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jinson さん作 TDA1543 8パラエピローグの製作

 jinsonさんの最新作TDA1543 8パラエピローグの製作記です。

 久しぶりにjinsonさんがDACの新作を頒布されました。 今回はTDA1543の8パラという凄いやつ。 これは、作るしかないと頒布に申し込み、待つことしばし。 こんなセットが届きました。

頒布基板   頒布された基板と付属品

 早速組み立て開始。 まずは、表面実装部品との格闘ですが、今回はかなり悪戦苦闘を強いられてしまい、結局1号機はいまだ不調のままです。 ここにお見せするのは2号機、何とかこっちは完成しました。 で、取り敢えず完成したのがこの状態。

取り敢えず基板   取り敢えず組み上げた基板

 基板の頒布を申し込んだ段階では、当初は指定通り標準仕様で組んでみるつもりだったのですが、試作部隊の方達が、本リリース前から次々とチューンナップ情報を発信されるのでついあおられてしまいまして、いきなりチューンナップ仕様です。 ご覧のとおりケミコンレスのハイスピードバージョン。 私は自作のRS422伝送ケーブルを使ってますので、入力部はコンデンサもパルストランスも介さないインピーダンス75Ωの直受けです。 パスコンは10uFの大容量セラミックコンデンサです。

ループフィルタ付近   ループフィルタ付近

 ループフィルタ用の抵抗はDaleのRN65、コンデンサはASCのX363で、大容量のOSコンが指定されているところはprostさんお薦めのRCフィルタ。 これもコンデンサはASCのX363で抵抗はシンコータンタルを使っています。

LED電源デジタル側   LED電源デジタル側

 LED電源の抵抗はDaleの巻線抵抗RS-2B、値は取り敢えず指定通りにしました。 デジタル側のパワー石は「神の石」2SC1013をこんな風に宙吊りで取り付け、ドライバ石にはゲルマニウムトランジスタの2SB405を起用してみました。 B405は店で購入した時に付いていた変な形の放熱器をそのまま付けてあります。

LED電源アナログ側   LED電源アナログ側

 アナログ側も抵抗とドライバ石は同じです。 ここに大容量のケミコンが乗っかるところですが、どうせ外付けの整流回路を用意するので、ここのところはフィルムコン、ERO MKT1818です。 ダンピング抵抗はKOAの1/4Wです。 1/2Wを使いたかったのですがサイズが合わず断念しました。 各DAC石へ給電する出力石はいろいろ試せるようにソケット式にしておきます。 ここに付ける100Ωの抵抗はもともと基板裏に付けるよう指定されています。 ここで素直にソリストの1Wあたりを使っておけば良かったのですが・・

基板裏側   基板裏側

 ご覧のようにソリストではなく、DENON製と言う金皮を使ってみました。 店先で見つけて作りが良い感じだったので・・・ ところがこいつ、表面の塗装が剥げやすくて、気がつかないうちに絶縁不良の箇所が出来てしまっており、アナログ側の電源が謎の低電圧を生じるはめに。 原因が分かるまでえらい苦労しました。 気がついて、基板にくっついていた抵抗を起こして基板から離したら無事正常動作。 また、各DACの給電のところに付けるコンデンサですが、思うところがあって裏側に取り付けました。 WIMAの0.1uF100Vのやつです。

出力部   出力部

 Vref用の抵抗はDaleの巻線抵抗RS-2Bの390Ω。 終端抵抗はKEYのハーメチックシールの金皮11KΩ。 LPFのコンデンサはEROの1813です。 カップリングコンデンサも今回はEROの1813。 手持ちのだいぶ時代のある63V耐圧のやつを使います。 IV変換用の抵抗は幾つかの候補を試してみたいので、いつものミノムシクリップを付けておきます。 基板への給電ですが、あらかじめがっちり安定化したものよりさらっと整流しただけのものを使った方が良いような気がしました。 最近、出川式もどきを多用していますが、それなりの容量がないと効果が出にくいとのことです。 今回はケミコンレスでいきたいので、SBDブリッジで整流し、残りわずかな壁の在庫でさらっと平滑しただけのものをデジタル用の9Vとアナログ用の12Vの2つを用意しました。

電源基板   電源基板

 また、クロックは絶対に別電源として基板も分けた方が良いと思い、用意したのがこれ。

クロック基板   クロック基板

 さて、I/V変換抵抗ですが、このなのを候補として用意してみました。
I/V変換抵抗   I/V変換抵抗候補

 左からソリストの3W、KEYのハーメチックシールの金皮3W、スケルトン、DaleのNS-2B、NS-5、Ohmiteの巻線5Wです。 これをミノムシクリップで繋いで、試聴してみました。 ソースはいつものワルツフォーデイビーとカンターテドミノ。 
 まずは基準用にソリストを試聴。 どうしてどうして、侮れない良い音です。 嫌な癖はないし、低音もそこそこ出ている。 
 次にKEYのハーメチックシール。 これに変えると、明らかに情報量が増える感じ。 音場が広がります。 ただ、やや高音よりな感じもする。
 3つめは、K式御用達のスケルトン。 これは、ちょっと独特の癖があります。 情報量はむしろ少し減るように思いますが、いらないものを削いでエッセンスを強調する感じ。 リアリティーはある。 この辺はかなり好みの問題です。 私は嫌いではありません。
 このあとは巻線抵抗3つ。 一番手はDaleの無誘導の3W:NS-2B。 なんで、いつもの誘導巻のRS-2Bでないのかというと、単にNS-2Bの方は手持ちがあったから。 やはり、私は巻線の音が好きです。 KEYに較べると幾分情報量は減るかも知れません。 中低音の張り出しがないので低音の量感も減ったように感じますが、よく聴くとちゃんと出てはいます。
 次に5WのNS-5。 これ、まえから使ってみたかったのですが、図体がでかいので、なかなかためせずにいたものです。 NS-2Bより明らかに良いです。 音に余裕があるというか、大物という感じがする。 音場もずっと広い。 低音は思った程目立ちません。 でもこれは、エージングを進めると徐々に出てくると踏みました。
 最後に私の大好きなOhmiteの5W、これだけ330Ωが手に入らず、300Ωを使ってみます。 でも、やっぱりこれは良い! 音が群を抜いて透明になります。 音場も素晴らしい。 どれを使うかですが、OhmiteかNS-5で決まり。 取り敢えず、まずはOhmiteを使い、1号機の方にNS-5は廻すことにします。

 で、取り敢えず、基板にOhmiteを固定し全体を組み立てたのがこれ。

  とりあえずの完成図   とりあえずの完成図

 いつもの安井式電源フィルターを通した後、アナログ用、デジタル用、クロック基板用の3つのトランスを通してあります。 アナログ電源パワー段の石は松下のC2851を使ってみました。

 これで完成で文句ないレベルと思いますが、ちょっと考えていることがあって、もう少し手を加える予定です。



 さて、構想段階から考えていたことがあります。 電源回路へのゲルマニウムトランジスタの導入。 とりあえずドライバ段に2SB405を使ってみて、いい感じだとは思うのですが、アナログ用の出力石にゲルマが使えないかと考えてしまいました。 候補の石としては、一番耐圧の高そうな2SD72。数はなんとかあるけど、無理して壊したくない貴重品ではあります。 そう思ってたら、某若○通商で2SD72の相当品というのを売ってました。

 XD72   2SD72の代替品XD72

 何か本家より作りが雑な感じだし、メーカー名も何もなくて、どてっ腹にXD72と書いてあるのとコレクタマークが付いてるだけ。 メーカーどころか生産国も不明という怪しげなもの。 でもまあ使えんということもないでしょう。 ただし、168風ミニアンプで実験したときの経験で、きちんと放熱してやらなければおそらく大気圏突入したみたいになって昇天してしまうでしょう。 基板上の狭いスペースで放熱器をかぶせ、できればその熱をシャーシに逃がしたい。 そこで、こういうものを作ってみました。

 放熱棒   XD72用放熱棒

 昔懐かしいタイプの放熱器を金属製のスペーサーで連結してみました。 この両端を金具に留めてシャーシと連結しようと言う訳です。 そのための仕掛けがこれ。

 固定金具   放熱棒固定金具をシャーシに付けたところ

 でもって、C2851のかわりにXD72を差すとこんな具合。

 XD72を基板上に   XD72を基板上に差したところ

 更に、放熱器具を取り付けるとこうなります。

 放熱器具1   放熱器具を付けたところ1

 放熱器具2   放熱器具を付けたところ2

 ゲルマニウムトランジスタは、シリコントランジスタと較べると損失が小さいようで、電圧がだいぶ上がって8.4Vくらいになってしまうため、LEDを変更しました。 結局、7.5Vくらいにしています。 全体としてはこんな感じ。

 全景   XD72使用ヴァージョン全景

 でもって、メインシステムに繋いで試聴してみました。

    すごい!

 情報量が全然違います。 聴き慣れたワルツフォーデイビーから、聞き慣れない暗騒音のようなものまで聞こえてくる。 それに、音が瑞々しいんですね。 放熱の方もどうやら許容内で機能しているようで、何とか触れる程度まで熱くなるだけで済んでます。 これはもう後戻りできませんね・・・

 更にいろいろいじってみました。 まずはこれ。

 出川式もどき   出川式もどき整流回路

 整流回路を出川式もどきのものに替えてみました。 ただし、ご覧のように壁ではなくケミコンバージョンです。 デジタル用アナログ用それぞれメインのコンデンサが6600uF、補助コンデンサがその倍の容量となっています。 音の変化は一長一短で、腰が据わって音場の奥行きが広がる感じですが、独特の空気感は少し削がれる感じ。 しかし、安定感を買って、出川式もどきの方にしておきます。
 次いで、出力部の抵抗を更にいじってみました。 I/VはOhmiteにして成功したので終端抵抗とVrefもOhmiteに替えてしまいました。

 出力部   出力部の抵抗を全部Ohmiteに

 Vrefが400Ω、終端抵抗が11KΩとなっています。 これで聴いてみると、更に解像度が上がり音が瑞々しくなります。 しかも、線が細くならないところが良い。 写真はその先の状態です。 さらに、ちょっと試してみたくなって、I/V抵抗のところをミノムシクリップに変更してあります。 今まで巻線抵抗をいじって来た経験上、信号経路に巻線抵抗を使う場合、同じ抵抗値ならW数の大きいやつの方が音が良いようです。 これはDaleのNS-2BとNS-5の比較でもそうだったし、Ohmiteの3Wと5Wの比較でもそう思いました。 ところで、Ohmiteのエナメルコートの巻線抵抗のシリーズ、一番W数の大きいやつって5Wじゃないんですよねー。

 抵抗   Ohmiteの10Wの抵抗(下は比較用の5W)

 ご覧のように10Wのを手に入れてしまいました。 いくら何でもでかいです。 でも試してみたい。 で、ミノムシクリップを使った比較です。 5Wの方は300Ω、10Wの方は350Ωしか手に入らなかったので、厳密には同条件の比較とは言えませんが、予想通り10Wは良いですねえ。 後戻りはしたくない感じ。

 10W出力部   Ohmiteの10W使用の出力部

 で、10Wの方を無理矢理搭載してしまいました。 後戻りしたくないと言えば、電源部のゲルマニウムトランジスタも元に戻すなんて考えられないので、ソケットを止めて直にハンダ付けしてしまいました。

 さて、あと一つ。 やまださんからLEDの発するノイズ対策としてOSコンをLEDにパラるというアイデアを頂きました。 特にSPシリーズが良いとのこと。 ただし、100時間以上のエージングが必要というので待てない君の私としては大容量のセラミックコンデンサで代用してみることにしました。

 基板裏   基板裏でLEDにセラミックコンをパラる

 こんな風に、10uFのセラミックコンデンサを基板裏でLEDとパラにハンダ付けします。 この効果も雑味が減ってすっきりし、音場の奥行きが広がる方向。

 最終形   現時点での最終形

 以上の変更を加えて再度組み上げたらこんな感じです。 音は、今までの全DAC中最高! 1541エピの方もこの経験を生かして手を入れたら凄いことになりそう。
 ともあれ、これで完成でも良いかなあと思うのですが、もうちょっとだけいじるかも。


 で、やっぱりいじりました。 ノラさんから、定電流用の石を2SAのゲルマニウム石にしたら凄いという情報をいただきまして、やってみることに。 取り敢えずアナログ側の2SB405をはずしてソケットに戻しました。

 最終形   定電流トランジスタをソケット式に戻したところ


 試してみるために手に入れた石がこれ。

 2SA342Aと2SA358   2SA342A(左)と2SA358(右)

 左側の2SA342Aは一見するとシリコンのメタキャンに見えますが、松下製ゲルマの高周波用で、シールドにつながってる第4の足を持ってるタイプ。 fabは100MHz。 右側の2SA358は日立製のゲルマの高周波石で放熱用のしっぽが付いてるのがかわいい。 これは、fabが40MHz。 いずれも2SB405のfab=0.7MHzに較べると格段に優秀です。
 で、差し替えて聞き比べてみましたが、いずれも明らかに2SB405を凌ぎます。 よりクリアで瑞々しく音場が広がり、細部の描出力も向上する。 なかでも2SA342Aは良いです。 耐圧が許すところは全部これに替えたい感じ。


 また2つほど2SA石を試しました。 もともと持ってた2SA350と新たに入手した2SA234です。

 2SA350と2SA234   2SA350(左)と2SA234(右)

 ともに日立の石で2SA350のfabが40MHz、2SA234の方は120MHzです。 聴いてみたら、2SA350は2SB405よりは上だけれどそこそこという感じ。 でも、2SA234は期待通りというか2SA342Aの上をいきます。 どうやらこれできまりかな。

    つづく・・・?


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