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ペルケさんの回路によるFET差動ラインアンプの製作

 藤原さんのディスクリートオペアンプを使ったラインアンプはメインシステムにしっかり組み込んでしまいましたが、電源も含めるとかなり大掛かりです。 本来、DACの出力をパワーアンプに受け渡しし、ゲインコントロールするという目的なので、できるだけシンプルに行きたいという思いはあったのですが、たまたま覗いたペルケさんのサイトにFET2石で作るラインアンプの記事があり、試しに作ってみることにしました。 この回路では、使用するFET(2SK170)と定電流ダイオード(CRD)の特性を揃えることが必要ですが、ペルケさんのサイトで特性を揃えたペアの有償頒布も行っていらっしゃるので、早速ステレオ2チャンネル分譲って頂きました。

アンプ基板   アンプ基板

 ペルケさんの構想としては手軽に安価にということのようですが、ディスクリートオペアンプとの比較をしたいので、使用部品は互角でなければなりません。 それでも部品数が少ないので財布には優しいアンプです。 基板1枚に2チャンネル分組んでしまうのも簡単ですが、あとでいじりやすいように、1枚に1チャンネル分組みました。 ケースに実装するときのことを考えて、入出力を一方の側に、電源を反対側に配置しました。 フィルムコンデンサは入力側が0.22μF、出力側は1μF。 中央の白いガムテープを巻いてあるのはデカップリングコンデンサで、ケミコンレスとしたかったので「壁」の小型版を作りました。47μFx9と、指定の470μFに少し届きませんが、このくらいは勘弁してもらいます。 抵抗類は、実は手持ちのものの使い回しが多く、買い足したのはスケルトン1組のみです。


整流回路   整流回路基板

 このアンプは電源として+19Vと-4Vが必要です。 電流はチャンネルあたり10mAもいらないのでペルケさんはACアダプターを使った簡易なものを紹介されています。 しかし、ここはもう少しこだわってみたい。 差動アンプはステレオで組んでもクロストーク上有利とのことですが、せっかくアンプ本体が左右別基板なので、電源も左右別に用意したい。 しかし、正負で電圧が違うのでトランスを1個でまかないにくくやっかいです。 で、電流容量が小さくていいこともあるし、基板実装用のものを使ってみることにしました。 正負それぞれをSBDで両波整流して「壁」で平滑します。


定電圧基板    青木式?定電圧基板

 ラインアンプなので整流したままというわけにはいかず、定電圧化してから給電しますが、どうやるか?。 ここのところ藤原式ディスクリート電源を多用していますし、構想段階ではこれを使おうとも考えましたが、何しろ大掛かりになるのが欠点です。 一方、AQUAで青木さんがお使いになっていたCRDとシャントレギュレーターを組み合わせた回路が非常に良い結果が出ているのではないかと思いました。 そこで、今回はこの回路を試させて頂くことにしました。 部品数が非常に少なくて済むので左右分を1枚の基板に組んであります。 抵抗類は手持ちのものを組み合わせて使っています。


全体   全体像

正面   正面像

 組み合わせてとりあえずケースに入れてみました。 ケースはデッドストックになっていたタカチのYM-300が丁度手頃だったのでこれを使いました。 いつもの安井式電源フィルターを経て、左右の整流基板に給電し、定電圧基板を経てアンプ基板に給電しています。 アンプ基板は信号経路の取り回しの関係で2段重ねにしました。 写真で見えている基板の下に同じものがもう1枚あります。 入力のゲインコントロールは、ディスクリートオペアンプの方と比べるのには抵抗切り替え式のアッテネーターを用意すべきところですが、さすがにそれはしんどいのでアルプス製のA型2連ボリュームを使います。 雑誌の製作記事などで時々見かけるシャフトを延長して信号経路を最短にするという方式を採用してみました。

 で、音ですが、困りました...

 予算数分の1で、しかも結構手抜き箇所があるにもかかわらず、いい音です。 ちょっと暴れ加減のところもありますが、解像度がすばらしく、エージングが進んだらすごいことになりそうです。 ゲイン調整抵抗の値がベストではないので、ボリュームが9時から10時と一番音質的に不利な位置で最適な音量になってしまいますが、それでも負けません。 これは、しばらくいじっていきたい感じです。

AQUAのチューニングで、CRDの代わりにローノイズのFETを使ったらかなりの効果がありました。 そこで、このアンプでもCRDを全部FETに置き換えてみました。
改良後の全体像   改造後の全体像(上から)
CRDの置換の他、ヒューズを取り付けました。

まず、定電圧基板です。
改良後の定電圧基板   改造後の定電圧基板
 ここのレギュレーターは青木さんがAQUAで投入されたものと同じですから、4個のCRDをすべて2SK170のBLランクのものと取り替えます。

 次に、アンプ基板そのものにもCRDが使われていますから、これを交換します。
改良後のアンプ基板   改造後のアンプ基板
 4mAのCRDの代わりですから、FETをたくさん買ってきてIdssを測定し、4mAのものを選別して使おうと思いました。 わりと簡単に手に入る安価なローノイズ型のFETとしては、2SK30ATMや2SK170が良さそうです。 どちらもGRランクならIdssが2.6〜6.0mAの範囲にあるのでここから選別します。 たまたま秋葉原の行きつけの店でGRランクを安く置いてあったので2SK30ATMを使うことにしました。 全部で20本買って、Idssが3.9〜4.1の範囲に入ったのは4本でした。 各チャンネル1本づつCRDの隣に並べてつなぎ直します。

で、試聴してみましたが、これはすごい! 音場が奥行き方向に倍以上広がり、個々の楽器の音の粒立ちが違います。 対費用効果を考えるとCRDのFETへの置換はやらない手はありません。

追記1
 ここのところ、DACをいじっていて、ポリカーボネートフィルムのコンデンサとKEYやMEPCOのハーメチックシールタイプの金属皮膜抵抗の音に魅せられてしまいました。 そこで、抵抗とコンデンサをこれに取り替えたヴァージョンを作ってみました。
新しいアンプ基板   新しいアンプ基板

今回は2チャンネル分を基板1枚に組んでしまいました。 前と聞き比べると、違いはあるのですが、どちらが上とも断じがたい。 今回の方が投資額は大きいので考えてしまいます。 とりあえず、しばらくは新しい基板の方で聞き込んでみるつもりですが、うーむ。

 さて、4ヶ月ほど、この状態で聴いてきて、結局なんか少しホコリっぽいというか、ごく薄い皮一枚むけてない感じがします。 そこで、もう一度いじりなおし。

3つめのアンプ基板   再度作り直したアンプ基板

俯瞰   前の基板と差し替えて

 最初に作った基板の部品を交換します。 抵抗類は25KΩまではOhmite、それ以上はKEYの白いやつ。 カップリングコンデンサはEROの1813を使います。 その他はもとのまま。

 で、試聴。 やっぱり、こっちの方がいいです。 音に瑞々しさが戻った感じ。 これで、このアンプは完成として良いんじゃないかと思います。

 ところが、しばらくしてラインアンプがかすかですがハムを拾っていることが判明しました。 ohmiteがわるいのか、配線のとりまわしなのか判然としませんが、だんだん気になって来たのと、WEのタンタル抵抗の音に惚れ込んでしまったこともあって、再度作り直して交換してみました。

俯瞰   WEタンタル抵抗ヴァージョン

 前回、ボツにしたMEPCOとポリカーボの基板を再度改造しました。 抵抗はすべてWEのタンタル抵抗に変え、入力のカップリングコンデンサを廃止。 もう1個のフィルムコンはジェンセンのを使ってみました。
幸い、ハムは消え、音の鮮度が更に上がり、余韻の部分のリアリティーが増したように思います。 今度こそ完成にしたいなあ。


 その後、ずっとこのアンプがメインラインアンプとなっていたのですが、aeolus をドライヴするのに久しぶりに藤原さんのディスクリートオペアンプ A6を使ったラインアンプを繋いでみて感じたのですが、可変抵抗器のクオリティーの差がある。 A6アンプの方は抵抗切替式なのでだいぶ有利です。 で、4ぱらエピ用に作ってあった抵抗切替式のアッテネーターを組み込んでみることにしました。

アッテネーター   抵抗式アッテネーター取り付け部分

 使用抵抗はDaleの巻線抵抗RS-2Bで12接点切替え。 インピーダンスは10KΩです。

 俯瞰   全景

 全体はこんな感じ。 音は、やっぱり鮮度が違います。 これで、解像度もA6アンプに水をあけられる感じはなくなりました。 取り敢えず蓋を閉めて完成とします。  



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