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jinson さん作 TDA1543球バッファ改(LED電源版)の製作

 jinsonさんが、球バッファを使ったDAC基板をリニューアルして頒布されました。 以前、その存在を聞いたときには、B電源が高いものと思い込んでいて、スルーしていたのですが、最近B電圧がせいぜい10数ボルトと低い値で駆動していることを知り、俄然興味がわいてきてました。 で、頒布が決まるとすぐ申し込みました。 以下製作記です。

 頒布していただいた基板がこれ。 その他、付属品として基板用の真空管ソケット、74VHC74が2個、チップのセラミックコンデンサ、電源回路用のLED、フィルタ用のコイル、ヒーター用の三端子レギュレータと放熱器が送られてきました。 これだけのものが付属してると部品集めがだいぶ楽です。

頒布基板   頒布された基板

 届いた基板を見て最初の感想は、「ちっ、ちっちゃい!」。 何となく想定していたイメージより2まわりくらい小ぶりです。 aeolusの基板を手にした時と同種の驚きと感動がありますね。 でも、おかげでいくつかの部品の使用はあきらめることにしました。 で、取り敢えず作ってみた基板がこれ。

取り敢えず基板   取り敢えず組み上げた基板

 まずは、無事に鳴らしてみたいので、大型部品を無理矢理載っけることは止めにしました。 抵抗はサイズの関係で全てREYの1/2Wとし、値も部品表のものをそのまま使用。 DACの電源電圧を5Vとする標準仕様で組むことにします。 球は6780系と6DJ8系の両方を試したいので、ジャンパは固定せず切り替えられるようにしておきます。 入力部のRS422チップは高速CMOSタイプを使いたいので、いつものように入力部の直流カット用のコンデンサは省きます。 DAIは死蔵品になりかかってたDIPのCS8412を使うことにします。 PLL用のコンデンサはASCのX363。スペースの関係で立てて使いました。 コイルとLED、それにヒーター用の三端子レギュレーターは付属品をそのまま使いました。 LPFのフィルムコンデンサは最近お気に入りの黒いPPSを採用。 電源部のケミコンは手持ちのOSコンを使いましたが470uFは手持ちが無く、PTコンを使っています。 0.1uFのフィルムコンは、ポリプロかPPSを使いたいところですが、用意していたパナソニックのポリプロはサイズ的にでかすぎて使えず、EROの1813を立てて使うことにしました。 電源用の石ですが、定電流用はゲルマニウム石に是非したいので、2SA234。 出力段は沢山持ってるのと、Pcが1Wもあるんで安心感があるという理由で2SC1383にしました。

基板裏   基板裏側

 グリッドの直前に入っている100Ωですが、1/2Wだと厚みがありすぎて、基板用の真空管ソケットの下にうまく収まりません。 そこで、これは基板の裏側に取り付けることにしました。 また、カップリングコンデンサはフィルムにしたかったので、1813の4.7uFを基板裏側に取り付けます。

 さて、取り敢えず無事に鳴らすのが当初目標なので、ケースに基板をかっこ良く納めるというのは後にして、でもバラックだと事故が起きやすいので、仮組みのケースを考えました。 当初、汎用のアルミケースを使い、電源部はケース内、基板はケース外の上面にマウントする方式を考えていましたが、秋葉を歩いてたら、投げ売りで謎のケースを売ってたのでこれを使ってみることにしました。

ベース用の箱   ベース用の箱

 どうやらハードディスクを入れて使うものらしいんですが、入出力端子用の穴が全くあいてない。 作りかけで放棄したんでしょうか。 中に入ってる緩衝材と取り付け金具は取り去って外側だけ使います。

 電源は直流12〜14Vを用意する必要があります。 アダプターを使うんじゃなくて、ちゃんとトランスを使ったやつを作ることにするので、まずはトランスの調達。 ちょうどいい電圧のやつの手持ちが無かったので、RSに発注しようとサイトを覗いたら、RSオリジナルのトロイダルトランスが発売されてます。 いつものチェコ製のやつの半分以下の値段なので、使ってみることにしました。

RSのトランス   RSオリジナルのトロイダルトランス

 で、届いたのがこれ。 どうみても、チェコ製のトランスと同じ工場で作ってるようです。 一次側が115Vなのも同じ。 ただ、一つ問題がありました。 取り付け金具が付属していないんです。 仕方ないので、結束バンドで固定することにしました。
 先ほどのケースに電源部を組み込んだのがこれ。

電源部   電源部

 いつもの安井式電源フィルターを通し、トロイダルトランスのあと電源基板が続きます。 SBDのブリッジ整流後、D式もどきの平滑回路にしました。

 あとは、蓋をしめて基板をマウントして出来上がり。 取り敢えずの完成像がこちら。

全体像前   全体像(前から)

 前面パネルにはパワースイッチのみ配しました。 基板むき出しなのでパイロットランプなんかいらんだろーと省略。

全体像後   全体像(後から)

 後面パネルには入出力端子と電源関係を配置。 ケースにもともとあった隙間を利用して入出力のケーブルを通しています。

 さて、これでいよいよ音出し・・・ と思ったら、うんともすんとも言いません。 また、やってもうたか・・・
 最初に考えたのが、ハンダゴテあてすぎて、表面実装部品:VHC74を焼いちまったかと。 表面実装用にW数の低いハンダゴテを買ってきてストックのVHC74と交換しましたが、やっぱりダメ。 それ以外にも思いついたところはやり直し、各部の電圧チェックしてみましたが。 どうもリクロック回路の動きがおかしい。 で、3回目の付け直しをやって、ハンダ付けを一々導通チェッカーで調べて、不良箇所を修正しスイッチオン。 やっぱりだめ。
 もう一度各部の電圧チェックしてて気がつきました。 何故か、クロックラインがVcと同じ電圧になっている! 再び、VHC74と、その周辺部品をはずして導通チェッカーで調べてみたら、なんとクロックラインとVHC74の電源ラインがどこかで短絡しています。 でも、見たところ、ハンダが乗っかって短絡してるらしい場所はないんですよねぇ。

  VHC74周辺   VHC74周辺の部品を取り去ったところ

 流石にランドも痛んできて、左右どちらのVHC74も8番ピンのランドが取れちゃいましたが、幸いこのピンは使ってません。 で、じっとパターンを見てたら、右側:RS422チップのリクロックを担当してる側の3番ピンと電源ラインがかなり近接してるんですね。 ここが、どうも怪しいと思って、カッターで間に浅く切れ目を入れてみました。 ビンゴです。 電源ラインとクロックラインの短絡は解除され、導通の異常はなくなりました。 ただ、ここまでで、VHC74のストックがなくなっちゃったので、秋葉へ買い出しまでお預けです。

 で、あらたに付け直したのですが、やっぱりダメ。 結局、正攻法でいくのはあきらめて問題のリクロック部分を別基板で作り直すことにしました。 変換基板を使ってなんとかしようと思ったのですが、VHC74を使うと変換基板2枚になり、実装上の問題をクリアするのが大変です。 そこで、AQUAでやってたみたいにバスバッファを使ってワンチップで必要数のリクロック処理をすることにしました。 手持ちにVHC574という手頃なICがあったので、これを使うことにしました。 残念ながら、20ピン用の変換基板の手持ちが無かったので28ピン用のを切って使います。 で、こんな風になります。

VHC574基板   VHC574を載せた変換基板

 で、この小基板を球バッファ基板の裏にボルト固定。 ネジが変なところを導通させないよう絶縁用のスペーサーはちゃんとかませてあります。 電源とアースとクロックを各端子につなぎ、OE端子をアースに。リクロックをかける信号ライン3つのインとアウトを配線します。

VHC574基板付き   変換基板取り付け後の基板裏

 表側はこんな具合

リクロック部なれのはて   リクロック部表側

 これで、おそるおそる通電。 何か良さそう。 で、音が出てきました、今度こそ成功です。 しばらく聞いてますが、人の声が良いですねえ。 ほっとしましたが、ここがスタート。 取り敢えず球の聞き比べはやろうとおもいますが、まずはヒーターエージングです。 

 ところで、ヒーターエージング中に同時並行で試したことがあります。 龍一さんがブログで球バッファに関連して、盛んにPPSコンデンサを誉めていらっしゃいますが、出力カップリングコンデンサにPPSコンをパラるとすごいと言う記事に触発されまして、大容量のPPSコン作っちゃおうと考えました。 以前に面実装タイプの大容量セラミックコンデンサで「壁」を作った方法を応用できるんじゃないかと。 で、調べてみたら、Digi-Keyで低ESRの面実装タイプのPPSコンで1.0μFのを売ってます。 お値段もそんなに高くはありません。 そこで、取り寄せてみたのがこれ。

1uFのppsコン   1.0μFのPPSコン

 これを壁のときの要領でパラレルにつないでリード線を付けました。

パラのppsコン   パラのPPSコン

右から5μF、10μF、20μF(になっている予定)です。 球バッファ基板裏のカップリングコンデンサを外し、代わりにIC用のソケットを付けて、EROの1813の4.7μFと聞き比べました。

ppsコン付き球バッファ   パラPPSコンをカップリングコンデンサに

これは・・・凄いです。 高域の抜けが素晴らしく、残響がとても自然。 これに比べると1813でも寸詰まりなのが判ります。当初、5μFと10μFだけ作ってたのですが、10μFでも少しエージングすると低音がかぶりすぎること無く、自然に低域のレンジが広がり、それでいて高域もスムーズに伸びます。 で、作るのは面倒だけど念のため20μFも作ってみたら、これは別格に良いです。 後戻り出来なくなってしまいました。 手持ちのDACのカップリングコン全部これに変えちゃおうかしらと思ってます。

 さて、球のヒーターエージングが進んだので聞き比べをやろうと思います。 用意した球はこれ・・・

ppsコン付き球バッファ   比較用に用意した球

 左からGE製5670、RAYTHEON製5670、WE製396A、ロシア球の6N3P-E、6N3P-EV、ロシア製EHブランドの6922、そしてロシア球の6N6Pです。 それぞれ、ヒーターエージングを10時間ずつ。 REYTHEONは時間がかかると聞いたので20時間エージングした後試聴です。

 まずは、GE製5670を聴いて、これをレファレンスにします。 今回は試聴ソースをCDプレーヤーではなく、PCのiTune出力とします。 別ページでも紹介しましたが、PCのUSB出力をhiFace evoでSP/DIFフォーマットに変換してDAC入力とした場合、十分に質の高いソースとなることが確認出来たので、同じものを繰り返す都合上操作性のよいPCソースを使うことにしました。 と言っても、使う音源はCDをリッピングしたもので、おなじみのワルツ・フォー・デイビー、カンターテ・ドミノ、ムソルグスキー歌曲集、コントラバスマリンバ、それに、今回は新しくオルガン伴奏版告別(大地の歌第6楽章)を使います。

 まずはGE製の5670を差して試聴。 ワルツ・フォー・デイビー、ムソルグスキー、告別、マリンバ、カンターテ・ドミノの順に聴いていきます。 好きな音です。 いつも聴いてたDACに比べれば、周波数帯域的な伸びは今ひとつですが、人の声が素晴らしい。 ただ、やや低音がかぶり気味で、低音部の解像度がイマイチかなと、この段階で思いました。
 次にRAYTHEON製の5670、ワルツ・フォー/デイビーの冒頭からいきなり差が判ります。 全体に解像度が上がり、ピアノの音が生き生きしてきます。 ただ、低音が出てないと感じるくらいタイトになってきます。 その後、歌曲等を聴くと歌手の息づかいが良くわかる。 ただ、ちょっとストイックな感じ。
 続いていよいよ憧れのWE球396A。 これは凄い。 解像度はもちろん、帯域バランスが素晴らしく、音が生き生きしています。 人の声の余韻の響き方が実に良い。
 さて、今回は評判のロシア球をいくつか試すことにします。 まずは、5670互換の6N3P-E。 これは、6N3Pのローノイズタイプらしい。 396Aの後に聞いちゃうと、やっぱり差はあります。 解像度が落ちますね。 でも、割と好きな音です。 音質は好み。 更に、6N6P-EVを聴きます。 これは、Eの軍用高信頼管らしい。 確かに作りが一段としっかりしているようです。  音は同傾向ですが、解像度が上がり、声の響きが素敵になります。 これはCP高い。 十分396Aの対抗馬になり得ますね。
 さて、ここでジャンパを差し替えて、6DJ8系の球を聴きます。 まずロシア製EHブランドの6922。 これ秋葉で割と簡単に手に入る供給状態の良い球です。 聴いてみると、悪くはないです。 何故か音の傾向は6N3Pに似ていると思います。 ただ、6N3Pに比べると響きが硬い感じがします。 値段を考えたら6N3Pの方がお勧め。
 最後に、6922互換という振れ込みだったので6N6Pを試してみました。 ただ、この球は他の球に比べてかなりでかい。5670の3倍くらい背丈があります。 試したもののこれは、球バッファにそのまま差して使う訳にはいきませんでした。 ヒーターがかなり大喰らいなので、電源回路の供給能力を越えるようで、盛大にハムが出てしまいます。 ただ、ハムの向こうで聞こえている音は本来は済んだ魅力的な音のようです。 球自体の評判は良い様なので、いずれこの球でアンプを作ろうかなと思います。

 結局大本命の396Aか、6N6P-EVを使おうと思いますが、それは同時進行的に作っていた2号機、3号機との兼ね合いで決めようと思います。

 2号機のページにつづく?・・・


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