presented by づか since December 2004
6R-HR4を使ったミニワッターの製作
ことの発端となった球がこれです。
入手した6R-HR4
NEC製で片方の球は印字がかなりかすれてますが、ゲッターはしっかり残っているようだし、寿命が来るまではだいぶ時間的余裕がありそうです。
さて、まず、基本コンセプトとして、たまたまジャンク屋で見つけた球を鳴らそうということですから、無闇に高い部品を買い足さないようにしたい。そこで、ケースやトランスには凝らないこと。そうは言っても盛大にハムが乗りまくっているようだと聴くのが嫌になるので、電源のノイズ対策はそれなりに行うこととします。
公開されている回路図を見ますと、6BM8を使ったミニワッターの応用の様で初段は三極管部、終段は三結の五極管部の2段構成です。 電源トランスはミニワッター準拠で行こうと思いますが、手持ちの物を使いたいので海外電源用の降圧トランスを逆に使ってAC200Vを取り出します。ヒーターはヒータートランスを使うとなると、昔のように豊富な種類があるわけではなく、CP悪いです。そこで、jinsonさんが球バッファでやられたようにACアダプタから取り出したDCをレギュレーターで降圧して使うことにしました。
基本的には6BM8のミニワッターと同じ様に平ラグに回路を組み、左右の真空管のセンタータップを結んでアース母線を作ります。ヒーター回路をユニバーサル基板上に組むことにします。
ヒーター電源は秋月で売ってる9VのACアダプターを降圧して利用。B電源用のトランスは手持ちの中に東栄無線さんで売ってる1次が200V近傍、2次が100V近傍にいくつかタップのあるやつがあったので、これを使います。出力トランスは1次側が7KΩの小さいやつでいいので、手元にあった東栄無線さんのT-600を使いました。
平ラグがこれ。抵抗は利久とREYの混成部隊にワット数の大きいのは酸金。ケミコンは千石の地下で売ってる低ERS品。ダイオード類は6BM8用と同じもの。リップルフィルターはK3067を使いました。
平ラグ上の回路
次にヒーター回路ですが、秋月に行ったら出力電圧6.3Vという、まさにこの目的のために作られたようなレギュレーターがあったのでこれを使うことにしました。入力9V、出力6.3V x 2 となっています。
ヒーター回路
当初はコイルは載っていなかったのですが、無負荷で通電すると6.3V x 2がちゃんと出ているのに、球のヒーターにつなぐとほとんど0Vしか出ません。ヒーターの消費電流は0.5Aに達しないので9V1.5Aのレギュレーターなら十分と見たのですが。で、思い出したのがヒーターってスイッチ投入時に大電流が流れること。最近のレギュレーターは優秀で、ヒーターがあったまる前の大電流で保護回路が働いてしまうらしい。で、対策として出力部にコイルを入れてみたら、うまくいきました。
ケースは小型のアルミケースをそのまま無塗装で使うことにしました。各基板を取り付け、一通りの配線を終わったところを裏から見たところです。
ケースの裏側
ACコンセントがケース上面にあります。 ここにACアダプターを指して出力を内側に引き込み、ヒーター回路を駆動します。
球を挿した状態のアンプの前面です、あえてメカメカしさを残したテイストにしてみました。
前面
後ろ側はこんな具合。端子類は全て手持ちのものを使いました。
後面
完成後、特に調整箇所もないので、そのままパソコンの出力をつないで、iTuneで聴き始めました。
一発で音が出て、しばらく様子を見ていましたが、特に異常は起こりません。 想定していたことではありますが、音は小さいです。
パソコンのボリュームをMAXにして、アンプ側のボリュームを目一杯右に回しても、まだ音は小さ目。しかし、なんとか実用レベルです。
特筆すべきなのは、殆どまったくハムが聞こえない事。元のmini-watterの基本設計がいいのと、ヒーターを直流点火しているのも効いているのかなと思います。
音質は普通にいい音でチャンネルセパレーションも悪くありません。とりあえずデスクトップ用の小さなスピーカーに繋いでいるので低音は出ませんが、聞いていて気持ちいい音です。このアンプは一先ず成功ということにします。