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青木さん頒布 aeolus の製作記

 emeraude は今や私のメインシステムで活躍中ですが、私自身、入力部にオペアンプを使っていることがひっかかり、ここをディスクリート化する方法を構想したりしていました。 そこへ青木さんがみずから、発展形であるaeolusを構想され、このたび頒布を開始されましたので、早速分けて頂き、製作を開始しました。 例によって製作記を始めたいと思います。

 今回、青木さんが試みられたことはケミコンの追放と入力部をFETバッファとすること。 更に、平滑用にセラミックコンデンサを使うために電源電圧をぎりぎりまで下げることなどです。 これに伴い、出力は更に小さくなるとのことでやや心配ですが、私のメインシステムのスピーカーの能率は90dBあるので何とかなるだろうと踏みました。 パワーアンプからケミコンを追い出してみたいとは思っていたので、とても嬉しい企画です。 頒布して頂いた基板は、モノラル構成となっているので、ステレオは基板2枚で構成します。 ツインモノ構成にも出来る等、色々楽しめそうです。

 aeolus生基板   頒布して頂いたaeolusの基板(1ch分) 

 さて、使用する部品ですが、パワーアンプ本体のLM3886はもちろんそのままです。 セラミックコンデンサもある意味主役ですから、青木さんが使われたのと同じムラタ製のやつ。 青木さんは抵抗は主にDaleのRN55をお使いになっていましたが、手に入れやすいのと値段が手頃なのでdaleのRN60を使います。 サイズが少し大きいのですが、何とか乗っかりました。 整流用のSBDはいつも使ってる安売り品ではなく、富士電機製のERB84-009(90V3A)を使ってみました。 帯域補正回路は取り敢えず、青木さんが使われているのと同じ0.047uF + 10Ω。 同じWINMAのMKPを使いました。 また、残りの33pFのコンデンサはディップマイカではなくWIMAのFKPを使ってみました。

 途中の基板    組立中の基板。 まだ、LM3886とパワーTrは未実装

 まだシャーシーをどうするか決めてないので、放熱器に留め付ける必要のあるLM3660と電源回路のパワートランジスタは取り付けていません。 トランスは、青木さんがお使いのものと同じRSのトロイダルトランスを入手済み。 あとは、ケースをどうするか思案中です。


 結局、ケースはemeraudeでも使ったタカチのHYシリーズにすることにしました。 でも、工作精度が低いので、青木さん御自身がお使いのような小さなものは無理。 おそらく、その倍くらいの体積はありそうです。 今回、久しぶりに黒いのを使うことにしました。 鈴蘭堂さんが閉店してしまったので、愛用の回転式スイッチが手に入らなくなり、スイッチバーがLEDになってるやつを使ってみることにしたので、それならケースは黒の方がカッコいいかなという、その程度の理由です。 青木さんはヒートシンクに基板を固定されていましたが、わたしはどうもヒートシンクに巧く穴があけられそうもなくて、ケースがでかいのと、元来発熱が小さいはずということを理由に、底板に固定することにしました。

 基板固定の図    組立済み基板を底板に固定したところ


 で、全体を組み立てたらこんな感じ・・・

 全体像    全体像

 一応、両チャンネルを左右に振りました。トランスの二次出力の分配やAC100Vライン用に平ラグを使いましたが、左右対称ではないです。 LED用の回路も片側の基板のもののみ使いました。


 後面    後面から

 このように、スピーカー端子と入力のRCAを左右対称に分けてみました。 ほとんど青木さんの作例と同じですが、ケース幅がでかいので、なんか間延びしてます。 このタイプのスピーカー端子は初めて使ったのですが、結構使い勝手が良くて気に入りました。 ただし、私が使ったのは正負1ペア千円の安売り品。

 前面    正面から

 前面は、ボリュームもないので至ってシンプルです。 電源スイッチのLEDは青く光るやつ。 なかなか良い色で正解でした。 右側の丸いくぼみは、間違ってスイッチ用の穴を大きくしすぎてしまい、黒い板で穴塞ぎしたものです。 まあ、性能には関係ないですけど、ちょっと悔しい。


 で、とりあえず音だしです。 今回はボリュームなしのパワーアンプ仕様ですから、コントロールアンプが必要です。 で、常用のペルケ式ラインアンプを投入。 このアンプもケミコンレスになってます。 DACは4パラエピ1号機をつないでみました。 これもケミコンレスになっているので、CDトランスポート内部にあるやつ以外ケミコンは追放されています。 音ですが、予想通りというか、予想以上にというか、emeraudeを更に突き進めたものです。 と、いうことは、高解像度で凛として澄み渡る音。 非常に質の良い音で、細部を細かく描出する。 演奏者の息づかいが伝わって来ますが、演奏や録音のアラもきっちり再生してきます。 私のメインスピーカーであるDS10000は能率が90dBですが、通常使用で充分大きな音がでました。 このときハムは皆無。 emeraudeの延長線上で、それを凌ぎ現有のアンプでトップの音。 また、メインアンプは交代。 やったね!と、はじめは思ったのですが、合唱曲やオーケストラでフォルテシモになると、「サチったな」というパリパリしたノイズがでます。 ラインアンプのゲインを絞り込めば、この現象は消えますが、これだとピアニシモは全く聞こえないし、音楽の勢いが伝わってこない。 このままでは、特定のソースにしか使えません。 あと、3割増くらいパワーがあれば十分な感じはしますが、うーん。 そおっと電源電圧を上げてみようかなと思案してます。


 その後、青木さん御自身からアドバイスを頂きまして、電源電圧を上げるのではなく、LM3886のゲイン設定を上げてみることにしました。

 裏面    基板裏に1KΩ抵抗をパラる

 aeolus の元々の設定では1KΩと10KΩの抵抗でゲイン10倍となっています。 この1KΩの裏側に1KΩをパラって抵抗比を倍にし、ゲイン20倍としてみました。 その結果、かなり良くなり、通常音量では問題なし。 オケのフォルテシモでやはりパリ付くものの、これもかなりましになっています。 エージングが少し進んだのか低音の出方も良くなって、思わず聞き惚れたりしました。 これで、いいかなーとも思うのですが、うーむ。 これは、2号機を作ってBTL接続もためすかなあ。 でも、1号機はこれで良いように思います。


 その後、青木さんから再びアドバイスを頂きました。 BTLはボケるだろうとのこと、やっぱり・・・
 aeolus の良さは、あきれるほどピントのあったところにあると思うので、パワーを稼ぐためにピントがボケたのでは本末転倒だと思います。 やっぱりこれは、原点に戻るべきなのであって、瞬間の電力供給能力に不足は電源の強化で何とかするのが本道かなーと。 LM3886のゲイン設定をもっと大きくとることも出来そうですが、ゲインを上げるとSN比が悪化するようで、そうなると、aeolus の良さを殺すことになりかねないし・・・ で、平滑コンデンサの容量を増やしてみることにしました。 もちろん、ケミコンをパラッたのでは、何の意味もないので、ここは、セラミックコンデンサを使いたい。 しかし、えらい金食い虫ではあります。 で、チップセラミックコンデンサを使うことにしました。 例の「壁」です。 手持ちの残りのかなりの部分をかき集めて、ユニバーサル基板上に配置しました。

 壁    平滑用「壁」左右チャンネル分

 これを、2階建てにしてケース内に組み入れ、左右のチャンネルのセラミックコンデンサ群にパラってみます。 これで、およそ7倍位の容量になると見込んでます。

 壁入り    「壁」基板を組み込んだところ。

 この状態で、再度試聴。 だいぶ、パワーに余力が出たみたい。 まだ、パリつき皆無とは行きませんが、気持ちヴォリュームを絞れば大概のCDは大丈夫。 音質はわずかに変わるように思いますが、ゲインを上げたときより差は小さいように思います。 やー、やっぱり良い音だなー。 これで、完成でも良いんですが、もう少しLM3886のゲイン設定をあげてみようか悩んでます。  

その後も、いろいろと試してみました。 まず、ゲインを設定する抵抗を1KΩと47KΩに変えて47倍としてみました。幾分パリつきはましになりますが解決に至らず、むしろ、ノイズが増える感じがします。 そこでもしやと考え、LM3886のマニュアルに載っている高域発振用のコイルと抵抗の回路を作って試してみました。

 コイル    抵抗とコイルのアダプター

0.7uHのコイルと10Ω10Wのセメント抵抗をパラレル接続にし、これをホット側のアンプとスピーカーの間に入れるようなアダプターを作ってみました。 といっても、0.7uHなんて値で電流がたくさん流せそうなコイルなんてなかなか売ってないので、たまたま見つけた電力回路用とおぼしき1uHのコイルを全体の1/3位ほどいて使いました。 これを使ったら音がなまるのではないかと懸念したのですが、聴感上全く差はありません。 でも、パリつきにも全く効果はありません。 で、もう一度考えてみましたが、どうやら発振とかの問題ではなく、ウーファーの逆起電力が悪さをしているのかなあと考えるに至りました。 これ、確か終段のNFBループを介して問題が起こるんで、低電圧、低利得のAeolusでは、もろに影響が出てるのかなあと。 だから、ゲインを上げるために抵抗値を上げるとNFB量が減って効果があるのかもと思いました。 では、帰還抵抗をでかくしたら何とかならんかなと思い、20KΩ:499KΩという組み合わせをやってみましたが、やっぱりそんなハイインピーダンスは無理があり、幾分パリつきはましになるものの、音が死んでしまいます。
 あとは、電源電圧を上げるしかないかということになりましたが、青木さん御自身から、コンデンサの容量を7倍分もつぎ込んでいるから電源電圧を耐圧ぎりぎりまで持って行っても、実質2000uF分くらいは見込めるのではないかと助言を頂き、決行することにしました。 まず、トランスを交換しなければなりません。 計算上、AC18VのトランスでSBDで整流した段階の電圧が耐圧ぎりぎりの25V弱になると踏んだのですが、残念ながらRSのトロイダルコアのトランスは1次側が115V用のため、出力18V位になる丁度良いものがありません。 そこで、国産の通常のトランスで諦めることにしました。 秋葉を徘徊してTOEIブランドの18V2A2回路のものを見つけ、これを片チャンネルあたり1個使うことにしました。

 トランス    代替品のトランス

 トロイダルよりだいぶハムなどに弱そうで、気は心とばかり銅箔テープを巻いています。 ゲイン設定は、1KΩと37.1KΩでおよそ37倍とし、シャントレギュレーター部の抵抗は1KΩ:6.8KΩとして、最終的にLM3886への供給電圧は18V以上を確保しました。

 最終形    最終形

 で、こんな感じになりました。 音は、OKです。 今度はパリつきに悩むことなく、幸いハムも乗ってきません。 emeraudeと同等の音量を確保でき、解像度や低音方向の伸びはemeraudeを凌ぎます。 ついに、私のシステムのメインのアンプとなりました。

 今回は、青木さん御自身にかなりアドバイスを頂きました。 そこでも話題となったのですが、電源電圧を上げることが効果をあげたのは、あくまでも数倍程度までコンデンサの容量を増やすという前提があったためだろうということです。 もし、容量そのままで電圧を上げると悲惨なことになるのではないかと思います。 ともあれ、これで完成としたいと思います。


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