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竹盆 (Lucyさん頒布PPP) の製作記

 長らく真空管アンプから離れていましたが、Lucyさんのサイトで5670というミニ真空管6本のアンプを見て、久しぶりに作ってみたくなりました。 ちょうどセカンド・ラン(第2回頒布)の募集をしていたので申し込み、めでたく受理。 球もレイセオンのビンテージものが頒布されることになり、ますますやる気が湧いてきます。 完成までを製作記でまとめることにします。

基板セット   頒布基板セット一式

 頒布された基板セット一式です。 基板のほか、基板用の真空管ソケット、B電源用のダイオード、リップルフィルター用のトランジスタとヒートシンク、パスコン用のビンテージものの電解コンデンサ、それにレイセオンの5670を6本セットにしてもらいました。


基板   基板

 Lucyさんが回路を設計し、jinsonさんがCADで作った基板です。 4ぱらえぴと同じ雰囲気のしっかりした基板です。 送ってもらったセットの他にCR類とトランス、それにケースを自分で用意しなければなりません。 抵抗類は、おすすめのDaleの抵抗をセットにしたものを秋葉原のナリタさんで入手できました。 電源回路の高耐圧のケミコンは昔ほど選択の幅が無くなってしまいましたが、秋葉原を歩いてみて、若○通商で安売りしていた日本ケミコン製のを使うことにしました。


トランス類    トランス類

 真空管アンプにおいて、決定的に重要なパーツは球を除くとトランスでしょう。 特に出力トランスはアンプの音を決めてしまいます。 電源トランスもうるさいことを言えばなかなか大変です。 出力トランスの方は3Wで十分なのに、高級品を投入するとなると10W級以上となり、それはそれでいい音がするとは思いますが何かなぁという感じ。 電源トランスは皆さんフェニックスのRコアトランスをお使いのようですが、出遅れたので自分で発注するとなると大変です。 それに、あとでヒーターの直流化とか試して遊ぶには、B電源とヒータートランスを分けておいた方が便利です。 で、出した結論がこれ。 秋葉原のトランス屋さんの自社ブランド製品です。 前の2つが出力トランスで5Wのプッシュブル用。 後ろの大きい方がB電源、小さい方がヒーター用です。 4個でも1万円札でおつりが来ます。 あとで買い直しても腹が立たない値段です。


  遅延リレー回路   遅延リレー基板

 真空管は今や貴重品ですから、大切に使いたい。 そのためには電源投入直後から高いB電圧をかけない方がよいというのでLucyさんはB電源にスタンバイスイッチを付けていらっしゃいます。 これはぜひ真似したいと思いますが、もしこのアンプで日常的に音楽を聴くとなったら、毎回時間をはかってスタンバイスイッチを使うのはズボラな私にはストレスです。 昔からちょっとお金をかけた真空管アンプはこの機能をタイマーリレーを使って実現していました。 今でも秋葉原を歩けばタイマーリレーは手に入りますが、1個数千円する高級パーツになってしまいボツ。 そこで、NE555というタイマーICを使って遅延リレー回路を組んでみました。 これは、いわゆる電子工作の基本回路の一つで、ネット上のあちこちのサイトに回路例があります。 通常はプッシュスイッチを押すと、ケミコンの充電時間だけリレーが動作した後、元に戻るというものですがプッシュスイッチの代わりに0.1μFのセラミックコンデンサをつなぎ、電源投入時に1回だけ動作するようにしました。 リレー動作中だけAC100VからB電源用のトランスへの給電が断たれるようにします。 使用するリレーによって、この回路の電源電圧が決まりますが、5V動作のリレーを使い、基板上にSBDと低ドロップ型の3端子レギュレータを使って電源を組んでしまいました。 ここへヒータートランスからAC6.3Vをお裾分けしてもらう算段です。 遅延リレー動作中だけLEDが点灯するようにします。


  正面   完成基板

 あと、カップリングコンデンサを何にするかですが、1点豪華主義も有り得るものの、トランスを廉価版にしたのに釣り合わない高級品はどうかと思います。 Lucyさんは錫箔巻きのフィルムをおすすめのようで、ネットで調べてみたら、solenの錫箔コンデンサがお手頃価格で手にはいるので、これにしました。 で、部品を全部基板に取り付けてみました。 電源用のケミコンが長細くて頼りないなと思ってましたが、基板に取り付けてみたら林立する煙突みたいで面白い風情です。


  竹の盆   竹のお盆

 さて、問題はケースです。 アルミシャーシをベースに普通につくればそれなりにはなるでしょうが、あまり面白味がありません。 むしろ、あまりみんながやらないようなものにしてみたい気がします。 ただし、DACと違って発熱を前提に放熱も考えておく必要があります。 Lucyさんのサイトに集まっている作例の多くはバラックか、金属の天板に真空管の数だけ丸穴を開けて、真空管のディスプレイと放熱を兼ねるというものです。 金属加工が嫌いなわけではありませんが、真空管用の丸穴を6個あけるとなると、私の手持ちの工具では手がマメだらけになることは必定です。 なにか、良いアイデアはないかと東急ハンズをうろついていたとき、たまたま目に付いたのがこれです。 日本のメーカーがデザインしてどこか東南アジアの国に発注した竹製のお盆です。 サイズといい質感といい気に入ったので、これをベースにして、この上にアンプをくみ上げることにしました。


  とりあえずのレイアウト   レイアウト
 とりあえず、お盆の上にレイアウトしてみました。 入出力端子やボリューム、スイッチなどをどう配置するか考えましたが、とりあえずこんな感じ。 PPPの基板はまるまる露出にしてしまいました。 トランス類を配置した部分には全体にカバーをかけようかとも思いましたが、ちょっと細工することにしてトランスも露出とします。


 このシャーシにちなみ、このアンプを「竹盆」と命名しました・・・・ってまんまだな。


 スタンバイ回路の動作テストも無事終了。 球を差してみました。 やっぱり球を差すとそれらしくなってきます。

球付き基板全景   球付き基板全景

5670Up   球のアップ


 ヒーターのエージングを24時間やって、いざ音だしをしてみると、動作は不安定でなんかボコボコ変なノイズが出るし、盛大にハムは出るしでへこみました。

 原因は、お恥ずかしいことに初歩的なミスでした。 まず、ついいつもの習慣で、入力部分のボリュームに10KΩのものを使ってしまっていましたが、これが動作不安定の原因でした。 もうひとつ、ヒーターの片側をアースに落とすのを忘れてました。 ボリュームを100KΩに変え、ヒーターの片側をちゃんとアースに落としてみると動作は安定しましたが、まだハムが残ります。 で、仕方なく入力部の配線を全て1芯シールドにしたら、ハムは消えました。
 出てきた音ですが、みなさんが感心するのがよくわかる。 いい音です。 中低音が小気味よく出てくるのに、音のたたずまいは良くてうるさくありません。 重低音や鋭く切れ込む音は厳しいですが、音楽を楽しむのには都合のいいバランスです。 ただ、コンデンサのせいなのか、エージング不足か、少し鮮度が不足する感じが有ります。 しばらく聞いてみて、エージングで十分良くならないなら、コンデンサをASCに変えてみようかと思います。 あと、ボリュームを上げていくと、12時のあたりからクリップすることが多いです。 私のスピーカーは能率90dBですが、これだと、どうしてもボリュームを12時まで上げたくなります。 で、このアンプ用に、能率95dBのユニットを買ってしまいました。


最終型全景

最終型前   最終型後

最終型アップ トランスの腹にはワニ皮風の帯を巻き、ケミコンは皮を剥いて竹筒風に..

 さて、最終型です。 トランスと電源回路のケミコンにちょっと細工してみました。 ハムに苦しんだりしたのは、こんなことして遊びすぎた祟りかなあとも思いますが、まあ、最終的にちゃんと鳴るようになったのだから、良いでしょう。



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