思うが金管のミスやアンサンブルの崩れかかるところがあり、あまり取り直しはしなかったようである。 全体に薄暗い雰囲気があり、これはこれで魅力的。 ただ、最終楽章に来て急に華やかになってしまい異様な感じがする。 殿、ご乱心を!という感じ。 特に終盤の鐘はけたたましくて五月蝿い。 それまでの楽章がまずまずなだけに惜しい。

総合評価:  ★★
レーベル:  VIBRATO: VLL16
演奏家:   Evgeny Svetlanov / Swedish RSO
日時・場所: August 9, 1995, Sweden
演奏時間:  total 84:50 ( 24:43 / 19:25 / 10:28 / 14:23 / 15:51 )
録音評:

 録音は悪い。 テープヒスが強いのは仕方ないにしても、テープの転写と思われるゴーストが聞こえ、特に第2楽章で目立つ。 また、第1楽章と第4楽章の冒頭の1音が切れている。 さらに、第1楽章と最終楽章のティンパニ強打でややサチる。

演奏評:

 全体に遅めである。 特に前半3楽章は遅い。 ときにクレンペラーより遅いくらいである。 しかし、あそこまでかたくなに遅いのではなくテンポにメリハリがあり、ためや引っぱりもある。 とりわけ第2楽章の出来は良く、ここだけなら星3つクラス。 第4楽章もテンポを揺らし、非常にチャーミングである。 最終楽章も初めは普通のテンポだが、後半遅めで押すのが成功しており、コーダのあたりなど見事である。 ただし、最終楽章にカットがあり、例の「重爆撃機の飛行」の部分が欠落している。 録音の悪さ、最終楽章のカットとライブの演奏のミスで星半分マイナスとして星2つ。

総合評価:  ★★
レーベル:  NHK CD: KKC-2157
演奏家:   Evgeny Svetlanov / NHK SO
日時・場所: September 11, 1997, NHK Hall
演奏時間:  total 88:19 ( 25:37 / 21:15 / 10:10 / 15:12 / 16:05 )
録音評:

 ノイズは少なく残響は控えめに、音質的にやや古めかしい感じがするが、まずまずと言える。

演奏評:

 上記の二年後、N響の客演でマーラーの7番やろうというのもすごい野心的だが、N響もよく応えて健闘していると思う。 上記2つの延長線上にある演奏だと思うが、第4楽章を除き、さらに遅くなっている。 やはり、第1、第2楽章の出来が良く、第3楽章は凡庸。 第4楽章はあと一歩の感じがするが。最終楽章は後半テンポを落としてからが勝負の演奏なのだが、やはり上記と同じカットがあり、それが大いに不満となる。カットが無ければ星3つをつけるか考える所だがカットがある上に、その処理があまり上手くなく、いささか興醒めする。残念ながら星は2つ止まり。

総合評価:  ★★

タバコフの演奏

レーベル:  CAPRICCIO: 49056
演奏家:   Emil Tabakov / Sofia PO
日時・場所: October 1989, Bulgarian Concert Hall, Sofia
演奏時間:  total 79:45 ( 22:25 / 16:49 / 9:20 / 14:43 / 16:28 )
録音評:

 やや残響が強いが9番の録音よりだいぶ良い。 ノイズもなく、そこそこクリア。 ただし、やや高音がキンつく。

演奏評:

 9番と同じ全集の1曲。 これまた個性的である。 例えば、第2楽章冒頭のホルンのゆっくり加減とか、この楽章の妙な薄暗さ、第4楽章ののんびりした感じ、最終楽章の荒々しさ等々。 時々聞き慣れない音も聞こえ、面白い。 オーケストラのアンサンブルはかなり無茶をしているところでも崩れず見事ではあるが、音色があまり魅力的ではない。 悪くはないと思うが、人に勧めるレベルにはない。 コレクターとしては持ってる価値はあると思うが・・・

総合評価:  ★★

高関健の演奏

レーベル:  ALM Records: ALCD-8030
演奏家:   Ken Takaseki / Gunma SO
日時・場所: March 10, 2007, Gunma Music Center
演奏時間:  total 74:59 ( 20:05 / 15:25 / 10:03 / 12:01 / 17:22 )
録音評:

ノイズはほとんどなし。 残響も程よくライブ録音としてはまずまず。

演奏評:

 全体に、日本のオケのライブにしては事故が少なくかなり高水準である。 第1楽章は冒頭から標準的なテンポで、速度のメリハリはそれほど目立つほうではなく、どちらかといえば直球勝負。 好演奏だが、目立つ特徴はないなと思っていたら最後の締めくくりの数小節だけ目一杯遅くするという極めて珍しいことをしている。 第2楽章は冒頭からホルンがなかなか良い。 各セクションのソリストたちがなかなかがんばっている。 それでいて美音のみでなく、きっちり夜の音楽が展開されている。 第3楽章は標準的なテンポであり、あまりぎょっとするようなところはないが、不気味なワルツにちゃんとなっており、中間部のリズム処理もまずまず。 手堅い仕事という感じ。 第4楽章でもホルンの良さが光るが、全体に速く、叙情には流れない演奏。 終楽章は標準的なテンポで、それなりに変化はつけているが、あくまでも自然な流れに沿っているかのようで、ギクシャクしたところがない。 昼の音楽ではなく、私好みな夜の祭りの音楽にはなっていると思う。
好演奏には間違いないのであるが、何かイマイチ踏み込みが足りないというか、そこまで分かってるなら、何でもう一歩踏み込んでぶっ飛んでくれないかなというもどかしさも感じる。 ライナーノートを見ると、指揮者がかなり楽譜の版の問題を研究した模様であり、それなればこそ、自分の感性を優先させるに躊躇する部分があったのかなァと思ってしまう。 本来、星2つ半はあげたいところだが、あえて厳しく星2つとする。 しかし、この指揮者はいずれ、星3つの7番の演奏をするのではと期待できる。

総合評価:  ★★

テンシュテットの演奏

レーベル:  MEMORIES EXCELLENCE: ME1036
演奏家:   Klaus Tennstedt / Cleveland O
日時・場所: March 23-25,1978, Severence Hall,Cleveland
演奏時間:  total 75:38 ( 21:12 / 15:17 / 9:39 / 12:32 / 16:58 )
録音評:

 残響はほどほどだが、全体に音質が硬質で時にキンキンする。 テープヒスは微かだが、アナログ段階で混入していたと思われるハムがわずかに聞き取れる。 およそ良い録音とは言い難い。

演奏評:

 テンシュテットの7番としては最も早い時期のもの。 クリーブランド管の3日間のライブの編集らしい。 すでにテンシュテットらしさが随所に出始めてはいるものの、まだ極端に走ることなく、ためや引っぱりの目立たないスタンダードな名演と言える。 クリーブランド管の個々のソリストの技量も高く、本来なら星2つ半のレベルにはあるのだが、何しろ録音が悪く、聞きづらい音質のため、星2つにとどめておく。

総合評価:  ★★
レーベル:  World Music Express: WME-S-CDR-1175/6 CD−R
演奏家:   Klaus Tennstedt / London PO
日時・場所: August, 1980
演奏時間:  total 79:15 ( 21:38 / 16:17 / 9:37 / 14:33 / 17:10 )
録音評:

 残響はほどほど。 音場感もあり、細部も聞き取りやすいが、やや紗がかかった感じのするところがある。 フォルテシモでサチり加減となることがある。

演奏評:

 この年、ロンドンフィルとの間で集中的に7番を演奏していたらしく、録音がたくさん残っている。 この録音は8月とだけ記載されており何日のものか分からないが、下記のものとは別の日の演奏である。 既に随所にテンシュテット節が現れている演奏であるが、まだロンドンフィルの側が慣れ切っていない所があるように思われる。 第1楽章冒頭から中間部までは割と標準的なテンポで、中間部ではたっぷり歌わせるためテンポを落とす。 ためや引っぱりはあるが、あまり無理なことはやっていない。 第2楽章冒頭のホルンは思いっきりゆっくりと引っ張って掛け合いさせる。 残念ながらこの楽章のホルンは出来が悪く、コケまくるし、ブラスが妙に突出するところがあって品がない。 カウベルの音が割と控えめだったり、終盤のフルートが独特の小節を廻したり個性的ではある。 第3楽章冒頭遅く始めてアッチェルランドをかけ標準テンポにすぐ追いつくという個性的な入り方をするが、これは上記の演奏でもやっていて、こちらの方がむしろ控えめである。 全体にリズムがごつごつしていてワルツの優雅さがない。 第4楽章は弦がたっぷり引っ張りながら入り、その後は標準的なテンポ。 アゴギーグは控えて穏やかな音楽を展開している。 終盤のアッチェルランドも控えめ。 最終楽章冒頭のティンパニー連打は速めでそれに続くファンファーレも快速運転。 その後もキビキビした演奏が続く。 終盤、鐘が鳴り響くあたりからテンポを落とし、コーダ付近ではゆっくりじっくりのテンポで押し通している。 うまいテンポ設計である。 第3楽章を除き、曲の解釈は納得がいくものであるが、演奏の技術水準、とりわけホルンの出来が悪く、総合評価は星2つ止まり。

総合評価:  ★★
レーベル:  BBC LEGENDS : BBCL 4224-2
演奏家:   Klaus Tennstedt / London PO
日時・場所: August 29, 1980, Usher Hall, Edinburgh
演奏時間:  total 82:16 ( 22:10 / 16:45 / 9:54 / 15:14 / 18:13 )
録音評:

 上記より更に空間分解能の良い録音。 ノイズも少なく聞きやすい。

演奏評:

 上記とほぼ同時期の録音であり、解釈も基本的に同じだが、こちらの方が幾分遅めの部分がある。 しかし、オケの出来がこの日の方が良く、第2楽章でホルンがコケない。 これは、少し甘めだが星2つ半とする。

総合評価:  ★★☆
レーベル:  EMI: CC30-9042/43
演奏家:   Klaus Tennstedt / London PO
日時・場所: October 20-22, 1980, Abbey Road Studio, London
演奏時間:  total 82:24 ( 22:42 / 16:24 / 10:14 / 15:10 / 17:54 )
録音評:

 クリアだが、やや弦の音色が硬質。 音響バランスがやや低音薄めとなっている。 幾分残響が強く、紗がかかる。

演奏評:

 上記2つより2ヶ月あとだが、唯一のスタジオ録音であり、さすがにミスはなく音もきれいである。 冒頭部のテナーチューバはやや不安定だが、大きな問題はなく、基本的に上記2つに近いがややテンポ設定がおとなしめ。 ホルンは別のオケかと思うくらいきれいな音を出しているし、随所にテンシュテット節は出ている。 名演といっても良いと思う。 しかしである。 他のライブの録音に較べるとなんか整いすぎている。 何かノリがわるいというか、優等生的なのである。 で、非常に厳しいかとも思うが、星2つとする。

総合評価:  ★★
レーベル:  Navikiese: NAV-4006/7 CD−R
演奏家:   Klaus Tennstedt / Philadelphia O
日時・場所: February 5, 1987
演奏時間:  total 83:46 ( 22:37 / 16:43/ 10:29 / 14:54 / 19:03 )
録音評:

 やや硬質でデッドな音。 フォルテシモで幾分サチるのと、ときどきパリ付くようなノイズが入る。 優秀な録音とは言い難い。

演奏評:

 上記3つの演奏から約7年の歳月が流れているが、曲の基本構造の捉え方はあまり変わっていない。 演奏時間も幾分遅くなっているが基本線は同じ。 しかし、聞いてみた印象はかなり違う。 録音が芳しくないというハンデがあるにも関わらず、全体に音がきれいである。 それを生かすような、ためや引っぱりも随所に見られ、聞いていて楽しい。 オケの実力の差が現れているように思う。 ただ、後半2楽章は華やかすぎる気がする。 これはこれで、一つの解答だとは思うのだが、テンシュテットの本来の形からは、ずれている感じがするのである。

総合評価:  ★★
レーベル:  EMI: 72435552942
演奏家:   Klaus Tennstedt / London PO
日時・場所: May 14 & 15,1993, Royal Festival Hall, London
演奏時間:  total 88:38 ( 24:09 / 17:59 / 11:07 / 15:30 / 19:53 )
録音評:

 EMIのマーラー録音の中でトップクラスの名録音だと思う。 クリアでノイズなし。 残響も適度で個々の楽器の表情も非常に良く判る。

演奏評:

 テンシュテット最後の7番だし、カップリングの6番の方がそりゃあとんでもない演奏なんで、これもそうかというと、確かにかなりとんでもない演奏である。 前回から13年間でロンドンフィルはかなりうまくなっていると思うが、それでもテンシュテットの指示に完全には答え切れてないのが第1楽章の残念な点。 でも、彼の中では1番の出来。 第2楽章冒頭のホルンなんかあんまり引っ張らないが、慌てなくたって見せ場はいくらでもあらあなって感じ。 この辺りまではなんか神懸かってて、星4つ級の演奏なのだが、第3楽章で地上に降りてしまう。 もたついている。 第4楽章は、テンシュテットらしいセレナーデにならないナハトムジーク。 これはこれで悪くない。 問題は最終楽章で、今までで一番長いのだが、その分弛緩してしまった。 最後で辻褄は合わせてあるが、明らかに失敗である。 でも、テンシュテットの7番で最高なのは間違いないです。 星は3つあげません。

総合評価:  ★★☆

ティルソン・トーマスの演奏

レーベル:  RCA: 09026-63510-2
演奏家:   Michael Tilson Thomas / London SO
日時・場所: November 11-13, 1997,
Walthamstow Assembly Hall, London
演奏時間:  total 81:01 ( 21:41 / 16:25 / 10:29 / 14:07 / 18:11 )
録音評:

非常にクリアで見晴らしの良い優秀録音。 残響も程よく、ノイズもない。

演奏評:

 MTTのマーラーはどれも独特だが、7番も例外ではなく、この古い方の録音も、なかなか聴かせる好演である。 テンポは標準くらいかなと思うが、出てくる音楽は、この曲としては異例なくらい叙情的。 特に第1楽章はセンチメンタルとさえ感じる。 第4楽章も途中でテンポを落としてたっぷり歌うなど独特である。 全体に、清々しい感じさえあり、グロテスクさ、不気味さがあまりないのはむしろ異端だが、こういう演奏もありかなと思う。 ただ惜しむらくは、最終楽章がやや淡白で凡庸。 大甘かも知れないが、割と好きな演奏なので★二つ半。

総合評価:  ★★☆
レーベル:  SAN FRANCISCO SYMPHONY: 821936-0009-2 SACD/CD
演奏家:   Michael Tilson Thomas / San Francisco SO
日時・場所: March 9-12, 2005,
Davies Symphony Hall, San Francisco
演奏時間:  total 78:11 ( 20:41 / 15:32 / 10:03 / 13:30 / 18:06 )
録音評:

 SACDとのハイブリッド。 CDで聴いた印象だが旧録音と互角というところ。 やや残響は強めか。 但し、iMacからiPodに移して聞いたところ、超高域で微かにピーっという発信音のようなノイズが聞こえる。 聞こえない人、気にしない人も多いだろうが、中には気になる人があるかもしれない。 通常システムでは聞こえないように思うが・・・

演奏評:

 上記の7年ちょっとあとの演奏。 基本的には同じ解釈上にあるが、細部にわたってブラッシュアップされているというか、全体で演奏時間が3分近く短くなっている。 旧録音に比べると、よりマメにテンポを揺さぶっており、音響的にはより陰影が強く闇を感じさせる仕上がりとなっている。 7番としては明らかに旧録音の上を行く演奏だが、あの叙情性は無くなっている。 ソリストの出来は、新録音の方が更に良く、第2楽章や第4楽章のホルンは絶品と言える。 しかし、最終楽章に関しては、幾分メリハリが強くなってはいるものの、旧録音と同じ欠点がある。 こっちは少々厳しいかと思う★二つ半。

総合評価:  ★★☆
レーベル:  Antec: AM2439 CD-R
                    DIRIGENT: DIR-1428 CD-R
演奏家:   Michael Tilson Thomas / San Francisco SO
日時・場所: September 2, 2007, Royal Albert Hall, London
演奏時間:  total 78:12 ( 20:48 / 16:04 / 10:12 / 13:52 / 17:16 )
録音評:

 最近の録音にしては解像度がイマイチ。 やや低音がかぶり気味。 目立った録音上のトラブルはなく、観賞用としてはまずまず。

演奏評:

 上記の2年ちょっとあとの演奏。 同じメンバーによる演奏で、演奏時間もほぼ同等だが、聴いてみてずいぶん印象が違う。 えらく熱い演奏になっている。 第1楽章からずっと最終楽章までテンポ変更をここまで個性的に際立たせている演奏は極めて稀だと思う。 闇の深さはないが、ノリの良さは凄い。 そのためか、楽章が終わるごとに、つい客席から拍手が出てしまう。 最終楽章の演奏時間はより短くなっているが、速度的メリハリが際立っており、これは満足のいくできばえである。 これも星二つ半。

総合評価:  ★★☆
レーベル:  DIRIGENT: DIR-1767 CD-R
演奏家:   Michael Tilson Thomas / San Francisco SO
日時・場所: March 9, 2005, San Francisco
演奏時間:  total 77:40 ( 20:41 / 15:39 / 10:07 / 13:30 / 17:43 )
録音評:

 SAN FRANCISCO SYMPHONYシリーズ盤と同じピーというノイズが入る。 全体としてみると残響適度で解像度が異常なほど高く音が実に良い。 優秀録音である。

演奏評:

 SAN FRANCISCO SYMPHONYシリーズで使われている4日間の演奏のうち、最初の日のライブ盤である。 当然、解釈はほぼ同じはずだが、聞いてみた印象は微妙に違う。 全体として見た時、こっちの方がよりアゴギーグが強いように感じる。4日間を編集したものよりも最終楽章はこっちの方が上か。 星は3つあげたい感じはするが自重する。 

総合評価:  ★★☆

ワールトの演奏

レーベル:  RCA: 74321276082
演奏家:   Edo de Waart / Netherlands RPO
日時・場所: October 8, 1994, Concertgebouw, Amsterdam
演奏時間:  total 78:49 ( 22:20 / 16:09 / 10:06 / 12:50 / 17:24 )
録音評:

 ノイズもなく、残響もほどほど。 妙な癖もなく聴きやすい録音である。

演奏評:

 特にマイナス要素はない。 テンポもそこそこ動かすし、演奏上のミスもない。 楽器の音もそこそこきれいだし、演奏そのものが醒めているわけでもない。 しかし、この演奏はここが良いんだというところがない。  楽器の音色は悪くはないが、惚れ惚れする音というのも聞こえてこない。 解釈も手堅いし、聴かせどころのツボもはずしてはいないのだが、おっと思わせるような独創性がない。 優等生的というのではないが、厳しい言い方をすれば、没個性的で新鮮さがない。 しかし、悪い演奏とも言えないので★は2つ。

総合評価:  ★★

若杉弘の演奏

レーベル:  fontec: FOCD9024/5
演奏家:   Hiroshi Wakasugi / Tokyo Metropolitan SO
日時・場所: June 7, 1989, Suntory Hall, Tokyo
演奏時間:  total 79:04 ( 21:35 / 14:38 / 10:22 / 13:27 / 18:44 )
録音評:

 可もなく不可もなしといったところ。 あまり、ダイナミックレンジを大きくとっていない。

演奏評:

 若杉/都響の9番と共通する特徴だが、なんか淡白である。 これは、9番では致命的だが7番は楽曲の性質上、第1、第2楽章は聴けなくもない。 しかし、後半の3つの楽章では、何か物足りないのである。 各楽器の技術水準は何とか合格点だが、これと言って魅力的な音を出しているセクションもなく、凡庸。 ただ一つだけ、最終楽章の、それもフィナーレ近くで金属の板を叩いているのだが、これが通常の演奏で聴かれる音よりも2オクターブは高い音で、やたらカラカラ鳴るものだから、妙ににぎやかになり、それまでの地味さを期せずして払拭することになっている。 本来ならマイナスポイントになるような異様な音だが、この演奏の中では光っている。 ぎりぎり妥協して、星2つ。

総合評価:  ★★

ツェンダーの演奏

レーベル:  CPO: 999 478-2
演奏家:   Hans Zender / Saarbruken Radio SO
日時・場所: January 8-11, 1982,
Saarbrucken Radio Congress Hall, Saarbrucken
演奏時間:  total 78:40 ( 21:58 / 14:47 / 10:40 / 12:54 / 18:18 )
録音評:

 テープヒスはあるが、それほど目立たず、クリアで解像度の良い音になっている。 残響も適度である。

演奏評:

 凸凹が激しいというか、評価に悩む演奏である。 テンポ設定等は割と普通で、凄いというほどのところはないが、手堅くまとめている感じ。 問題は、オケそのものである。 弦楽器群はそこそこだと思うが、ブラスセクションはかなり弱い。 唯一ホルンのトップは巧いが、2番奏者との技術差がはっきりあり、第2楽章冒頭の掛け合いでは、その差がはっきり分かってしまう。 しかし、ホルンはまだ良い方で、トランペットは、はっきり力不足と言わざるを得ない。 なんか、へなっとした吹き方が耳につく。 ところが、木管楽器群は素晴らしい。 とくにオーボエのトップは、なんで地方の放送交響楽団なんかにくすぶっているんだろうと思うくらい良い音を出している。 このような状況下で、楽章ごとの出来不出来が激しい。 2つのナハトムジークは素晴らしく、とくにブラスがホルンのみの第4楽章はトップクラスの名演。 ナハトムジークだけだったら星3つものである。 しかし、トランペットが登場するところは片っ端からぶち壊し。 最終楽章は、ブラスの実力に指揮者が妥協しているような気がする。 全体を通してみると★2つレベルとなるが、とにかくナハトムジークは聴いてみる価値がある。

総合評価:  ★★

ジンマンの演奏

レーベル:  RCA: 88697 50650 2 Hybrid
演奏家:   David Zinman / Zurich Tonhalle O
日時・場所: September 22-25, 2008, Tonhalle, Zurich, Switzerland
演奏時間:  total 78:32 ( 22:01 / 15:50 / 10:12 / 12:22 / 18:07 )
録音評:

 クリアで残響もほどほど。 ノイズもなし。 優秀録音。

演奏評:

 第1楽章冒頭は標準的なテンポながら、弦の刻み方が独特である。 テナーチューバがホルンっぽくて良い音。 全体にテンポはあまり揺さぶらず流れに逆らわないが、音がきれいで流麗。 第2楽章冒頭のホルンの掛け合いはちゃんと舞台の裏と表でやっている。 軽快なテンポで進み中間部は繊細。 ソロ楽器の音色がすばらしい。 第3楽章冒頭は遅く、すぐにアッチェルランドして普通の速度になる。 弦の動きが正しくネチッコイ。 中間部のリズム処理はルイジのやり方に近く良い感じ。 第4楽章は速めだが、音が非常にきれい。 ホルンとオーボエ、それに弦の音色もすばらしい。 セレナーデではない感じだが極めて魅力的で、ここだけなら星3つ級。 最終楽章は標準的なテンポで進み、あまりアゴギーグは強くない。 悪辣さ、毒々しさがないのが特徴。終り近くなってテンポを少し下げ、音響的厚みを強調する。 例の「重爆撃機の飛行」も満足な出来映え。 全体として割とストレートな演奏で毒がないが、ここまできれいだと、それはそれで立派。 やや甘いが星2つ半。

総合評価:  ★★☆

 

室内楽版

タッシェン・フィルハーモニーの演奏

レーベル:  SONY MUSIC: ETP004
演奏家:   Peter Stangel / Taschen PO
日時・場所: 
演奏時間:  total 73:48 ( 19:39 / 14:41 / 10:12 / 12:38 / 16:38 )
録音評:

クリアで解像度もまずまず。 ノイズなく残響もほどほど。 聞いていて不満はない。

演奏評:

世界最小のオーケストラで大交響曲をというコンセプトで演奏活動している団体らしい。この編曲も、この楽団のためのオリジナル。 実際には19人の奏者による演奏とのことで、シェーンベルク編曲の大地の歌くらいのレベルの出来ではある。 演奏であるが、弦楽器の音色は素晴らしい。 各管楽器も達者なものだが、トランペットだけがミスを繰り返す。 どうしたの?というほど。 しかし、総じて演奏のレベルは高いと思う。 解釈も結構ユニークである。 室内楽だからということではなくて、これはこの指揮者の解釈なのだろう。 割と説得力がある。 最終楽章、大丈夫かと思って聴き始めたが、小編成でも良くこの楽章の雰囲気を再現できている。 私がいつもこだわる「重爆撃機の飛行」の部分も見事に合格。 だが、この直後に数小節謎のカットがあって音楽が分断される。 全くもって理由がわからない。 極めて残念である。 このカットの件とトランペットの不出来がなかったら、星2つ半か3つか迷うところである。 しかし、カットは重く見て星2つが妥当なのだろうと思う。 でも・・・ こういう演奏をやろうという心意気は大好きなのでちょっとおまけして、星は2つ半

総合評価:  ★★☆

 

ピアノ連弾版(Alfredo Casella 編)

ゼンカー&トレンクナーの演奏

レーベル:  DG: DMG3300837-2
演奏家:   Silvia Zenker(Pf), Evelinde Trenkner(Pf)
日時・場所: January 20-23, 1992,
演奏時間:  total 77:27 ( 20:35 / 16:06 / 9:11 / 13:28 / 17:31 )
録音評:

ピアノの音が幾分混濁気味となることがある。 ひどいというほどでないが惜しい。 残響等はほどほどでまずまずの録音である。 ただ、2台のピアノを向かい合わせて、オンマイクで録ったのだと思うが、できればステージ上に離して配置して掛け合いの妙が分かりやすくして欲しかった。

演奏評:

 これも、まあゲテモノの類いと言えなくはない。 私は大抵、この種の編曲の点は辛いが、これはまあ健闘していると思う。 わりと素直にオーケストラ原曲をピアノに移している。 演奏の技術水準はかろうじて合格というところ。 ミスタッチが皆無ではないが、音楽をダメにするほどの事故はない。 ピアノに移すことで、曲の構造がより分かりやすくなるところがあるのは確かである。 ただし、少々楽譜に忠実すぎるのではないか。 巧いピアニストなら、むしろもっとピアノ独特の表現法を見せるための変更や遊びをやるだろうし、その方がより面白いのではないかと思う。 編曲の出来は第1楽章が一番良いように思う。 さすがに最終楽章は音響的に苦しい。 ともあれ、★2つはあげられる。

総合評価:  ★★

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